スタッフレビュー詳細
「パーソナライズ」という新提案!未体験ゾーンへ誘うTWS!
オーディオの新しいステージの幕開けを感じさせるイヤホンが登場しています。それがこちら、「DENON PerL True Wireless Earbuds」です。
このイヤホンのレビューに入る前に「同時発売されている『PerL Pro』と比べてどうなの?」という部分に関して、あくまで個人的にではありますが、簡単な見解を述べさせていただきます。
こちらのPerLシリーズ、魅力は様々ありますが、キーワードは何と言っても「パーソナライズ」です。この機能による音楽体験は、これまでのリスニングに対する概念を覆して余りあるものでした。そしてその体験はProでのみ味わえるものでは決してなく、今回レビューするPerLでも十二分に体感できます。「せっかくなら上位モデルが欲しいけど、どうしても予算が……」という方こそ、この先も読み進めていただけたら幸いです。それでは、前置きが長くなりましたがレビューの方に入ります。
音に触れる前に、機能面について簡単に紹介します。まず、ノイズキャンセリングと外音取込機能共に搭載しており、どちらも実用的な仕上がりに感じました。特にノイズキャンセリングは、そのパワーも去ることながら、比較的自然に効いてくる印象です。この「効きの自然さ」というのが音楽体験への没入という点において非常に重要な役割を果たしてくれますし、何よりPerLシリーズという新たな音楽体験との出会いを提供してくれるモデルとの相性は抜群です。
また、イヤホン本体がそれなりのサイズ感であることによって装着感に対する不安の声も聞こえてきそうですが、そこもさすがはDENON。耳に触れる部分は意外にも大きすぎず、イヤーピース、イヤーフィン共にサイズが多数同梱されていますので、私の耳ではしっかりとしたホールド感が得られました。(店頭で展示されているものと別サイズのイヤーピース・イヤーフィンのご試着をご希望の方は、お近くのスタッフまでお気軽にお申し付けください)
加えて、タッチ部分の面積が確保されているため、操作性も非常に良好です。タッチ時に毎回音が鳴るので誤操作も少なくて済みますし、そもそもの感度が絶妙であると感じました。
更にその操作内容をアプリで計8箇所カスタマイズできる自由さもあり、この後紹介させていただくパーソナライズ機能と併せて、イヤホンを自分だけの相棒にできます。
ここから、いよいよ音のレビューに入ります。デフォルトのサウンドはあくまでバランス型で、誇張表現の少ないあっさりとした仕上がりに感じました。強いて言えば少し低音の存在感が強いかなといった程度です。それゆえ苦手とするジャンルも特になく、極めて聴き心地の良い音質でした。とはいえ、こちらのイヤホンは「パーソナライズ機能」を活用することが大前提。この先が本題と言っても過言ではありません。
まず、こちらの「Masimo AAT」というパーソナライズ機能、使い方は至って簡単です。というか、やることはほぼありません。最初にアカウントを作成し、パーソナライズをスタート。これだけです。あとは自動でイヤホンが全ての測定を行ってくれます。この、選択肢を選んだり聞こえたらボタンを押すなどの行程がないことが、個人的に非常に未来感があり、この時点からワクワクが急上昇してまいります。
さて、パーソナライズも終了、いよいよ体感の時です。個人的なファーストインプレッションとしては、とにかく「別物」であるという表現が一番近いでしょうか。この時の感覚を文字でお伝えするのは非常に難しいのですが、一聴して自身のリスニングが次のステージへ進んだことを思い知らされました。
まず、どこまでも広大な空間を最初に感じます。その空間全体に響き渡り、抜けていく高域、それを後ろからガッチリと支える低域、これらの音に囲まれてスポットライトを浴びるかのように映えるボーカル帯。その全てが本物に感じられます。これだけ広々とした音なのにまとまりと輪郭がまったく損なわれていないのは、ひとえにその定位感に起因していると思います。左右だけでなく前後感もはっきりと認識でき、その繊細さには驚かされます。
パーソナライズのオンとオフの違いを例えるなら、テレビで観ていたライブ映像の中に突如吸い込まれたような、そんな驚きと変化量がありました。未体験の広がりとまとまり、響きと緻密さを一挙に得られます。まさに音に抱き締められているような、そんな濃密な音楽体験でした。これをワイヤレスで体感できるのだから、驚愕の一言です。
DENONが自社のサウンドイメージとして掲げている「Vivid & Spacious」というものがあります。この「鮮やかで広大」というコンセプトと、今回搭載したパーソナライズという機能の特性は、出会うべくして出会ったと思えてくるほどに噛み合っていました。 オーディオは「どう聴かせるか」から「どう聴こえているか」の方にフォーカスしていく時代になっていくのかもしれません。もちろん、一概にどちらが優位と言えることではありませんが、新しいリスニングの選択肢が誕生したことだけは確かです。
老舗国産オーディオメーカーの音への飽くなきこだわりと、最新の科学技術が手を組んだ、芸術的とも言える「PerL True Wireless Earbuds」のサウンド、是非一度ご堪能ください。
量感イメージ
このスタッフの他のレビュー
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えんじ
@e☆イヤホン 秋葉原店
EFFECT AUDIO
Ares S II
2Pin to 4.4mm Balanced
¥29700 税込
濃厚なコクで彩るビターな音楽体験
聴き始めた瞬間に飛び込んできたのは、「低域を大事にしているなぁ」という音作りでした。 しかし、じっくり聴き込むうちに、「それだけでは語り尽くせない」と感じました。 全体像から各帯域の印象を詳しく解説していきます。 個人的なキーワードは「低域」「弾力」「陰影」。では、参ります。 音の全体像 最初の印象では低域の存在感。不思議と他の帯域を邪魔しない「聴こえ方」や「パワーバランス」が単純に低音を強調するのとは異なる鳴り方です。 低域は強く主張するのではなく、その「鳴らし方」によって印象的に思います。左右から滑らかに包み込み、全体を支えるように響きます。 その低域に包み込まれる形で鳴る中高域は、一体感と明瞭さを兼ね備え、華やかに響きます。 この変化は、まるで音が鳴る空間そのものが『より上質な響きを持つ場所』に変わったかのような感覚です。 パフォーマーと会場の関係性のように、あくまで主役はイヤホン。Ares S IIを選ぶことで、イヤホン本来の魅力が引き立ちます。これぞ、リケーブルの醍醐味! 各帯域の印象 高域 高域は近めの距離感で、刺さることなく、明瞭で聴き心地の良い音を鳴らします。描写力も十分で、過度に目立つことはありませんが、決して薄味ではなく、聴いていて楽しい音です。 音圧をこれ以上強めると過剰な演出になりかねないため、芯の太さや距離感のバランスは絶妙と言えるでしょう。 響きも自然で、潔い消え際があり、全体として明るい印象。低域のビターな音色を、高域のキャラクターが適度に引き上げ、バランスを取っているように感じます。 中域 中域は近すぎず、適度な距離感を保っています。情報量も十分で、メロディーラインやボーカルが心地よく響きます。この帯域の鳴り方は、個人的にとても好みです。 尖りのない、弾むような質感のおかげで、単調にならず、飽きのこない表現が生まれています。 情報量が豊富でありながら、グルーヴ感もしっかりしているのが特徴。細部の描写を失うことなく、全体の流れや躍動感を感じます。 低域 低域について、「結局、量は多いの?少ないの?」と疑問に思うかもしれません。そこで、もう少し詳しく説明します。 確かにリケーブル後は低域の量感が増えています。しかし、単なる「量の増加」ではなく、「音の幹が太くなった」ことと、「響き方の変化」が大きなポイントです。 音圧の上昇は感じますが、それは前後方向に迫るようなものではなく、横方向への包容力として表れています。 ズンズンと攻撃的に迫ってくる低音ではなく、角の取れた、重厚で身体を震わせる低域。低域は好きだけれど「ゴリゴリの低音ジャンキー」というわけではない、という方にこそ、一度試していただきたい一本です。 デザインについて ポータブルオーディオにおいて、「身につけたくなるデザイン」は、音の楽しみ方と密接に関わっています。その点で、このメーカーのケーブルは極めて優れた仕事をしていると感じます。 高級感のある編み込みデザインに、シンプルながらメリハリの効いた黒色のパーツ配置。無駄な装飾をせず、洗練されたビジュアルは、まさにEFFECT AUDIOの新作らしい仕上がりです。 「付けて歩きたい」と思えるデザインかどうかも、リケーブルを選ぶ際のポイントとして、ぜひ考えてみてください。 まとめ Ares S IIは、「大好きなイヤホンをもう一段階ステップアップさせたい」という方におすすめの一本。 e☆イヤホン全店で試聴可能ですので、ぜひその違いを体感してみてください! 店頭でお待ちしております!!
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えんじ
@e☆イヤホン 秋葉原店
ORIVETI
GRAND ORIVETI Supremacy
¥330000 税込
テーマは「豊潤」。音楽の深淵へと誘われるアダルトな実力者。
ゆっくりと目を閉じて音楽に身を任せるとしたら、このまま二度と目を開きたくない…そんな心持ちにさせられた理由を紐解くことで、このイヤホンのレビューとさせていただきます。 まずはその解像度の妙に注目しました。帯域バランスがとても緻密で美しく、過不足のない鳴り方をしており、そこだけに注目すれば、モニターイヤホンのような実力があるように感じます。しかし、それらに見られやすいカラッとした雰囲気はまるでなく、適度に水気を含んだしっとりとしたサウンドが、いい意味で分析的な部分への執着から解き放ってくれました。 音色としてはクール寄りの印象を受けますが、木製素材が使用されている恩恵か、その中でも随所に感じられる暖かみが憎いです。偏りのない中でも低域の印象は比較的強く残ります。ただ、その文言から思い浮かべるような「強さ」ではなく、「重厚感」という表現が相応しいと思います。 他帯域より気持ち後ろに定位していますが、引っ込んでいる感じは少しもなく、それどころか横方向に取られた空間も相まって非常に豊かで存在感があります。 アタック感や物量で攻めるというより深みや響きの印象が強く、非常に滑らかで上質な仕上がりだと感じました。特にコントラバスの鳴り方は、弦に触れた瞬間から放れ際の空気感までしっとりと描写されていてピカイチです。 一方で中高域は、距離は近い一方で刺さりは一切ありません。優しさと明瞭さの両立がお見事です。鳴り出しから鳴り終わりの速度感も絶妙で、管楽器の出だしのスピード感からの消え際の微かな余韻、「スピードのフォール」が雰囲気を演出します。 いわゆる“ボーカルホン”としてもその能力は高く、歌声が近いのに窮屈にならないところが素晴らしいです。全帯域を通して力感で勝負していないことと、声よりも上の高域が更に近めに設定されていることが、圧を感じさせないことに一役買っているのだと思います。 中高域の音の立ち上がりや分離感には目を見張るものがありますが、ソリッドというほど鋭利な感触はなく、かといってもったりねっとりした感じでもないのが絶妙です。適切プラスアルファくらいの湿度感が艶やかで、色気があります。 サウンド全体に余裕があるので見落としそうになりますが、空間は特別広いとは感じません。むしろある程度コンパクトにまとまっているように思えました。それでも、窮屈さがどこにもないので何のストレスにもなりません。例えるなら、小さめのライブハウスで贅沢にジャズを楽しんでいる時のような充実感があります。特別な時間を演出してくれるような鳴らし方で、ワインを合わせたくなるような仕上がりです。 この空間のコンパクトさでこういった感覚になれる音は珍しいのではないでしょうか。緻密な音響設計の賜物と言うべきでしょう。個人的には、広さが控えめなため、生楽器との相性はいいけれど、クラシックよりは中編成くらいまでのジャズがリアリティを持って表現できているように感じました。とにかく弦楽器の深み(立体感)が印象的で、余韻と響きの表現が豊潤で高級感があります。 ここまでジャズなどの生楽器系にばかり言及してきましたが、根本的に解像度が高く、帯域バランスも整っているため、ジャンルによる向き不向きはあまり感じません。 聴いていて気持ちが良いような清々しい切れ味を感じる瞬間もありながら、分析的になっていないのが上手いところです。よって、ロックやポップスの表現力も脱帽です。 ドライバーを複数使い分けることで、分離感と共に音楽の立体感が表現されています。目前でステージが立ち上がり、まるでその只中に自分がいるような感覚にさせられます。そのライブ感の中で、男声ボーカルは艶やかに、女声ボーカルは気持ち良く沁み渡ります。(だいぶざっくり分けました) 帯域ごとの質感が違う面白さが、ここにも顕著に出ているのかもしれません。また、前述の通り各帯域十分な量があり、分離感も十二分なので、音数の多い打ち込み系も凄くいい聴き心地でした。そちらのジャンルは正直不勉強なためあまり馴染みがありませんでしたが、このイヤホンが手元にあればハマってしまいそうだなぁと思わされました。 一方で、バランス感覚に優れているのは間違いなく素晴らしい部分なのですが、上記の質感ゆえ音一発の破壊力には欠けると感じるかもしれません。例えば、重ためのハードロックなどを好む方には、アタック感が不足している可能性があります。そちらの方面がお好きな方はポイント単位での圧力が足りているか、体感していただければと思います。 低域の質量などは十分に担保されていますが、瞬間的な圧力に関しては疑問が残ります。EDMも分離感ゆえに小気味良く気持ち良いですが、もっと暴力的にきてほしい場合は丁寧に鳴りすぎてしまうかもしれません。「もっとくれよ!」となる方もいらっしゃるかも……。これも点の圧力が鍵を握るところかと思われます。 明らかに高域が前にいるというのも、受け取り方次第かと思います。個人的には十分に楽しく満足感のある聴感だったので、ここは完全に「好きな音」次第だと思います。 結びの前に見た目に少し触れますが、店頭でたまたま目にして、デザインがきっかけで試聴される方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。それほどまでに独創的且つ高級感のあるデザインで、本機で耳元を飾りたくなります。私はなりました。(初めて聴いた時は完全に見た目から入りました) ちなみにこれは余談ですが、付属してくるケースが驚くほど大きいです。こう聞いて想像する倍くらいは大きいです。プレイヤーやケーブルも悠々持ち歩けます!のようなレベルではないです。本気になれば小旅行くらいはできそうですので、是非一度検索してみていただきたいです。 総評として、全体のパワー自体が特別高いわけではないけれど、全ての音に確かな芯と繋がりがあるので不足感はありません。それらが抜群の解像度と余韻感で繰り出されるので何を聴いても楽しいし、色っぽいのです。 音楽体験に「高級感・万能感・艶やかさ」をお求めの方は是非一度、ご体感ください。
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えんじ
@e☆イヤホン 秋葉原店
Meze Audio
ALBA
¥29700 税込
「名門」が唱える「入門機」の定義
心地よい耳触りと、聴き応えのある濃密さを両立させた新たな名機候補。それがこちら、Meze Audioの「ALBA」です。「音にこだわる」ことの良さを時代に合った気軽さで持ち歩けるというのも、ブランドが考える「一台目の定義」として申し分ないと思わされました。 聴いてみると、とにかく角がなく滑らかなサウンドというのがまず飛び込んできた印象です。薄味ではないのに圧力は少ない、「体に沁み渡る音」と言ったところでしょうか。 本機のファーストインプレッションを形作る重要な要素として、空間表現の巧みさが挙げられます。横方向をベースに比較的広く取られている空間を活かしつつ、気持ち上へと抜けていく様が清々しいです。そんな空間に対する情報量にも不足はなく、密度感すら感じられます。それでいて窮屈な感じ、圧迫感はまるでなく、「しつこくない且つジューシー」な聴感でした。中でも楽器隊の広がりが顕著で、クールな音色の消え際の仄かな残響感が儚げです。その特性ゆえ、ミドルテンポ以下の楽曲の立体感を表現するのに非常に長けていると感じました。一方で、ハードロックやヒップホップなどのアタック感や重量感を感じたい方には別の選択肢があるのかもしれません。良い意味で力感なくスマートに鳴らすこの感触をどう捉えるか次第で、チョイスも変わってくると思います。 伸び伸びとした演奏に対してボーカルの距離は一歩近く、存在感は太めです。目前で発せられているような艶やかさ、生々しさは、そこに確かに息づく実在感を伴います。声の出どころは近めに感じますが、こちらも圧迫感はまるでなく、聴き手を吹き抜けていくような気持ちよさを体感できました。左右に広がる演奏に対して、こちらは前後の奥行きを感じるのが対比として面白いです。以上の所感から、本機の中高音域へのこだわりがひしひしと伝わってきます。情報量、スピード感がありつつも、あくまで優しく聴かせ、広々とした表現も聴き手を置き去りにしません。当事者感のある音というのがしっくりきます。前後も左右も共に味わえる空間表現によって、音楽が立体的に立ち上がる様も見事でした。結果としての「音楽体験」のことが非常によく考えられている音作りだと思います。 さて、オーディオファンからビギナー層のお客様まで、個人的に最も問い合わせが多いと感じる低音について触れていませんでしたが、こちらも表現に十分な量があります。あるのに、そのウエイトよりも深みの印象が強く残るのが不思議なところです。ボーカル帯とは対照的に出どころに一定の距離を感じるところがポイントかと思います。質感も他帯域と比較して柔らかく、耳触りの良い仕上がりです。その一歩引いたポジショニングとアプローチは、まさしく上品そのもの。他の音を邪魔せず、飲まず、あくまでも支え、引き立てる佇まいで、協調性のある鳴りという印象でした。全体的に抜けていく空間の感じを低音で上手くパッケージしているとも言えると思います。音楽の造形としての美しさ、その仕上げの部分をこの帯域が担っていると感じました。ただ、やはり低音の存在感を最重要視される方にとっては少し物足りない可能性もあるので、一度聴いて確かめてみることをおすすめします。 分離、定位感についてもまずまずありますが、固執しておらず、楽曲の一体感、グルーヴィーな感触というものが大切にされています。中域が前に出ることで楽曲の最大の旨味であるメロディーラインを主役に置きつつ、定位と空間表現による味付けを絶妙なバランス感覚で描写しているので、インスト楽曲やジャズテイストのものも、聴き方を見つけやすい親切設計になっていると感じました。 以上のように非常に丁寧に楽曲を表現してくれる本機ですが、音の温度感としては寒色寄りで澄み渡っています。優しさは湛えつつも、寄り添い包み込んでくれる暖かい音というのとは少し違います。スピード感を持って音が次々とシャープに駆け抜けていく、けれど置いてはいかれない、そんなギャップが癖になりました。ただ、音に対して明確な好みがある方にとってここは好みが分かれる部分となりそうです。私は凄く好きでした。上品で上質な音楽体験である一方、少し突き放されるような冷たさをはらむ本機で音楽を聴いていると、個人的には何かに憧れる時のような焦がれる感覚を覚えました。 さて、そんな本機のハード面に関しては、装着感がとても軽く、疲れ知らずといった感触でした。長時間の装着にも余裕で耐え得る仕上がりです。付属のキャリングケースもコンパクトながら質感が高く、持ち歩くことそのものに意味を持たせられるクオリティとなっています。それに加えて、USB-C to 3.5mmアダプターが同梱されているのも嬉しいポイントです。純正ケーブルと同じ素材を用いているので、こだわり抜かれたサウンドをスマホで直感的に楽しむことができます。この再生機器を選ばない間口の広さも、本機を選ぶ大きなメリットになっていると思います。ただ一方で、装着感の軽さゆえ、ホールド感や遮音性は僅かに薄く感じられます。ガッチリとした装着感がお好みの方や、静寂による没入感を重視される方には、イヤーピースの交換も選択肢に入ってくるのかなと思います。 以上のことから、音はもちろんビルドや付属品も含めて、音楽へ対するリスペクトが感じられるような一本に思えます。エントリーだからと妥協せず、作り込まれたサウンドから、音楽というものの唯一性、感情的な部分を再認識させられ、聴いていて胸が熱くなりました。「オーディオ体験」そのものに重きを置いているところに、名門メーカーが音の入り口の選択肢として本機に担わせたい思い、期待が感じられるようです。ファンか否かに関わらず、「音楽が好きでよかった!」そう思える「ALBA」の仕上がり、ぜひ一度ご体感ください!
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えんじ
@e☆イヤホン 秋葉原店
SIMGOT
EA500 LM
¥15300 税込
どんな自分もこれ一本で!一面では魅力が測れない、もっと知りたくなるイヤホンです!
「EA500の後継機」で片付けてしまうのはもったいない! 様々な表情を見せてくれる新作イヤホン「EA500 LM」のご紹介です。 こちらの製品、付属してくるのはイヤホンとケーブル、キャリングケース、イヤーピースとノズルがそれぞれ3ペアと、一見シンプルな内容です。ただ、この「三種のノズル」が本機の肝となり、多様な表現を聴かせてくれます。 前作「EA500」でも二種のノズルが付属していましたが、本機のノズルをそれぞれ試してみた結果、交換による変化を楽しむという意味で、付属の本数が増えたこと以上の満足感を得ることができました。 ですので、本機は特に、イヤホンのカスタマイズに馴染みがない方にこそおすすめしたい逸品です。 ノズルを換えたところでそこまで変わる? 本体部分は同じなのに? と思われる方もいらっしゃるでしょう。私も最初はそう思っていました。 そんな方にこそ、ほんの一手間でその日の気分やシーンにアジャストできるこのイヤホンの強みをお伝えしたいと思います。 まず、イヤホンそのものの仕上がりは、バランス感覚に優れた苦手の少ない優等生という感じです。「EA500」よりも中低域の量感が少し増し、描写力も向上したように感じますが、帯域バランスは比較的整っています。意図的に特徴を作らず、特定のジャンルに特化させないところに好感が持てました。細やかな表現も上手ですが、空間がややコンパクトなので、密度感も損なわれることがないのが絶妙です。 上記のような性質ゆえ、ノズルを換えたからといって繊細で優しい美音系から重低音ゴリゴリ極太サウンドに変身!というような極端な変化量とは違います。例えるなら、一人の人間の会社での顔、休日自宅でのんびりしている時の顔、友人とランチに出掛けた時の顔、のように、同じ人にも様々な表情がある、といった雰囲気が近しいでしょうか。それでは、各ノズルの個人的な分析を列挙していきます。 【金色ノズル/赤色リング】 明るい音という印象です。全体として柔らかめの音色ですが、音の芯の部分は的確に捉えてくるのできっちりとした印象を覚えます。清々しく伸びやかな中高域はまさに華やかです。余韻感もありますが残り過ぎず、輪郭がぼやけることがありません。対して低域は、量感こそしっかりしていますが、決して前に出過ぎることはなく、あくまで主役は上の帯域であるとの意思表示かのようです。「縁の下の力持ち」という佇まいでした。このような可憐且つ上品な音色はクラシックやジャズテイストのインスト楽曲との相性が抜群でしたが、そこに歌が加わることで、また違った表情を見せてくれます。歌声の距離が近く描写は細やかなので、ボーカリストそれぞれの表現や感情が流れ込んでくるかのようでした。言葉の力を感じられる表現です。そしてそれらを前述の特性を持つ楽器隊が品良く飾り立てる様は、時に目を閉じて聴き入りたくなるようなドラマチックな仕上がりとなっていました。 【銀色ノズル/赤色リング】 ニュートラルサウンドという印象です。残響感も少なく、質感、定位含めて正確な音を出してくれます。聴き手の感情が持っていかれすぎないので、楽曲の構成を把握したり、分析的に聴きたい時にうってつけのサウンドであると言えるでしょう。リスニング時は、個人的にはテクノの鳴りが特に好印象でした。小気味良さがクセになるサウンドで、電子音との親和性は抜群です。このリズムの取りやすさ、というより思わずリズムを刻みたくなる要因は、このノズルの低域の締りも一役買っているのでしょう。スマートな歯切れの良さが気持ち良く、このまま作業やワークアウトに出掛けたい気分になりました。捗ること間違いなしです。 【銀色ノズル/黒色リング】 最も弾力感のあるサウンドです。全ての音が弾むようで、これぞ元気サウンド!といった感想です。アタック感が強く、分離感も確かなものがあるので、ロック全般が得意です。ロックであれば、疾走感のある爽やかなものから、激しく重たいハードなものまで網羅できる印象でした。また、EDMなどのダンスミュージック系の、特にテンポが速めのものともピッタリです。跳ねるような音の質感が、トランスと呼ばれるような楽曲の中毒性をさらに高めてくれました。上記の質感ゆえ、ヒップホップとの相性も素晴らしいものがあります。そもそも曲全般がリズミカルなものがほとんどなので、ボーカル、演奏共に聴き応え十分です。三種のノズルの中で最も活きが良いので、ボルテージを上げてくれるような楽曲での運用を特におすすめします。 以上が各ノズルのざっくりとした所感となります。同じイヤホンでもここまで風合いを変えられるので、毎朝コーディネートを選ぶように、「今日はどの音にしよう?」なんて胸躍る生活も楽しそうだなぁと想像を巡らせながら聴いていました。皆様それぞれのご感想も是非お聞かせいただければと思いますので、この機会に是非、イーイヤホン店頭でお試しください!全店でご試聴可能です! 「EA500 LM」、私の今のイチオシでございます!