スタッフレビュー詳細
空間と奥行き、音の厚みを感じるフラットモニター
フィリピン発のイヤホンメーカーflipearsより、8BAドライバー&サウンドチューニングスイッチ搭載のモデルが登場しました。
スイッチの切り替えで4タイプの音質を楽しめますが、本レビューはスイッチをOFFにした「バランス」チューニングでのレビューです。
真っ先に目に入るのは、ARTHA専用として採用され、Ocean Mosaicと名付けられたデザインの美しさですが、華美なデザインと裏腹に、音質は手堅いモニター的要素と音楽を楽しむリスニング的要素を絶妙に両立した、巧みで実直なチューニングが施されています。
同社モデルのAURORAと共通しますが、基本のバランスはフラットと言えます。上下音域のレンジの広さとレスポンスの良さから、全域にパワフルな印象を持ちますが、音像の中心にフラットバランス特有のブレない芯を感じます。どんな音でも、高域と低域のどちらにも振られ過ぎず、とても聴き取りやすい音です。
特徴として、楽器音やボーカルの生々しさ、優れたディテールを挙げることができますが、とことん音源との相性を選ばない点がARTHAの面白いポイントです。イヤホンによっては、楽器なら電子やアコースティック、ボーカルなら女性、男性ボーカルなど、綺麗に鳴らせるジャンルを分けて表現したりしますが、ARTHAはすべてのジャンルをカバーできている印象です。誇張も不足感もないナチュラルな音に、持ち前の定位感・厚み・パワフルさが組み合わさり、フラットでありながら聴き応え抜群な音を実現しています。楽曲差による鳴り方、聴こえ方の変化が少ないため、安心感・安定感があります。
帯域別で言うと、中高音の鳴り方が個人的なARTHAの推しポイントなので、ご試聴いただけるタイミングがあれば、じっくり聴いてみてほしいです。
再生環境:iPhone – Shanling UP5
試聴楽曲:アイウエ feat.美波&SAKURAmoti(ALTERNATIVE),Segredo(発熱巫女~ず),
Who?(Azari),Won’t Back Down feat.P!nk(EMINEM)
量感イメージ
この商品に対する
他のスタッフのレビュー
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ばらね
@e☆イヤホン大阪日本橋本店
Flipears
ARTHA (Universal Fit)
¥257400 税込
シンプルさも個性も捨てたくない!そんな方に
ノーマル状態のARTHAは全体的なバランスがよく、クセがかなり少ないタイプです。低域はベースよりもキックが目立つ印象です。やや強めのアタック感が気持ちよく、楽しくリスニングできます。 中域はややウェット。特に潤いのあるボーカルが楽曲をより楽しませてくれます。ノーマル状態での高域はやや印象が薄く感じました。芯のある低域にflipearsらしいどっしりさをやや感じますが、使いやすいシンプルなサウンドであると感じました。 1のスイッチをオンにすることでベースが膨らみ、シンプルなサウンドから深みの感じる音質に変化します。音場も横に広がり、暖かい低域に音に包まれているような感覚を受けました。 2のスイッチをオンにすると、ノーマル状態では控えめであった高域のピークがぐっと高くなります。スネアのアタック感や余韻、ギターのジャキっとしたざらつきなどより繊細な表現を感じました。 確かに細やかな表現はしっかりと感じられましたが、どちらもスイッチをオンにすることでイヤな強調をされたり、全体のバランスが偏ったようなサウンドには変化しませんでした。 ノーマル状態がかなり整っているので、スイッチを動かすことでやや彩が加わり、より楽しいリスニングへと導いてくれます。 いろんなジャンルを聴くので基本的にはシンプルなサウンドが好きだけど、たまにはちょっと冒険もしたい...…!という方におすすめです。 ※画像はflipearsカスタムIEM完成品例です
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もい
@e☆イヤホン 秋葉原店
Flipears
ARTHA (Universal Fit)
¥257400 税込
新しい形の万能機
スイッチ切り替えで4つの音を楽しめる機種なので全タイプのレビューをします。 まず、スイッチの切り替えは、爪で簡単に切り替えできるので器具等は必要ないです。深爪の僕でも簡単に出来ました。 SWITCH 1 – OFF | SWITCH 2 – OFF (バランス) フラット気味な音の鳴りですがボーカルが前目に感じました。全体的にほんといい具合で量感に物足りなさもなく、距離感もちょうどいいです。このチューニングだけでも十分いい機種です。 SWITCH 1 – ON | SWITCH 2 – OFF (バスブースト) 別機種?ぐらい低域がごりっごりに出ます。ただバスブーストによくみられるこもった感じはなく迫力と繊細さを兼ね備えており聴きごたえがグッと増します。ヒップホップ、EDM等を聴く時にはこのチューニングがおすすめです。 SWITCH 1 – OFF | SWITCH 2 – ON (高域拡張) バスブーストの後に聴くと低域が物足りない感じがしましたが全然そんなことはなく十分出てました。楽器音の表現力が豊かになり、元々ある定位感の良さと相まって聴き惚れてしてしまいそうな音へと切り替わります。優雅なひと時を過ごしたい時にはこのチューニングを。 SWITCH 1 – ON | SWITCH 2 – ON 濃密コテコテサウンドですがこもらず透明感ある音の鳴りです。低域のパワフルさがちょっと目立ちますがバランスで前に出てたボーカルが一歩下がってフラット気味ですが聴きごたえがめちゃくちゃあります。 聴く楽曲、その日の気分や用途によって使い分けができるのでこれ一つでもこと足りそうな勢いです。 是非、一度ご試聴ください。
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りょうにぃ
@e☆イヤホン
Flipears
ARTHA (Universal Fit)
¥257400 税込
フラットサウンドのオールラウンダー
Flipears (フリップイヤーズ)のARTHA(アーサ)は、端正なルックスに加え、8BAと4WAYクロスオーバーを搭載したモデルです。 ドライバー数の多いイヤホンは情報が多い分、製品やメーカーによってそのアプローチも異なりますが、このARTHAは、個々の棲み分けや役割がしっかりしていて、絶妙な音達のバランス感を味わえる製品です。 この製品の最大の特徴は、2つの音質チューニングスイッチを搭載していること。筐体側面にあるつツマミ部を上げ下げすることで、それぞれ異なった4つの音質(ノーマル、バスブースト、高域拡張、全ブースト)に簡単に切り替えることが出来ます。 個人的には、デフォルト(SWITCH 1、2共にOFF)のサウンドが一番好みでしたが、フラット傾向のサウンドはジャンルを選ばず全ての音を楽しめる、そんな印象を受けました。ヴォーカルも男女問わず、歌い手の表情、輪郭を損なうことなく綺麗に鳴らしてくれます。 低音好きな方のためのバスブーストモード(SWITCH 1をON、2をOFF)は、ただ低域をカチあげる、というものではなく、ベースやキック、バスドラ、鍵盤のマイナスあたりの音域なども、きちんと分別して鳴らしてくれています。音の抜けも程よく、輪郭がくっきりしているので、ファットで抜けの良いサウンドが好みの方は是非このモードをチョイスしてみてください。 高域拡張モード(SWITCH 1をOFF、2をON)は、まさに女性ヴォーカルやピアノ、主に生演奏などを楽しむのに適していると思いました。ハイトーンに厚みや伸びが出るので、クリアな音が楽しめます。 全ブーストモード(SWITCH 1、2共にON)は、まさに極厚なサウンド。とはいえ、ブーストした感じではなく、クリアさをしっかりと残してくれています。例えるなら、適切な範囲内でしっかりブーストしているというか、こういう音作りが上手いメーカーだな、と感心させられました。 ミックス、リファレンス、普段使いなど、色んな用途で使える製品です。 是非店頭でご試聴ください。
このスタッフの他のレビュー
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すずき
@e☆イヤホン
EFFECT AUDIO
Code 23 (ConX Basic to TermX Basic)
¥72600 税込
エネルギー満ち溢れる、極太・高解像度サウンド
「Codeシリーズ」に“EFFECT初の単線モデル”が登場し、それが「フラッグシップレベルの銅ケーブル」という、EFFECT AUDIOを知る人にとっては、情報量の多いケーブルかもしれません。 まずお伝えしたいのは、やはり単線ゆえに相応に硬いイヤホンケーブルであることです。EFFECTケーブルの中でもトップクラスの硬さだと思います。ただ、ケーブルの取り回しは素直であり、実際に通勤で使用しても普段使いがむずかしいレベルには感じません。そんなことよりも、多少の扱いづらさを差し引いても使い続けたいサウンドがCode23にはありました。 ずぶとく、厚く、高解像度で、適度なスピード感に広さと、一聴して素性の良いサウンドが眼前に広がり、ボーカルと楽器音(特にギター音)がとにかく映えます。うねりや高音域の自然な伸びは非常に艶めかしく、それでいて刺激はありません。変な癖がないのでどんなジャンルもいけますが、ロック・ボーカル系の楽曲が抜群に合う印象です。 また、特筆すべきは豊かな情報量と高いS/N比です。背景ノイズの少なさゆえ、真っ暗な静寂から音が立ち上がるような感覚と、音響特性がばっちりコントロールされた空間で奏でられたような生々しい描写力と音の鮮度に圧倒される情報量、それらが心地よくミックスされて耳に飛び込んできます。 取り回しを考慮してもお釣りがくるくらいのサウンド体験で、この音が楽しめるなら多少硬くても……と思ってしまうほどの、究められた銅の音をまざまざと見せつけられた気がします。金、銀、銅などさまざまな素材を駆使してきたEFFECT AUDIOだからこその説得力を感じました。 ■試聴機:VE MEISTER,NW-WM1AM2 ■試聴楽曲:花人局(ヨルシカ),Rock on.(ナノ),Rising Hope(LiSA),Hot Meal(Girls Dead Monster),お勉強しといてよ(ずっと真夜中でいいのに。)
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すずき
@e☆イヤホン
CUSTOM ART
FIBAE™ 7 Unlimited
¥215000 税込
解像感とアナログライクを両立した優しいサウンド
FIBAE 7 Unlimitedは、同社のFIBAE 7を再設計・再チューニングしたモデルです。高域用ドライバーを変更したこと、また、クロスオーバーの刷新でダイナミクスと感度を改善したことが大きな変更点とのことです。 ドライバーを更新した影響か、中高域に特徴があるモデルです。角が丸く刺激が少ない、シルキーでさらさらとした自然で優しい聴き心地です。また、透明感・繊細さ・伸びも十分にあり、ボーカルがとても聴き取りやすいです。全体のバランスとしてはフラットですが、ボーカル表現の優秀さが際立っているように感じました。 低域は非常にソリッドで締まっています。小気味よく軽快でレスポンスに優れた低域は、他帯域に被らない程度に存在感があります。“さりげない”という表現が合いそうな優しい広がり方に、少しアナログライクな印象を受けました。現代的なくっきり高解像度さと、耳触りよく温かみのあるアナログさを感じる絶妙なチューニングです。 聴き疲れしづらく、各帯域の不足感もないので、楽曲ジャンル・世代を問わず、さまざまな楽曲と合わせられると思います。 ■試聴楽曲: 夜明けと蛍(n-buna),W/X/Y(Tani Yuki),ORIGINAL(DUSTCELL), CH4NGE(feat.可不),靴の花火(ヨルシカ)
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すずき
@e☆イヤホン
CUSTOM ART
FIBAE™ 5
¥187000 税込
生々しく余裕のある中高域の表現力
ポーランドのカスタムIEMメーカーCustom Artから、トリプルハイブリッド型イヤホンが登場しました。 カスタムIEMには少ない、平面ドライバーを搭載したモデルですが、スペックから想像される以上に優等生なサウンドです。出力差による音質変化を抑えるFIBAEテクノロジーの恩恵か、マルチドライバーでも音量の取りづらさや不足感はなく、スマートフォン直挿しでも高音質で楽しめます。 2基の平面ドライバーは高域と超高域を担当していますが、安易な高域特化という印象はありません。繊細で鮮やかな高域ですが、ボーカルはやや後ろに控えており、高域を突き抜けさせるより、全体の音との一体感を重視したチューニングに感じます。無理なドライブ感がなく、中高音域の表現に余裕と懐の深さを感じます。金物の鮮明な響き、ハイレスポンスなギター音、ボーカルの伸びや解像度など、平面ドライバーによって高域の表現力を破綻なく引き上げている印象です。 ほのかに丸みと温かみのある低域は、ほど良いアタック感と迫力が気持ちいいです。広がりは控えめながらも包まれるような優しい音で、ダイナミックドライバーの特徴を色濃く感じます。 中域もやや後方にあるため、全体としては緩やかなドンシャリ傾向ですが、刺激は抑えられているのでどんな楽曲ジャンルにも合いそうです。強いていえばJ-POPやアニソンなどの明るめの曲や、インストよりはボーカルのある楽曲の方が活き活きしている印象です。 ■試聴楽曲: 夜明けと蛍(n-buna),W/X/Y(Tani Yuki),ORIGINAL(DUSTCELL),CH4NGE(feat.可不),靴の花火(ヨルシカ)
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すずき
@e☆イヤホン
EFFECT AUDIO
Cadmus/8wire (2pin to 4.4mm) Christmas Bundle
¥54500 税込
すっきり見晴らしの良い爽やかサウンド
EFFECT AUDIO Cadmusに8Wireモデルが登場しました。 ケーブル単体の印象と4Wireとの比較をレビューします。 クリアで見晴らしの良いサウンドがCadmus 8Wireの特徴です。ほど良く丸く柔らかな中高音域は、刺激を抑えながら優しく繊細に伸びるボーカル表現に一役買っています。定位感はほどほどですが、高解像度でインパクトのある低音域は、楽器隊が持つ空気感の再現と迫力のある音場を形成しています。 基礎部分はフラットバランスですが、やや一歩前に出る中高音域に、レスポンス良く適度に量感のある低音域と、音楽を楽しく聴かせるエッセンスを感じます。多芯ゆえの豊かな情報量と音の厚みもあり、聴き応えも抜群です。 4Wireとの比較では、全体的に綺麗にグレードアップしたように感じます。4Wireはイヤホンとの相性を選ぶ弱点がありましたが、8Wireでは上手く解消されています。Cadmusの特徴だった、爽やかでパリッとしたトーンや、バランスの良いオールラウンドな印象はそのままに、それぞれの要素に一段、二段磨きが掛かっています。Cadmusが好きな方はもちろん、Cadmusが合わなかった方にも、ぜひ一度試していただきたいほどの進化が見られました。 最後にひとつ、面白いと感じたポイントでもありますが、低音が強いもしくは低音に特徴のあるイヤホンとの組み合わせをオススメしたいです。低音域の持ち味を絶妙に引き出してくれる印象で、唯一無二の個性を感じました。