スタッフレビュー詳細
生々しく余裕のある中高域の表現力
ポーランドのカスタムIEMメーカーCustom Artから、トリプルハイブリッド型イヤホンが登場しました。
カスタムIEMには少ない、平面ドライバーを搭載したモデルですが、スペックから想像される以上に優等生なサウンドです。出力差による音質変化を抑えるFIBAEテクノロジーの恩恵か、マルチドライバーでも音量の取りづらさや不足感はなく、スマートフォン直挿しでも高音質で楽しめます。
2基の平面ドライバーは高域と超高域を担当していますが、安易な高域特化という印象はありません。繊細で鮮やかな高域ですが、ボーカルはやや後ろに控えており、高域を突き抜けさせるより、全体の音との一体感を重視したチューニングに感じます。無理なドライブ感がなく、中高音域の表現に余裕と懐の深さを感じます。金物の鮮明な響き、ハイレスポンスなギター音、ボーカルの伸びや解像度など、平面ドライバーによって高域の表現力を破綻なく引き上げている印象です。
ほのかに丸みと温かみのある低域は、ほど良いアタック感と迫力が気持ちいいです。広がりは控えめながらも包まれるような優しい音で、ダイナミックドライバーの特徴を色濃く感じます。
中域もやや後方にあるため、全体としては緩やかなドンシャリ傾向ですが、刺激は抑えられているのでどんな楽曲ジャンルにも合いそうです。強いていえばJ-POPやアニソンなどの明るめの曲や、インストよりはボーカルのある楽曲の方が活き活きしている印象です。
■試聴楽曲:
夜明けと蛍(n-buna),W/X/Y(Tani Yuki),ORIGINAL(DUSTCELL),CH4NGE(feat.可不),靴の花火(ヨルシカ)
量感イメージ
この商品に対する
他のスタッフのレビュー
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ばらね
@e☆イヤホン大阪日本橋本店
CUSTOM ART
FIBAE™ 5
¥154000 税込
こういうキャラクター待ってた‼
FIBAE 5は芯のあるボーカル、ずっしりと重いキック、勢いのある高域が特徴的なサウンドです。 シンプルでややモニターライクな落ち着いたモデルが多いCustom Artから、まさかの超個性派モデルが登場してびっくりしています……! パッと聴くと高域の強調が強く感じますが、細やかな部分の表現はかなり丁寧。金管楽器のハリやシンバルが空気を伝わってざらざらと抜けていく表現のリアルさに驚きます。キラキラともシャリシャリとも違う華やかさと鋭さは、FIBAE 5ならではだと感じました。 迫力のある低域はずっしりと重く、ライブ会場でウーファーの前にいるような感覚に。 面でしっかりと鳴らしている、ダイナミックドライバならではの圧をたっぷり楽しめます。 そんな個性あふれる高低域が目立つので、中域はやや大人しく感じますが、派手な中でこそ丁寧でシンプルなボーカルが全体のテンションを整えている印象です。 脳が揺れる低域と勢いのある高域がぎゅっと詰まった、ボーカルを彩る他にはない個性派サウンド。3種のドライバーを採用していますが各ドライバーの温度感に差はなく、きちんとまとまっています。 分離がよくレスポンスも速いので、スピード感のある曲をがっつりノリよく聴きたい方におすすめです。
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もい
@e☆イヤホン 秋葉原店
CUSTOM ART
FIBAE™ 5
¥154000 税込
高クオリティな弱ドンシャリ
平面ドライバー搭載の「FIBAE 5」のご紹介です! (FIBAEはフィーベーって読みます。) 平面ドライバーを2基積んでいるので、「パワーがある程度必要かな?」と思っていたのですが、全くそんなことはなく、個人的にはスマホ直挿しでも十分音量が取れていたので、そこは身構えなくてもいいかなと思います。 平面ドライバーが担当する高域は、スッと抜けていく感じで気持ち良さがあり、温かく迫力のある低音と上手くマッチしてます。 中域は半歩くらい後ろにいて、主張と協調性を持ち合わせています。互いを引き立てつつもちゃんと芯があるので、聴き応えはあるものの長く聴いていられる絶妙なチューニングです。 ミドル帯にありそうでなかったサウンドなので、ハマればオーダーまっしぐらな機種だと思います。
このスタッフの他のレビュー
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すずき
@e☆イヤホン
OEAudio
Multi-Plug Female
¥1320 税込
想像以上に快適・便利な交換式マルチプラグ
クリニックスタッフではない、いちスタッフの私自身が、はんだ付け作業~実際に使用するところまで、Multi-Plugに触れてみました。 簡潔に本製品の魅力をお伝えすると、 ・変換プラグ、ケーブルが不要になる ・1本のケーブルでさまざまな機器に対応できる ・リケーブル回数が減りイヤホン側の負担も減る ということが挙げられると思います。 プレーヤーなどの端子に合わせ、お手軽にプラグを交換できるのは想像以上にストレスフリーで、複数のケーブルを持ち歩くことがなくなりました。プラグ全長は非常に短くコンパクトで、交換式という認識がないと普通のプラグと勘違いするサイズ感です。 これまでの交換式プラグは、全長が長めだったり、プラグとの接続部が太めで、存在感のあるものが多かったですが、OEAudioのMulti-Plugは「より実用的」に重きを置いている印象です。 また、本製品を利用する懸念点として、以下の点が気にされる方もいると思います。 ・接点が増えることによる音質変化 ・基本カスタマイズ前提で敷居が高い ・作業が難しそう まずは音質変化ですが、顕著な変化は感じ取れませんでした。各接点は、素人目に見ても安心感のある品質で、各接合部にもグラつきや緩さはありません。 作業性については、たしかに“一般的なプラグパーツ”と比較すると、すこし難易度が高い印象を受けました。 コンパクトさと代償に作業スペースは狭めで、芯数が多かったり、線材が太いケーブルでは、より難易度が上がりそうです。 ただ、基本的にプラグ交換の作業経験があれば、問題なく扱えるパーツだと思いました。はんだ付けの経験や、作業する自信のない場合は、e☆イヤホンクリニック利用をご検討いただけますと幸いです。 カスタマイズ前提で敷居は高いですが、一度体験すると離れられない利便性があります 実際に使ってみて、楽しみの幅が広がるだけでなく、より愛機を永く大切に使っていくための、手助けをしてくれるプラグだと感じました。
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すずき
@e☆イヤホン
EFFECT AUDIO
Cleopatra II Octa (ConX Basic to TermX Basic)
¥192500 税込
『良バランスでオールマイティな純銀ケーブル』
本レビューは、Cleopatra II 4Wireとの比較が主旨となります。 Cleopatra II Octaは、Cleopatra IIを8ワイヤーで再構成したモデルです。プラグ,分岐,コネクター等、各パーツの意匠は共通で、純粋に芯数のみが2倍になりました。8芯になっても取り回しの良さは健在で、4Wire同様にプラグにTermX(3.5mm、2.5mm、4.4mm)、コネクターにConX(2Pin、MMCX)を標準搭載しています。使用するイヤホン,プレーヤー,アンプに合わせ、プラグやコネクターを変更できる高い汎用性は嬉しいポイントですね。 サウンドですが、大元の音傾向はCleopatra IIをそのまま引き継いでいます。また、引継ぎながらも各音域の弱みを綺麗に改善しているため、純粋な上位モデルと言って差し支えない音質差を感じました。アップグレード感が非常に分かりやすいです。ざっくり良くなった点をまとめると「滑らかさ」「音の厚み」「空間の広がり、音場感」が挙げられると思います。 元々明瞭なボーカルは、より肉厚な出音になり、表現力やリアリティが増しました。バックのサウンドや各音域の繋がりがスムーズになることで、表面をコンディショナーで整えたような滑らかな音が広がります。高域のディテールに優れ、シンバルやギターなど(他弦楽器含む)の生々しさも引き継がれています。定位の良さは大きく変わらずですが、全体の粗さが抑えられたことによって、密度の伴った音場の広がり・空間的な表現に、頭一つ抜けるくらいの向上を感じられました。 楽曲選ばず、どんなジャンルでも楽しめますが“特に相性の良いイヤホンの音”はありそうです。近年のマルチドライバー型によく見られ好まれる、定位に優れたウォーム寄りで高解像度なモデルによくマッチする印象です。イヤホンのキャラクターを綺麗に引き立ててくれます。全体的に解像度高く繊細で柔らかい中高域に、角が丸く自然な中低域と、銀線の特徴に温かみを追加したようなアナログサウンドがOctaの特徴と言えそうです。 Cleopatra IIで感じられた弱点は克服していますが、強いて挙げるならば、価格の割にキャラクターが弱い点かなと思います。銀線にイメージされる艶感もほどほどに抑えられています。一聴して分かる聴き心地の良さと、そこから更に聴き込むことで、じっくり良さが伝わってくるモデルだと感じました。 再生環境:Shanling UP5,Vision Ears VE6x2 試聴楽曲:HOME(古川本舗),ルパン・ザ・ファイヤー(SEAMO),君はロックを聴かない(あいみょん)
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すずき
@e☆イヤホン
EFFECT AUDIO
Code 23 (ConX Basic to TermX Basic)
¥72600 税込
エネルギー満ち溢れる、極太・高解像度サウンド
「Codeシリーズ」に“EFFECT初の単線モデル”が登場し、それが「フラッグシップレベルの銅ケーブル」という、EFFECT AUDIOを知る人にとっては、情報量の多いケーブルかもしれません。 まずお伝えしたいのは、やはり単線ゆえに相応に硬いイヤホンケーブルであることです。EFFECTケーブルの中でもトップクラスの硬さだと思います。ただ、ケーブルの取り回しは素直であり、実際に通勤で使用しても普段使いがむずかしいレベルには感じません。そんなことよりも、多少の扱いづらさを差し引いても使い続けたいサウンドがCode23にはありました。 ずぶとく、厚く、高解像度で、適度なスピード感に広さと、一聴して素性の良いサウンドが眼前に広がり、ボーカルと楽器音(特にギター音)がとにかく映えます。うねりや高音域の自然な伸びは非常に艶めかしく、それでいて刺激はありません。変な癖がないのでどんなジャンルもいけますが、ロック・ボーカル系の楽曲が抜群に合う印象です。 また、特筆すべきは豊かな情報量と高いS/N比です。背景ノイズの少なさゆえ、真っ暗な静寂から音が立ち上がるような感覚と、音響特性がばっちりコントロールされた空間で奏でられたような生々しい描写力と音の鮮度に圧倒される情報量、それらが心地よくミックスされて耳に飛び込んできます。 取り回しを考慮してもお釣りがくるくらいのサウンド体験で、この音が楽しめるなら多少硬くても……と思ってしまうほどの、究められた銅の音をまざまざと見せつけられた気がします。金、銀、銅などさまざまな素材を駆使してきたEFFECT AUDIOだからこその説得力を感じました。 ■試聴機:VE MEISTER,NW-WM1AM2 ■試聴楽曲:花人局(ヨルシカ),Rock on.(ナノ),Rising Hope(LiSA),Hot Meal(Girls Dead Monster),お勉強しといてよ(ずっと真夜中でいいのに。)
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すずき
@e☆イヤホン
CUSTOM ART
FIBAE™ 7 Unlimited
¥165000 税込
解像感とアナログライクを両立した優しいサウンド
FIBAE 7 Unlimitedは、同社のFIBAE 7を再設計・再チューニングしたモデルです。高域用ドライバーを変更したこと、また、クロスオーバーの刷新でダイナミクスと感度を改善したことが大きな変更点とのことです。 ドライバーを更新した影響か、中高域に特徴があるモデルです。角が丸く刺激が少ない、シルキーでさらさらとした自然で優しい聴き心地です。また、透明感・繊細さ・伸びも十分にあり、ボーカルがとても聴き取りやすいです。全体のバランスとしてはフラットですが、ボーカル表現の優秀さが際立っているように感じました。 低域は非常にソリッドで締まっています。小気味よく軽快でレスポンスに優れた低域は、他帯域に被らない程度に存在感があります。“さりげない”という表現が合いそうな優しい広がり方に、少しアナログライクな印象を受けました。現代的なくっきり高解像度さと、耳触りよく温かみのあるアナログさを感じる絶妙なチューニングです。 聴き疲れしづらく、各帯域の不足感もないので、楽曲ジャンル・世代を問わず、さまざまな楽曲と合わせられると思います。 ■試聴楽曲: 夜明けと蛍(n-buna),W/X/Y(Tani Yuki),ORIGINAL(DUSTCELL), CH4NGE(feat.可不),靴の花火(ヨルシカ)