スタッフレビュー詳細
空間を自在に操る魔術師
Astell&Kern(以下AK)、音楽プレイヤー(DAP)を語るうえで外すことは出来ないメーカーですが、
さらに今後DAPを語るうえで外すことができなくなるであろう機種、それがSP3000です。
このレビューでは、
1.音質
2.おすすめ機能
3.UI周り
この3つに焦点を当てて紹介していきます。
・音質
フラグシップを冠するにふさわしい解像度や空間表現等を持ち合わせていることは前提として、
解像度重視の粒立ちの良い音、というよりは空気感をとことん追求し、音に包まれるような、
イヤホン、ヘッドホンを着けていることを忘れるようなすっと抜ける自然な表現に重きを置いた音作りという印象を受けました。
この雰囲気はアンバランス下での試聴の際に顕著に見受けられ、バランスでの試聴の際はより細かい表現力に富んだ音へと変化します。
バランス接続の恩恵であるS/N比の向上で空間表現の正確さにより磨きがかかり、常套句ではありますが、本当にそこにアーティストやオーケストラがいるのではないかと思うほどです。
サブベースの振動に近いレベルの低域の表現、ティンパニーなどの打楽器が発する音の躍動感等生々しさがビリビリと伝わってくるくらい音を浴びることができます。
・クロスフィード機能による空間演出
こちら個人的一押しポイントです!
様々なジャンルの楽曲を試しに流してみましたが変な歪みや違和感は一切見られなかったです。
長時間の試聴の快適性の確保はもちろん、普通の音源にライブ感やホールで鳴っているような感じをプラスするようなちょっとした遊びも可能とし、
SP3000が得意とする空間表現を多分に活かした機能だと感じました。細かい設定も出来るので自室のスピーカー環境の再現といったことも出来てしまうのではないでしょうか。
就寝前、クロスフィード機能をONにした状態でウイスキー片手にアンビエントを聴く……その時間は間違いなく至高の時間となる事でしょう。
・UI周り
既存AK製品から少し画面変化がありました。
下にホームボタンやバックボタンが追加され他社のAndroidDAPのようによりスマートフォンの画面に近くなったといえばいいでしょうか。
UI周りで個人的にいいなと思ったのは、ボタンの1つにストリーミングサービスへのアクセスボタンがあることです。
以前までのAKのUIですとApple MusicやAmazon Musicなどのストリーミングサービスを開こうと思った時、メニュー→サービスと2段階の動作が必要でしたが、
ストリーミングサービスへのショートカットが新設されたことにより、ワンタッチでストリーミングサービスの場所へアクセスが可能となっています。
最近はストリーミングサービスは音楽を聴く上で欠かせない物の1つになりつつあるので、
頻繁に使うであろう機能へのショートカットというのは地味ではありますがかなり重要なことであり、長い年月使えば使うほどこのボタンのありがたさを感じるのではないかと思います。
・まとめ
Astell&Kernがすべてを持って作り上げた集大成ともいえるプレイヤー。
それぞれの視聴環境に寄り添ってくれる機能も充実しており、まさに一生を添い遂げる相棒として頼もしい機種となっているのではないでしょうか。
音とは何か。音楽とは何か。
その答えの1つがここにはある。
試聴環境
イヤホン DUNU EST112(3.5mm、4.4mm)
ヘッドホン NEUMANN NDH30(3.5mm)
主な試聴音源
光田康典 CHRONO CROSS ~時の傷痕~
fox capture plan Butterfly Effect
Snail’s House Pixel Galaxy
Sound Horizon 愛という名の咎
ベートヴェン 交響曲 第3番 変ホ長調 作品55《英雄》: 第1楽章
Nhato Logos
量感イメージ
この商品に対する
他のスタッフのレビュー
-
ぴょん
@e☆イヤホン仙台駅前店
Astell&Kern
A&ultima SP3000
Black
¥575980 税込
Astell&Kernの集大成 究極のDAP
Astell&Kernから究極のDAP「SP3000」が登場しました!!! 私はまだaudio歴が浅いのですが、普段SP1000を使用しているので、少し前のモデルですが比較してレビューしようと思います。 見た目の違いとして液晶外についていたボタンがなくなっていて液晶内に3つのボタンがつきました!これで直感的な操作が可能になっています!さらに操作してからの応答速度も速くスムーズに動作してくれます。 そして、UIが大幅に変更されていて赤黒ベースのダークな雰囲気になっていてスタイリッシュなデザインです。 つづいて肝心の音についてですが、とても力強い音だなという印象を受けました! 力強い迫力のあるサウンドで、特に音の空間表現がSP1000とは比べ物にならないと感じました!まるでライブ会場にいるような表現力で感動します!解像度の高さはもちろんとても聴き応えのあるサウンドです。 基本的にどの帯域も聴き心地がよいのですが、高域の方がより良く繊細に聴こえるように感じました。 さらに、特徴としてクロスフェード機能を搭載しているのでヘッドホンでご試聴いただくとスピーカーのような自然なサウンドでよりリラックスして聴けるようになっています。 間違いなく究極のDAPでした! 操作性も向上 音質も向上 多機能搭載と非の打ち所がないものになっています。お値段はなかなかですが、このお値段に相当する音がSP3000にはあります! 試聴環境:SP3000 試聴イヤホン:IER-M9 試聴楽曲:Official髭男dism / Pretender 黒崎ちとせ、白雪千夜 / Fascinate(Live ver) 内田真礼 / Shiny drive, Moony drive chronoir / スターブラックゲイザー
-
わか
@e☆イヤホン
Astell&Kern
A&ultima SP3000
Silver
¥575980 税込
王者再臨
「Astell&Kern A&ultima SP3000」は、まさに次世代フラッグシップモデルの名にふさわしいDAPです。 まずは見た目から。Astell&KernのDAPはどれも見た目の美しさが特徴的ですが、SP3000は金属部分の美しさが特に際立っていました。 筐体はやや横幅が広めで、ずっしりとした重みを感じました。持ちづらいとは感じませんでしたが、選曲等の操作をする際には両手で操作するサイズ感でした。 肝心の出音は、まさに「完璧」といった印象でした。 「力強さ」「繊細さ」「生々しさ」「音源の空気感」の全てを持ち合わせていて、あら捜しをすることが無粋だと感じてしまいました。 どの帯域においても素晴らしい音を奏でてくれますが、どちらかというとやや高音域のきらめきの美しさが特徴的だと感じました。 2022年10月時点でe☆イヤホンで取り扱っているDAPの中でもTOP5に入る高額製品ではありますが、SP3000の奏でる音はその値段に見合っていると断言できるものでした。 試聴環境 Astell&Kern A&ultima SP3000→AAW ASH(カスタムIEM) 試聴楽曲 いぎなり東北産 - 服を着て、恋したい Avicii - Without You
このスタッフの他のレビュー
-
よしけい
@e☆イヤホン 秋葉原店
Panther Audio
LEGEND K8(Universal Fit)
¥114000 税込
正統派フラット系イヤモニ
パンサーオーディオのLEGEND K8はフラットですっきりとしたサウンドで、音源のおいしいところを味わいたいあなたへおすすめなイヤホンです。 【音質】 音のバランスは非常にフラットな特性を持っており、特別どこかが出ているわけではないです。これは楽曲自体が持つ音のバランスを忠実に再現してくれているということであり、どんな楽曲でもフラットっぽく聴こえるわけではありません。ボーカルが入っている楽曲はボーカルを、Drum'n'Bassのような低域が特徴的な楽曲は低域をしっかり際立たせてくれます。 近い特性のイヤホンを挙げるとすれば、SONYのIER-M9やVISION EARSのVE6 X2などが近い印象です。その中でもLEGEND K8はより明瞭に表現することに重きを置いている印象で、この3機種の中では一番音をくっきりはっきり鳴らすような音作りとなっています。 【装着感】 Panther Audioは自身の耳型を採取して作製する“カスタムIEM”も受け付けているメーカーであり、LEGEND K8もユニバーサルに加えてカスタムでのオーダーが可能です。その影響かユニバーサルモデルもカスタムIEMライクな形状をしており、筐体がだいぶ大きめなので耳が小さめな方は少々きついと感じてしまうかもしれません。ですが、私が装着した感覚としては大きさは特に問題ありませんでした。さらに、非常にフィット感が良く、多少動いたくらいでは外れたりしないほど安定して装着できました。遮音性も問題ありません。 楽曲全体のバランスをチェックされるクリエイターやエンジニアの方、様々なジャンルの楽曲を聴かれる方はぜひ一度試聴していただきたいイヤホンです。
-
よしけい
@e☆イヤホン 秋葉原店
Bose
QuietComfort Ultra Headphones
Black
¥59400 税込
静寂は音楽を際立たせる
大迫力の低域にそれを際立たせる圧倒的なノイズキャンセリング。 QuietComfort Ultra Headphones(以下QCUH)は今まで以上に自然なノイズキャンセリングで音楽に集中できる、そんなヘッドホンです。 静寂も音楽の大事な要素の1つです。特に外で音楽を聴く際は周りの騒音のせいでどれほどの音が聞こえなくなってしまっているのでしょうか。しっかり音を聴こうとして音量を上げるのも耳にはあまりよろしくない……。今やノイズキャンセリング搭載が標準になりつつあるワイヤレスヘッドホン界隈の中でもQCUHは非常に高いクオリティで、街中や地下鉄、強風の中でも過剰に音量を上げることなく音楽を楽しめるノイズキャンセリング、及び機能が搭載されています。 音質について、Boseの音といえば最初に挙がるのはもちろん低域でしょう。QCUHもかなりインパクトがあります。圧倒的大迫力の低域は音楽に臨場感をプラスし、よりライブ感がある音楽として楽しむことができるでしょう。また、超低域もしっかり鳴らしてくれるので、迫力がありつつも深いベースの響きなどが味わえるような効かせる聴きごたえもあります。 中高域はシャープでハキハキと発音されるので、低域の圧に埋もれることもなく、邪魔することもなく。低域の迫力を味わいつつもボーカルやバイオリン、ギター等高い音域の楽器たちも余すことなく表現してくれます。 加えて、僕が第一印象でいいなと思った点として、アームや全体の重さなどの造形部分があります。 Boseのワイヤレスヘッドホンのフラグシップで言えば、Noise Cancelling Headphones 700が記憶に新しいと思います。NCH 700は丸みを帯びたスタイリッシュなデザインでしたが、QCUHはNCH 700と比較してアーム部分が太くなり、ハウジングの形状もやや大きくなったことでやや大振りな印象を受けます。 アーム部分は金属製のものを採用し、より堅牢な造りになっていたりと耐久性を上げるためのデザインではないかと個人的には感じました。また、丈夫だと重くなったりするのがこの世の常ですが、重さはNCH 700と同じ250gと比較的軽量。軽さは維持しつつ、耐久性の向上をはかっています。装着感も柔らかく包み込んでくれるような感じなので、長時間の使用も問題ないかと思います。丈夫で軽い。最高ですね。 優れたノイズキャンセリングで音楽に集中したい方、低域の迫力を存分に味わいたい方におすすめしたいヘッドホンです。
-
よしけい
@e☆イヤホン 秋葉原店
SONY
WF-1000XM5
ブラック
¥41800 税込
創造するのは音ではなく音楽
より自然に、より快適に。WF-1000XM5は日常に彩りをプラスしてくれる、そんなイヤホンです。 最初はもちろん耳に着けるところから始まるわけですが、前モデルであるWF-1000XM4の時はキュッと耳にフタをするような感覚があり、少し慣れないところが個人的にはありました。しかし、WF-1000XM5に関しては小型化、軽量化のおかげもあってか耳にスッと収まってくれるような装着感で、よりストレスフリーに音楽を楽しめました。 そして耳に着けたときにまず流れるのは音楽ではなく、無音の世界です。新しい機種が出るたびにテンプレの様にノイズキャンセリングの性能が上がったとレビューに書かれるわけですが……今回もしっかり性能が上がってくれました! 強すぎるノイズキャンセリングは閉塞感や圧迫感を伴うのが少し前の常識でしたが、それはもう過去の話。自然な減音をしてくれるので、音楽を聴かず耳栓代わりとして使いたいという方も納得の使い心地ではないかと思います。隣で青軸のキーボードをカタカタ叩いている人がいてもきっと大丈夫。 音質については、そもそもイヤホンやヘッドホンはスマートフォンなどから送られてきた「音」の情報を再生するのが役割ですが、WF-1000XM5は「音楽」を再生してくれているイメージです。 楽器一つ一つの音が乖離せずまとまりをもって表現され、楽曲の持つ空気感を余すことなく届けてくれます。ノイズキャンセリングの性能の高さもあって細かい音の描写もさすがのもので、バイオリンの弦から弓を離した後の音が減衰していく様は非常に生々しいものを感じます。細かいところに目を向けるような聴き方をすると低域がやや淡白な鳴り方をしており、もう少し迫力があってもいいかなと思いましたが、曲全体を俯瞰して見た時やただじっくりと味わう聴き方の時はもう少し欲しいなと思っていた部分も自然と感じさせないくらい絶妙なバランスで再生してくれて、素直に驚きました。 また、自分がDTMを始めたての頃の音源を聴いてみたら、「こんなにMIXちゃんとしてたかな?」と思うくらいには豊かな装いをしており、単純にイヤホンが音を出しているというよりは、音楽を奏でているといった感覚に近い印象を受けました。 これをいわゆる「作られた音」と感じる人もいるかとは思いますが、これだけしっかり作りこまれた世界を演出してくれるのであれば、楽しく音楽を聴くという点に関しては個人的には大歓迎ですし、納得のクオリティです。 音楽を楽しく、より豊かに奏でてくれる。そんなイヤホンだと思います。ぜひ、お試しください。 試聴環境 Pixel 7 PAW6000 試聴楽曲 星街すいせい「みちづれ」 fox capture plan「Butterfly Effect」 Sound Horizon「愛という名の咎」 黒沢ダイスケ「INSPION」 下村陽子「Vector to the Heavens」 ベートーヴェン「交響曲第3番 変ホ長調 作品55『英雄』」 自作曲
-
よしけい
@e☆イヤホン 秋葉原店
beyerdynamic
DT 1990 PRO (250 Ohm)
¥95480 税込
ステレオ感の表現に優れた1台
ミキシングからマスタリング、はたまたリスニングまで幅広く使えるモニターヘッドホン、それがこのDT 1990 PROです。 ヘッドバンドやエンドピースの金属部分まで、しっかりとしたパーツ達で構成されています。モニターヘッドホンは長い間共に音楽を創っていくパートナーでもありますから、DT 1990 PROのそれは長期間の使用に耐えうる非常に頼もしいものになっているでしょう。 DT 1990 PROには2種類のイヤーパッドが付属しており、それぞれ音が異なります。 ・バランスタイプ装着時の音質 非常にワイドなダイナミックレンジを実現し、空間表現の豊かさが非常に印象的です。帯域のバランスも非常によく、過不足なく鳴らしてくれます。 より音楽を分解して細かく見るということであれば後述のアナリティカルタイプがおすすめですが、リファレンスサウンドとしてこちらのタイプでのチェックも非常に有益なものになるのは間違いないと思います。音楽鑑賞として使用するのであればこちらがおすすめ。 ・アナリティカルタイプ装着時の音質 名前の通りではありますが、私としてはこちらの方がよりモニター的な音作りになっていると感じました。空間表現は空気孔が少ないタイプに比べ少しコンパクトな表現となりますが、その分解像度が非常に高く、1音1音聞きの聞き取りがとてもやりやすい。 パン振りでの位置関係、シンセサイザーのカットオフの処理とかも非常にやりやすく、音そして音楽を創り上げることに対して、1つだけ気になる部分があるとすれば、解像度が高いぶん高域がだいぶ刺さりやすくなることです。歯擦音などのチェックにはいいかもしれませんが、音楽鑑賞としての長時間使用は少しつらいかもしれません。 癖がなく、汎用性の高い1台を探している方はぜひチェックしていただきたい1台です! 試聴環境 PAW6000 ADI-2 DAC FS 試聴音源 星街すいせい「みちづれ」 fox capture plan「Butterfly Effect」 Sound Horizon「愛という名の咎」 黒沢ダイスケ「INSPION」 下村陽子「Vector to the Heavens」 ベートーヴェン「交響曲第3番 変ホ長調 作品55『英雄』」