スタッフレビュー詳細
据え置かれた緻密で究極のDAP
Astell&KernのHi-Fiオーディオ製品へのこだわりを凝縮しつつも“スタンダードライン”という位置付けを確立し続けてきた「A&normaシリーズ」。「SR15」から始まり、「SR25」「SR25 MKII」と続き、いよいよ第三世代目の「SR35」が登場しました。
Astell&KernはSRシリーズ全てにおいて、特徴的な斜めに配置された画面や段階式ボリュームホイールのレイアウトなど、ハードウェアに関しては大きな変更を加えずに”据え置く”選択肢を取っています。
ディスプレイの解像度はSR15からSR25へと進んだ際に大幅に良くなりました。SR35はSR25と同様のHD画質で据え置かれています。また、CPUに関してはSR15からずっとQuad-coreを搭載しており、Octa-coreを搭載しFHDディスプレイを搭載したSP3000に比べてサブスクリプション系アプリでの音楽再生や「V-Link」を用いたYouTubeの動画視聴時の動作や使いやすさはどうしても敵わないところがあります。
一方で音に関しては常に唯一無二で同世代のプレイヤーの追随を許さない、そんな確固たるこだわりを感じられる性能で我々ユーザーを虜にし続けてきました。
SR35もそのDNAはしっかりと引き継いでおり、DACチップには「CS43198」を採用。SR25 MKIIまでは2基搭載されていたDACチップを種類はそのままに、4基搭載することで圧倒的な音の進化を遂げています。
「声DAP」と呼ばれたこれまでのSRシリーズに比べると、ボーカル帯域の音の主張は大人しくなりました。ただ中高音域が弱くなったわけではなく、中低音域が濃厚で輪郭のハッキリとした音作りになり、そのおかげで相対的なバランスが整ったように感じました。
DACチップを贅沢に4基フル稼働される「Quad DACモード」だと濃厚で緻密、音楽を芯の髄まで聴き込ませるような高カロリーサウンドを、2基のチップで稼働する「Dual DACモード」だと音自体はあっさり控えめながらも、新開発のアンプが奏でる迫力と繊細さが同居した表現力豊かなサウンドをたっぷりと身体に流し込めます。
あえて”据え置く”ことで完熟したプレイヤーを作り出したAstell&Kern、素直に脱帽しました。SR35というプレイヤーが秘めた究極の蜜を是非お試しください!
試聴音源
・【歌ってみた】きゅうくらりん / いよわ feat.可不 【椎名唯華 / にじさんじ】(V-Linkを用いて試聴)
・PSYCHO / Hakos Baelz
量感イメージ
この商品に対する
他のスタッフのレビュー
-
しょうちゃん
@e☆イヤホン
Astell&Kern
A&norma SR35 【IRV-AK-SR35】【~10/1まで!AK DAP買い替えキャンペーン!】【~10/31まで!専用ケースプレゼント!】
¥116980 税込
利便性と高音質がギュッと凝縮
・取り回しの良いサイズ感と普段使いしやすい軽量さ ・透き通るように綺麗なサウンド ・重心が低めでありながらもバランスが良い 上記の中に気になるものがあった方にオススメの製品、それがAstell&Kern「SR35」です! Astell&KernのSRシリーズといえば「斜めに配置されているディスプレイ」が真っ先に思い浮かぶほど特徴的なデザインや、手に馴染んで持ちやすい筐体の形状は前作と比較して大きな違いは感じません。 手に取ると改めてわかるそのコンパクトさと、重厚感のある外観からは想像がつかないほどの軽さによって、普段使いに最適な印象です。どこへ行くにも持ち運びの負担が少ないため、通勤通学やちょっとしたお出かけの際など、様々な使い方が想像できます。 音質に関しては透き通るように綺麗で、真っ直ぐに伸びていくサウンドが印象的でした。全体の重心は若干低めでありながらも偏っている印象はなく、バランスよく器用に表現していると感じました。 低域のかなり下の音から高域まで解像度が高く、ハッキリと描き出せる高い表現力を備えています。特にボーカルや高域の表現が印象的で、優しく包み込むような感覚と透明感のある心地良い音が相まって、鳥肌が立つような臨場感が味わえました。 音場は遠くまで広がるような感じではなく、自分の周りを駆け巡っているかのように広がる印象です。 上記のサウンド傾向から、女性ボーカルの楽曲やジャズ、アコースティックやライブ音源などと相性が抜群だと思います。 画面も音もデザインも綺麗。さらに高い利便性を備えた、普段使いに最適なDAPの新たな定番になり得る商品です。ぜひ一度お試しください! 【試聴楽曲】 HYDE / HONEY 星街すいせい/ Stellar Stellar
-
アラチャン
@e☆イヤホン 秋葉原店
Astell&Kern
A&norma SR35 【IRV-AK-SR35】【~10/1まで!AK DAP買い替えキャンペーン!】【~10/31まで!専用ケースプレゼント!】
¥116980 税込
マルチパーパスコンパクトDAP
Astell&Kernから待望のミドルハイクラスDAPの登場です。 まず目を引くのはやはり斜めに配置されたディスプレイです。SRシリーズのアイデンティティのこの配置は、右手でホールドした時に視認しやすいように作られています。実際に持ってみると視認性が高いと感じました。 UI/UXについては、フラッグシップラインで採用されたものに一新されています。CDのアルバムアートが表示され、そこから各曲にアクセスできるスタイルです。もちろん今までのリスト表示やタイル表示などにもできるため、使いやすいです。また、動作もサクサク動きます。SDカードに音源を落として使う方には最適な選択肢かもしれません。 音についてはクアッドチップのおかげか、パワフルなサウンドです。もちろん押し出しが強くなっただけではなく、従来の中高音域、特にボーカルの艶感などはしっかりと継承されています。 「KANNMAX」に近い音作りですが、もう少し中高音域の伸びがあるように感じます。デュアルチップモードにすると押し出しの強さは控えめになり、丁寧な“AKらしい音”になります。好みや気分によって使い分けができ、様々な楽しみ方が想像できました。また駆動力も十分なので、イヤホンやヘッドホンとの組み合わせも幅広いです。 近年大型化する傾向にあるミドルハイクラスに彗星のごとく登場した、コンパクトでパワフルな「SR35」、ぜひご試聴ください。 再生環境:SR35→ES60(3.5mm接続) 試聴楽曲:official髭男dism「pretender」 花譜「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ」 ずっと真夜中でいいのに。「綺羅キラー(feat. Mori Caliope)」
このスタッフの他のレビュー
-
Hulk
@e☆イヤホン 名古屋大須店
水月雨 (MOONDROP)
Little White
¥13500 税込
白くて儚い御伽噺、水月雨の淡い世界観を手軽にワイヤレスで
今を輝く一等星、水月雨 (MOONDROP)から一冊の御伽噺。極上のBluetoothケーブルが発売されました! まるで一冊のファンタジー小説のようなパッケージをまとった左右一体型Bluetoothケーブル「Little White」。完全独立型ワイヤレスが主流の今、あえて左右一体型にするメリットは2つあります。 一つは連続使用時間。バッテリーが本体に内蔵されたもので完結しているため、一度に再生できる時間に優れています。 もう一つは駆動力。DAPや小型DACアンプを使わないと性能を引き出しづらいイヤホンである「群星-STELLARIS」や「Blessing3」でも簡単に鳴らし切れていたので、パワーに関しては申し分ないでしょう。 また、Bluetoothケーブルとしての機能面もしっかりと作り込まれています。 純正アプリケーション「MOONDROP Link」にて、水月雨 (MOONDROP)の各イヤホン用にチューニングされたEQを選択できます。音はもともと中高域寄りですが、DSPデジタル信号処理によって音を歪みなくイヤホンに合わせた調整が可能です。 さらに、ファームウェアアップデートでガイダンス音声を水月雨 (MOONDROP)のイメージキャラクターである「水月ゆき」に変更できます。ガイダンス音声に関しては変更しない理由がないので、ファームウェアの更新は必ず行いましょう! ワイヤレスでも音を妥協しない現代だからこそ、ネックバンド型の強みが活かせるのではないでしょうか。 「Little White」は有線イヤホンをワイヤレス化する上で最高の選択肢になり得る製品です。ぜひご検討いただければと思います。 接続したイヤホン ・水月雨 (MOONDROP) / KATO ・水月雨 (MOONDROP) / Blessing 3 ・水月雨 (MOONDROP) / STELLARIS
-
Hulk
@e☆イヤホン 名古屋大須店
水月雨 (MOONDROP)
Starfield 2
¥19170 税込
夜空満開の星々とイヤホン、静寂な空に光るたったひとつの「Starfield 2」
水月雨(MOONDROP) Starfieldが「STELLARIS」という唯一無二な兄弟機を経由し、さらなる夜空を駆ける旅へと踏み出しました。 以前私はレビューにて、「Starfield」を『真夏快晴後の夜空』、「STELLARIS」を『冬の澄み切った夜空』と表現しました。同じような表現で例えるならば、「Starfield 2」は『真夏の夜夜中(よるよなか)、星の光だけが一面に広がる純黒の夜空』といったところでしょうか。 先代の「Starfield」よりも音の透き通り方や音域ごとの陰陽に拍車がかかり、まるで静寂で距離の計り知れない夜空の黒さと、距離や温度によって明るさが微妙に異なる星々の色の対比のような、「Starfield」や「STELLARIS」のシリーズにしか醸し出せない豊かな表現力により磨きがかかったように感じました。 ドライバーの材質は変更されていますが、音の広さ自体に差はないように感じます。カーボンナノチューブ振動板によって奏でられるフラットで広い音場は、「Starfield」というブランドの人気を確立させた魅力と言っても過言ではないと思います。対して「Starfield 2」はフラットなバランスを崩さない程度に中低音域の抑揚があるので、また違った楽しみ方が見つかるのではないでしょうか。 フェイスプレートのデザインは「STELLARIS」のデザインを継承し、ケーブルはプラグやコネクタ、分岐点に華やかな金色のパーツを使いつつも取り回しの良い形状のままです。ビルドクオリティもそのサウンドも一回り二回り……それ以上の進化を遂げた新"星"「Starfield」。ぜひご自身の目と耳で、天体観測にお越しくださいませ。 試聴音源 ・Blossom / Synthion ・Pineapple / Takanashi Kiara
-
Hulk
@e☆イヤホン 名古屋大須店
水月雨 (MOONDROP)
竹-CHU 2
¥4590 税込
Wan CHU (Want to) get CHU? レトロポップな世界へようこそ!
中国の深圳出身の水月雨 (MOONDROP)から、エントリーイヤホンの定番機「竹 -CHU」の後継モデルがついに発売になりました! 先代は自然で原音に忠実な音作りと、小ぶりで軽量かつかわいいデザインの本体が人気のエントリーモデルでした。2世代目になって大きく変わったのは、筐体の形とその仕様。同社の「蘭 -LAN」と同じ形状の筐体になり、それに伴いケーブルもCIEM 2pin規格の交換可能なものに変更されています。ドライバーも大きさこそ先代と同じですが材質が見直され、より高剛性かつ軽量になりました。 価格はほぼ据え置きでエントリークラスの域ですが、音はエントリーの域を遥かに超えた、最高にゴキゲンなサウンドでした。 先代と同様に自然さや忠実さは持ち合わせていますが、最初から丸く整えられた完成品というよりは、『面は毛羽立ち、角は指が切れそうなほど荒々しい原材料を職人の業で丁寧に研磨し、角を取り、究極の逸品として生まれ変わった魂の作品』こういった表現がふさわしいのではないかと思います。 中低音は深い位置から正確に叩き上げられるアッパーの如し。高音域は中低音域が全く邪魔をしない位置にあるおかげで、主張せずとも聴き取りやすい滑らかな音を奏でてくれます。 特に合うジャンルはシティポップやフュージョン! 個人的には2-StepやUK Garageといった昔懐かしいディスコナンバーも楽しみやすいと感じました。MOONDROPには珍しい、オールドナンバーとの相性がとことん良いイヤホンです。ぜひみなさんの耳でこのグルーヴを感じてみてください! 試聴音源 ・TwinTurbo / ピーナッツくん ・1:15 AM / Ayunda Risu
-
Hulk
@e☆イヤホン 名古屋大須店
水月雨 (MOONDROP)
MOONRIVER2-Ti
¥28350 税込
不自然で自然的。スマホとUSB DACだけで究極の非日常を
水月雨 (MOONDROP)よりUSB DACのフラグシップモデル「MOONRIVER2」の後継モデルが発売になりました! 「MOONRIVER2-Ti」のデザインテーマは「参差(しんし)の美」です。 しん‐し【参差】 ① 高さや長さが異なっていて、そろわないこと。等しくないこと。ふぞろいなこと。また、そのさま。 ② 互いに入り交じっていること。互いに交錯していること。また、そのさま。 ③ くいちがっていること。矛盾していること。また、そのさま。 ④ 願望・意図などがかなえられないこと、またそのさま。 (コトバンク, https://kotobank.jp/word/%E5%8F%82%E5%B7%AE-537586) 「空鳴-VOID」の時と同じく、マイナスイメージな言葉を利用し、儚さを表現した演出方法、コトバ遊びになっていますが、僕はこのキーワードから「不自然で自然な表現力を持ったDAC」という印象を抱きました。 まずデザイン。「MOONRIVER2」の特徴的なフォルムイメージは残しつつ、材質の変更に伴い全体的な印象は大きく変わっています。 表面はどこから見ても左右非対称なデザインで、不揃いな長さの曲線を組み合わせた幾何学的なデザインです。側面を見ると今度は曲線を描いていたラインが等間隔でまっすぐ並び、膨らんでいく本体の形状をより際立たせているようです。 底面は基板やDACチップが見えるように透明になっていますが、一部規則的な曲線で透かしたハーフクリアウィンドウの仕様です。 どこをとっても特徴的なデザインですが、いざ使ってみるとこの個性が際立つ素振りはありませんでした。むしろ直線的で左右対称なデザインの方が不自然で異様、そう感じさせる不思議な魅力が詰まっています。 次に音質について。DACチップの構成は「CS43198 x2」と先代MOONRIVER2から変わっていませんが、音の透明感、歪みの少なさはより鮮明になっています。 同社のUSB DAC「暁 - DAWN」や「LITTLE WHITE」のような、女性ボーカル 〜 高音域への伸びやかさが強調されたチューニングではなく、お淑やかなカマボコ傾向の音に収まっています。DACチップの巧みな質感表現を活かしたタイトめな中低音域がスパッと切りこみ、しっかり音を整えてくれるので、その分メロディーラインやボーカルは聴きやすい印象です。「ボーカルを聴かせるための低音」といった音は「Blessing 3」に通ずるものがあります。 何よりも印象的だったのが音の透明感です。 我々は普段雑音や空気中の塵など、ノイズにまみれた中で生活しています。そのため、吸音パネル等を利用して完全に雑音をカットした空間や、山間部の湖のほとりなど、ノイズのないナチュラルなものに対して、違和感があってしまうものです。 「MOONRIVER2-Ti」にはそういった『不自然で自然な透明感』があります。あまりにもクリアで、音に一枚ベールがかかっているんじゃないかと錯覚するほど透き通った音は他のUSB DACでは味わえない一番の魅力なのではないでしょうか。 不規則だからこそ馴染むデザイン。違和感を覚えるほど自然で透明な音。まさに矛盾した「参差」なUSB DACです。 ぜひ一度お試しください! 試聴音源 ・アンリアルヴェイル / アーニャ・メルフィッサ ・MESS / Hakos Baelz ・正体 / いろはにほへっと あやぶふみ