スタッフレビュー詳細
整った定位とボーカルが秀逸
シルバーカラーのシンプルで無骨な外観から、「どんな音なのだろう?」と興味がそそられます。
まずは装着感に関して、ハウジングの大きさやデザインから受ける印象とは裏腹に、おおよそ350g前後と軽量です。さらに、軽量でありながらも側圧は程よいと感じました。イヤーパッドのカバー「EarProfit」を付ける際にはL70のサイズがおすすめです。
また、リケーブルに関しては、3.5mm両出しとなっているものの、他社製品のケーブルの相性によっては挿さりがキツく感じられる場合があります。なので、リケーブルの際は思いっきり挿すのではなく、ゆっくり挿して行うことをオススメします。
そして、音質についてはやや中域が前にくる、全体的に透明度の高いサウンドです。ボーカルから高域にかけては、開放型ヘッドホンの中でも比較的あっさり目な位置づけだと感じます。中低域はキックやアタックが心地よく響いており、低域は量感で押し切るのではなく、澄んで見通しよく鳴らしてくれています。
音の立ち位置は近めで聴き取りやすいところにあり、特に女性ボーカルが前に来てくれます。音の近さ故に迫力があったり、パワフルに聴こえる部分もありますが、先述の通り量感で押し切る感じではないので、厚ぼったくはならずリズムよく聴ける楽しさがあります。
音が整っていて聴き取りやすく、透明度のある奥行きを感じたい……でもある程度はパワフルさが欲しい! そんな方におすすめしたいヘッドホンです。
試聴環境:Hiby R6 proⅡ
量感イメージ
このスタッフの他のレビュー
-
タナトス
@e☆イヤホン 秋葉原店
xDuoo
XD05 PRO
¥113300 税込
多機能で味変が楽しめるポータブルDACアンプ!
【XD05 PROの音質】 DAC CARD「ES9039SPRO」使用時は、ややクールな音色で、音の輪郭を明確に鳴らしてくれます。アップテンポな楽曲を聴いても勢いに流されることなく、しっかりとした分離感が感じられます。フラットともドンシャリとも取れる絶妙な量感と帯域バランスを持っているため、ジャンルを問わず楽しめる魅力があります。音の距離感は遠すぎず近すぎず、イヤホンやヘッドホンなど出力先の特性を活かしてくれます。 また、HEED「HEDDphone」やbeyerdynamic「T1 2nd Generation」など、ある程度の駆動力が必要なヘッドホンでも試してみましたが、ゲインをTURBOに設定すれば十分な音量が確保でき、音量不足を感じることはありませんでした。 【接続方法】 豊富な入力方法に対応しており、デジタル入力ではUSB/コアキシャル/オプティカル/Bluetooth、アナログ入力では3.5mm/4.4mm/AESでの接続が可能です。今回はUSBとBluetoothでの接続を試してみました。 USB接続では、生々しさがあり、一音一音に厚みが感じられ、活き活きとした表現になります。一方、Bluetooth接続ではややサラッと軽めの鳴り方になりますが、帯域バランスや音色が大きく変わることはありませんでした。 【別売りDAC CARDでのレビュー】 「AK4499EX」では、カマボコ傾向のサウンドになり、より生々しいボーカルが際立ちます。先述した「ES9039SPRO」の分離感とは異なり、滑らかなつながりと迫力があり、長時間聴いても疲れにくい音でした。 「BD34301」での試聴では、輪郭に丸みが出て、ややウォーム寄りの音になりますが、芯はしっかり残っているため、解像度が落ちたような印象はありません。個人的には、このDAC CARDの音が好みでした。 【比較】 XD05 PROと同じように、大型で多機能なポータブルDACアンプとも比較してみました。今回は、FIIO「Q7」とONIX「Mystic XP1」を使用しました。 まず、FIIO「Q7」と比較すると、一音一音の解像度やドライさは「Q7」の方が優れていますが、「XD05 PRO」は雑味が少なく、安定感のある空間表現が魅力的でした。 一方でONIX「Mystic XP1」との比較では、リアルなボーカル表現や繊細さは、価格的にも上位の「Mystic XP1」が優位ですが、「XD05 PRO」は標準のDAC CARD「ES9039SPRO」使用時のクセのなさやアタック感が特徴的だと感じました。 【総評】 今後、新たなDAC CARDやオペアンプの登場も含め、さまざまな組み合わせによる音の変化を楽しめる数少ないポータブルDACアンプです。ぜひご検討ください。 【試聴環境】 Galaxy S21 → XD05 PRO → MDR-MV1 楽曲:Team ahamo「Boom」、Fear, and Loathing in Las Vegas「The Stronger, The Further You'll Be」
-
タナトス
@e☆イヤホン 秋葉原店
DUNU-TOPSOUND
DTC480
¥13090 税込
堅牢なデザイン堅牢なサウンド
試聴環境:DAP「Galaxy S21」、イヤホン「EMPIRE EARS Legend X」 DTCシリーズの新しいモデルが発売されました。 近未来的なデザインの「DTC 500」と武骨で堅牢なデザインの「DTC 480」、どちらも異なる外観の魅力があります。 音質について、高域にかけてのスッキリ感と音の伸びは「DTC 500」に軍配が上がりますが、ボーカルがやや近めで低域の厚みは「DTC 480」の方が優れています。 音色はややクール寄りでドライ、若干硬質なサウンドとなっています。使用していたイヤホンが「Legend X」なのも相まって、低域のアタック感を持ちながらも声は聴きやすく、平面的ではありますが見通しの良い表現ができるようになりました。高中低の音の分離をしっかりとしたい方にお勧めしたいスティック型DACです。 使用時の取り回しですが、サイズが43mm×22mmとMONO消しゴムくらいの大きさのため、比較的コンパクトでポケットに入れた際や収納時もかなり楽に使用できました。
-
タナトス
@e☆イヤホン 秋葉原店
Jomo Audio
Nautilus(Universal Fit)
¥126500 税込
海底のように深く、余韻のあるサウンド
スチームパンクデザインのおしゃれなイヤホンが登場しました。 金メッキが施された真鍮ボディで、片側約13gと少し重さはありますが、装着感は快適で、違和感なく音楽を楽しめます。 音質は、真鍮らしい明るさと豊かな余韻を持つ、臨場感のある厚みのあるサウンドが特徴です。高域は整っていて刺さりがなく、細かい音が把握しやすい印象です。ボーカルは近すぎず、適度にリバーブがかかった適度な距離感で、立体感を演出しています。中域は独特で、楽曲によっては横への広がりも感じられ、音楽に没入できる感覚が得られます。中低域から低域にかけては、厚みとパワフルさを備え、真鍮特有の丸みのある輪郭が心地よいです。 全体的な解像度については、ボーカルから高域にかけて明瞭感があり、低域は粒立ちが良いというよりは、近くで量感をもって鳴り響くタイプで、把握しやすい音質です。特に推しポイントは、艶のあるリバーブ感で、平面的ではなく立体的な余韻の響き方が楽しめる点です。 ケーブルは最近よく見られるスリーブタイプで、硬すぎず、取り回しやすい柔らかさがあるのも魅力です。 試聴環境:Hiby Music R6ProⅡ 試聴楽曲:ロビン, HOYO-MIX & Chevy「翼の生えた希望」、常闇トワ「Antares」
-
タナトス
@e☆イヤホン 秋葉原店
ELETECH
Aristotle
Versa(2Pin & MMCX) to 4.4mm
¥119000 税込
理路整然でいながら迫力と繊細さを持つケーブル
明るい銅色と分岐・プラグ部のレッドカラーがベストマッチしたデザインの本機。 音色は銅のイメージ通りウォーム寄りで、鮮やかさと甘くなり過ぎない程よい艶感があります。帯域バランスはやや中低域寄りで、安定感のある低音を鳴らしてくれます。全体の明瞭度も向上しますが「解像度が非常に高い」というよりかは「暴れていた音を整理整頓するのが非常に上手い」ように感じました。特に低域において、締めるべきところは締め、広がるべきところは広がる絶妙なバランスで表現してくれるのが素晴らしいです。また、やや硬めの音質でボーカルやヴァイオリンが埋もれずに粒立ち良く描写されます。 ケーブルの取り回しについては、太さの割に取り回しが良く、まとめやすいです。コネクタに採用されている「Versa」ですが、ナットのようにねじで付け外しができ、工具不要で使いやすいのが魅力です。 最後に、これはあくまで個人的な感想ですが、このケーブルは特にハイブリッド型イヤホンに対して本領を発揮する印象を受けました。他のダイナミック型やBA型でも試してみましたが、ハイブリッド型が一番調律が上手く感じられました。お持ちのイヤホンでぜひ試してみてください。 試聴環境: Nostalgia Audio Camelot、Hiby Music R6 ProⅡ 試聴楽曲: Monet「空白地図」、HOYO-MIX「独り芝居」