スタッフレビュー詳細
夜空満開の星々とイヤホン、静寂な空に光るたったひとつの「Starfield 2」
水月雨(MOONDROP) Starfieldが「STELLARIS」という唯一無二な兄弟機を経由し、さらなる夜空を駆ける旅へと踏み出しました。
以前私はレビューにて、「Starfield」を『真夏快晴後の夜空』、「STELLARIS」を『冬の澄み切った夜空』と表現しました。同じような表現で例えるならば、「Starfield 2」は『真夏の夜夜中(よるよなか)、星の光だけが一面に広がる純黒の夜空』といったところでしょうか。
先代の「Starfield」よりも音の透き通り方や音域ごとの陰陽に拍車がかかり、まるで静寂で距離の計り知れない夜空の黒さと、距離や温度によって明るさが微妙に異なる星々の色の対比のような、「Starfield」や「STELLARIS」のシリーズにしか醸し出せない豊かな表現力により磨きがかかったように感じました。
ドライバーの材質は変更されていますが、音の広さ自体に差はないように感じます。カーボンナノチューブ振動板によって奏でられるフラットで広い音場は、「Starfield」というブランドの人気を確立させた魅力と言っても過言ではないと思います。対して「Starfield 2」はフラットなバランスを崩さない程度に中低音域の抑揚があるので、また違った楽しみ方が見つかるのではないでしょうか。
フェイスプレートのデザインは「STELLARIS」のデザインを継承し、ケーブルはプラグやコネクタ、分岐点に華やかな金色のパーツを使いつつも取り回しの良い形状のままです。ビルドクオリティもそのサウンドも一回り二回り……それ以上の進化を遂げた新"星"「Starfield」。ぜひご自身の目と耳で、天体観測にお越しくださいませ。
試聴音源
・Blossom / Synthion
・Pineapple / Takanashi Kiara
量感イメージ
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Hulk
@e☆イヤホン 名古屋大須店
ddHiFi
Janus3(E2023)
¥24500 税込
ddHiFiの二つ面の守護神!音質特性ゆえの新たな二面性⁉
ddHiFiの一本柱。”門の守護神”の名を冠したメーカー唯一のイヤホン「Janus」に、3代目となる「Janus3」が登場しました! 先代「Janus 2」から大きく仕様変更されており、MMCXとCIEM 2PINのダブルインターフェースデザインは廃止されました。筐体の上下にコネクタが搭載されているデザインは非常に画期的でしたが、本製品はデザインを引き継ぐに留まり、コネクターはMMCXのみとなっています。 また、付属のケーブルの仕様も大きく変更となりました。2種のOFCハイブリッドケーブルだった先代とは異なり、OCCの細く柔らかい着脱式プラグ搭載のケーブルとなっております。 サウンドチューニングに「水月雨 (MOONDROP)」が携わっているということもあり、音は全体的に明瞭で中高域が少し前に出てきている印象です。輪郭はハッキリとしていてレスポンスが軽量かつ爽快でありつつも、バリ取りがしっかりされていて繋がりが滑らかなので、聴くジャンルには困らないと思います。 スパっと切り込むレスポンスの良さは音楽ゲームの曲などアップテンポな音との相性がバツグンなうえ、その素早さゆえに余韻の残り方もとてもキレイなので、バラードなどでもよく映えます! ぜひ一度お試しください! 試聴音源 ◆Choose Your Way / 胡桃のあ ◆カメリア / 大神ミオ
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Hulk
@e☆イヤホン 名古屋大須店
iFi-Audio
ZEN CAN Signature Standard
¥49500 税込
ちいこパワフル!「ZEN CAN Signature」の新たなスタンダード
登場して以降様々な派生モデルや『ZEN DAC Signature』とのバンドルモデルが展開されてきた『ZEN CAN Signature』は、大きな特徴として「ActiveEQ」という機能が搭載されていました。SENNHEISERやHIFIMAN、Meze Audioなど特定のヘッドホンに焦点を置いてチューニングされたイコライザー機能です。 一方でこの「ActiveEQ」を搭載しているがゆえに、多種多様なヘッドホンを使い分ける方には少々使いづらくむずがゆい思いをされた方もいらっしゃるかと思います。 『ZEN DAC Signature Standard』はこの「専用」という諸刃の剣から、使うヘッドホンを選ばない片刃の刀へと研ぎ直され、「XBass」というiFi-Audioの持つ新たな切れ味を得た、まさに「最強」が相応しい据え置きアンプです。 入力端子は「RCAシングルエンド」「3.5mmシングルエンド」「4.4mmバランス」の3種類で、ボタンひとつで切り替えられる構造になっています。 対して出力端子は本体前面の「6.3mmシングルエンド」「4.4mmバランス」と本体背面の「4.4mmバランスライン出力」の3種類。こちらは切り替え用のボタンなどは無く、入力方法を問わず全ての出力端子から同時に音を聴くことが可能です。 音の性質を知るために今回はiPhone13からApple純正変換コネクターとOYAIDEのミニミニケーブル『HPSC-SS』を用いて3.5mmシングルエンドに入力しました。ZEN DAC Signatureであることを考えると少々手荒な接続方法ですが、その分アンプならではの音は分かりやすかったです。 iPhoneに変換ケーブルで直接ヘッドホンを繋いで聴く際と比べて明らかに音の輪郭が滑らかになり、音場も広がり豊かになりました。 また、この接続状態であればインピーダンスの高いヘッドホンでも余裕を持って鳴らすことができ、iPhone直挿しでは到底鳴らし切ることの出来ない『DT 990 PRO (250 Ohm)』でも4段階で調整できるゲインの最低値「0dB」の状態で正面のボリュームノブを60%程度まで上げれば思い通りに鳴らすことが可能です。 ちっちゃいのにハイパワー。自動車で例えると「BMW M2」や「トヨタ GRヤリス」といったところでしょうか。扱いやすく生まれ変わったところを踏まえるとRE雨宮の「雨さんシャンテ」なんかがピッタリかも知れませんね(笑) スマホ直挿しでも十分すぎるほどの恩恵を得られる「最強」の据え置きアンプです。DAPのライン出力機能を用いたり、『ZEN DAC Signature』と組み合わせれば更なる音楽の楽しさを掴むことが出来るかもしれないですね。 ぜひ店頭にてお試しくださいませ! 試聴音源 ・You're Mine - Vestia Zeta ・She's a Lover - Red Hot Chili Peppers
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Hulk
@e☆イヤホン 名古屋大須店
Fender Audio
AE2i
¥16500 税込
AE2i の「i」は iPhoneの「i」!?
Lightningコネクタ付近にはメーカーを冠する「F」のロゴが、本体にも「Fender」のロゴが刻印される形であしらわれた、見た目はスマートでとてもカッコいいポータブルDACが「Fender Audio」から発売になりました! 前述のとおりコネクタはLightning端子。Apple製品に搭載されている規格ではありますが、現行機種で考えると接続できるのがiPhoneのみなので、少々ニッチな製品であることは確かです。しかし、使用用途をあえて狭めることで、その用途に特化した「専用品」を作り出せます。 Appleが特許を取得しているDSPチップ、「A2M」を内蔵することで、iPhoneとの接続安定性や相性といったポータブルDACが抱えやすい問題とはおさらばしています。 専用アプリケーション「Audio Enhancer」を使用した際も、動作は非常にリニアで、まるでiPhoneにもともと同梱されていたかのような使い勝手の良さを持ち合わせていました。 音はアプリケーションのEQ設定次第で大きく変わります。初期設定されている「Fender」はロック向けのドンシャリ傾向、女性ボーカルやJ-POPを聴くのであれば全体的にフラット傾向に抑えたEQを「Custmize」で設定した方が聴きやすくなるかもしれません。 まさにiPhoneの「専用品」。専用と言い切っても過言ではないほど使いやすく、音も楽しめるポータブルDACです。iPhoneユーザーの方は是非一度お試しください! 試聴環境 iPhone13 → AE2i → Fender TEN 2 試聴音源 ・コイコガレ / milet, MAN WITH A MISSION ・WWW / HIMEHINA
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Hulk
@e☆イヤホン 名古屋大須店
水月雨 (MOONDROP)
Joker
¥13680 税込
超ボーカル特化!モニターヘッドホンの"Joker"となるか⁉
水月雨 (MOONDROP) の第三のヘッドホン(3機種目のヘッドホン)は密閉型でモニターヘッドホンという、これまでの機種とはまったく異なった“ニューフェイス”の登場となりました。 トランプの切り札と同じ名前を冠したこのヘッドホン。メーカーのカタログモデルとしても、これまで世間一般で活躍してきたモニターヘッドホンの数々と比べても、特異点となり得る音の特性を持っているなと感じました。 まず低音域について、量感は非常に少ないです。最近の水月雨 (MOONDROP) のオーディオ全般の傾向として、低音域の量感は抑えつつ、芯のある音で一番得意とする中高音域を支えているものが多いです。 ではJokerはどうかと言いますと、その芯のある音さえも最小限に落とし込まれ、低音域自体の主張をさせまいとしているかのような、そんな聴こえ方になっています。あえて表現するのであれば「非常に遠い場所に低音を位置づけている」といったところでしょうか。とにかく低音は控えめです。 その一方でメーカーの醍醐味である中高音域は留まることを知らず、近い位置で、限りなく透明度の高い、モニターヘッドホンの領域を遥かに越えた領域でボーカルや楽器の音を奏でていました。 イヤーパッドに後ろ側からの傾斜や穴あけ加工がされているおかげか、若干音が漏れやすくなっているものの、その分高音の伸び方は密閉型だとは思えないほど天井知らずです。ボーカルが手前に来ているにも関わらず音の立体感はしっかりと作り込まれており、音楽鑑賞だけでなく、睡眠導入やリラクゼーション用途のASMRボイスなどでも活躍してくれました。 上記の特性から、JokerはTHE FIRST TAKEやアコギの弾き語りなど、音の数が少なくてボーカルに集中して聴きやすい曲との相性が特に良いと感じました。また、ASMRなどの音声作品でも活躍間違いなしなので、声優やVTuberを追っかけている方にもオススメです。 モニターヘッドホンの新天地。ぜひみなさまの耳でお楽しみください! 試聴音源 ◆優里 - ベテルギウス / THE FIRST TAKE ◆想像フォレスト - じん / 町田ちま (Cover)