スタッフレビュー詳細
不自然で自然的。スマホとUSB DACだけで究極の非日常を
水月雨 (MOONDROP)よりUSB DACのフラグシップモデル「MOONRIVER2」の後継モデルが発売になりました!
「MOONRIVER2-Ti」のデザインテーマは「参差(しんし)の美」です。
しん‐し【参差】
① 高さや長さが異なっていて、そろわないこと。等しくないこと。ふぞろいなこと。また、そのさま。
② 互いに入り交じっていること。互いに交錯していること。また、そのさま。
③ くいちがっていること。矛盾していること。また、そのさま。
④ 願望・意図などがかなえられないこと、またそのさま。
(コトバンク, https://kotobank.jp/word/%E5%8F%82%E5%B7%AE-537586)
「空鳴-VOID」の時と同じく、マイナスイメージな言葉を利用し、儚さを表現した演出方法、コトバ遊びになっていますが、僕はこのキーワードから「不自然で自然な表現力を持ったDAC」という印象を抱きました。
まずデザイン。「MOONRIVER2」の特徴的なフォルムイメージは残しつつ、材質の変更に伴い全体的な印象は大きく変わっています。
表面はどこから見ても左右非対称なデザインで、不揃いな長さの曲線を組み合わせた幾何学的なデザインです。側面を見ると今度は曲線を描いていたラインが等間隔でまっすぐ並び、膨らんでいく本体の形状をより際立たせているようです。
底面は基板やDACチップが見えるように透明になっていますが、一部規則的な曲線で透かしたハーフクリアウィンドウの仕様です。
どこをとっても特徴的なデザインですが、いざ使ってみるとこの個性が際立つ素振りはありませんでした。むしろ直線的で左右対称なデザインの方が不自然で異様、そう感じさせる不思議な魅力が詰まっています。
次に音質について。DACチップの構成は「CS43198 x2」と先代MOONRIVER2から変わっていませんが、音の透明感、歪みの少なさはより鮮明になっています。
同社のUSB DAC「暁 - DAWN」や「LITTLE WHITE」のような、女性ボーカル 〜 高音域への伸びやかさが強調されたチューニングではなく、お淑やかなカマボコ傾向の音に収まっています。DACチップの巧みな質感表現を活かしたタイトめな中低音域がスパッと切りこみ、しっかり音を整えてくれるので、その分メロディーラインやボーカルは聴きやすい印象です。「ボーカルを聴かせるための低音」といった音は「Blessing 3」に通ずるものがあります。
何よりも印象的だったのが音の透明感です。
我々は普段雑音や空気中の塵など、ノイズにまみれた中で生活しています。そのため、吸音パネル等を利用して完全に雑音をカットした空間や、山間部の湖のほとりなど、ノイズのないナチュラルなものに対して、違和感があってしまうものです。
「MOONRIVER2-Ti」にはそういった『不自然で自然な透明感』があります。あまりにもクリアで、音に一枚ベールがかかっているんじゃないかと錯覚するほど透き通った音は他のUSB DACでは味わえない一番の魅力なのではないでしょうか。
不規則だからこそ馴染むデザイン。違和感を覚えるほど自然で透明な音。まさに矛盾した「参差」なUSB DACです。
ぜひ一度お試しください!
試聴音源
・アンリアルヴェイル / アーニャ・メルフィッサ
・MESS / Hakos Baelz
・正体 / いろはにほへっと あやぶふみ
量感イメージ
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