スタッフレビュー詳細
EMPIREサウンドを味わえるリスニングホン
MKIIへ進化し、デザイン・ドライバー構成ともに、大幅に刷新されました。
ブラックシェル筐体はそのままに、フェイスプレートに専用デザイン「Deep Field」が採用され、地味な印象を受ける初代BRAVADO(以降「初代」)と比較し、ググっと高級感が増したように思います。デザインの由来は、ハッブル宇宙望遠鏡から覗いた“銀河の一部分”を再現しているそうです。
カナルが長く安定感はあるものの、シェルのサイズがやや大ぶりになり、人によっては耳から飛び出しやすいかもしれません。
また、音を聴いてみると、進化したのはデザインだけではないことに気付かされます。
初代は1BA、1DDのシンプルな2ドライバー構成でしたが、MKIIはESドライバーを2基追加した、4ドライバー・トリプルハイブリッド構成になりました。ダイナミックドライバーも、上位機種ODIN、VALKYRIE MKIIと同様の、WEAPON IX+ドライバーを搭載しています。
高音域~低音域を担当する、上下のドライバーが進化、追加されたことで、低い音から高い音まで、解像度・情報量に余裕のある出音になりました。全域にわたるパワフルさはそのままに、より高解像度で細やかな表現力が磨かれています。初代に感じられた粗さは消え、音傾向を崩さずに、1、2ランクグレードアップしたように感じられます。
音場広めな弱ドンシャリ傾向なので、ROCK、POPSなどのノリ良く聴ける楽曲、ライブ音源などの空間を楽しめるような楽曲が合う印象です。上下帯域と比べるとボーカル帯は大人しく、ボーカル楽曲中心に聴く方にはしっくりこないかもしれません。
エントリーモデルですが、存分にEMPIREサウンドをお楽しみいただけます。
量感イメージ
このスタッフの他のレビュー
-
すずき
@e☆イヤホン
Ultimate Ears
UE LIVE To-Go
¥245300 税込
心を揺さぶる“LIVE”サウンド
Ultimate Earsには少ない、ハイブリッドドライバー構成採用の、フラッグシップモデルです。 筐体は非常にコンパクト、カナル(ノズル)も細い設計で、幅広く色々な方の耳にフィットしそうです。強いて言えばカナルが長めで、人によっては、装着感に慣れがいるかもしれません。 サウンドについて、ここまでモデル名を体現するイヤホンは珍しいと思いました。一聴して、広がりとパンチ力のある低音を、身体全体に感じるような錯覚に陥ります。広がりと言っても、際限なく伸びる音ではなく、屋内ステージの空気を目いっぱい震わすような、空間を隔てた壁を感じられる音場です。これほどまでに、ライブ感を強調したサウンドは、聴いたことがありませんでした。 また、どうしても低音域が目立ちますが、決して、上の帯域も聴き劣りしません。支配的な低音に埋もれない、高解像度で聴きやすい中高音域は、UE LIVEのサウンドを作る上で、欠かせないポイントになっています。どれだけ臨場感があっても、ボーカルや楽器の高音成分をマスクするようであれば、音楽に没頭できません。 必要以上に伸びない忠実な中高音域ですが、だからこそ、ステージ上の演奏者を想像できる、まさに、ライブ会場で音楽を楽しむような、生々しい空気感を再現しています。 ライブ音源、ROCK、EDM、HIP HOPとの相性は抜群に良く、アコースティック楽曲も雰囲気たっぷりに楽しめそうです。 ユニークな音ゆえ、万能な感じではないですが、UE LIVEでしか楽しめないサウンドが確かに存在します。 再生機器:Shanling UP5 試聴楽曲:hero_(MonsterZ MATE),トラボルタカスタム feat.鋼田テフロン(梅田サイファー),こんがらガール(Charisma.com)
-
すずき
@e☆イヤホン
EFFECT AUDIO
Cleopatra II Octa (ConX Basic to TermX Basic)
¥192500 税込
『良バランスでオールマイティな純銀ケーブル』
本レビューは、Cleopatra II 4Wireとの比較が主旨となります。 Cleopatra II Octaは、Cleopatra IIを8ワイヤーで再構成したモデルです。プラグ,分岐,コネクター等、各パーツの意匠は共通で、純粋に芯数のみが2倍になりました。8芯になっても取り回しの良さは健在で、4Wire同様にプラグにTermX(3.5mm、2.5mm、4.4mm)、コネクターにConX(2Pin、MMCX)を標準搭載しています。使用するイヤホン,プレーヤー,アンプに合わせ、プラグやコネクターを変更できる高い汎用性は嬉しいポイントですね。 サウンドですが、大元の音傾向はCleopatra IIをそのまま引き継いでいます。また、引継ぎながらも各音域の弱みを綺麗に改善しているため、純粋な上位モデルと言って差し支えない音質差を感じました。アップグレード感が非常に分かりやすいです。ざっくり良くなった点をまとめると「滑らかさ」「音の厚み」「空間の広がり、音場感」が挙げられると思います。 元々明瞭なボーカルは、より肉厚な出音になり、表現力やリアリティが増しました。バックのサウンドや各音域の繋がりがスムーズになることで、表面をコンディショナーで整えたような滑らかな音が広がります。高域のディテールに優れ、シンバルやギターなど(他弦楽器含む)の生々しさも引き継がれています。定位の良さは大きく変わらずですが、全体の粗さが抑えられたことによって、密度の伴った音場の広がり・空間的な表現に、頭一つ抜けるくらいの向上を感じられました。 楽曲選ばず、どんなジャンルでも楽しめますが“特に相性の良いイヤホンの音”はありそうです。近年のマルチドライバー型によく見られ好まれる、定位に優れたウォーム寄りで高解像度なモデルによくマッチする印象です。イヤホンのキャラクターを綺麗に引き立ててくれます。全体的に解像度高く繊細で柔らかい中高域に、角が丸く自然な中低域と、銀線の特徴に温かみを追加したようなアナログサウンドがOctaの特徴と言えそうです。 Cleopatra IIで感じられた弱点は克服していますが、強いて挙げるならば、価格の割にキャラクターが弱い点かなと思います。銀線にイメージされる艶感もほどほどに抑えられています。一聴して分かる聴き心地の良さと、そこから更に聴き込むことで、じっくり良さが伝わってくるモデルだと感じました。 再生環境:Shanling UP5,Vision Ears VE6x2 試聴楽曲:HOME(古川本舗),ルパン・ザ・ファイヤー(SEAMO),君はロックを聴かない(あいみょん)
-
すずき
@e☆イヤホン
CUSTOM ART
FIBAE™ 7 Unlimited
¥165000 税込
解像感とアナログライクを両立した優しいサウンド
FIBAE 7 Unlimitedは、同社のFIBAE 7を再設計・再チューニングしたモデルです。高域用ドライバーを変更したこと、また、クロスオーバーの刷新でダイナミクスと感度を改善したことが大きな変更点とのことです。 ドライバーを更新した影響か、中高域に特徴があるモデルです。角が丸く刺激が少ない、シルキーでさらさらとした自然で優しい聴き心地です。また、透明感・繊細さ・伸びも十分にあり、ボーカルがとても聴き取りやすいです。全体のバランスとしてはフラットですが、ボーカル表現の優秀さが際立っているように感じました。 低域は非常にソリッドで締まっています。小気味よく軽快でレスポンスに優れた低域は、他帯域に被らない程度に存在感があります。“さりげない”という表現が合いそうな優しい広がり方に、少しアナログライクな印象を受けました。現代的なくっきり高解像度さと、耳触りよく温かみのあるアナログさを感じる絶妙なチューニングです。 聴き疲れしづらく、各帯域の不足感もないので、楽曲ジャンル・世代を問わず、さまざまな楽曲と合わせられると思います。 ■試聴楽曲: 夜明けと蛍(n-buna),W/X/Y(Tani Yuki),ORIGINAL(DUSTCELL), CH4NGE(feat.可不),靴の花火(ヨルシカ)
-
すずき
@e☆イヤホン
CUSTOM ART
FIBAE™ 5
¥154000 税込
生々しく余裕のある中高域の表現力
ポーランドのカスタムIEMメーカーCustom Artから、トリプルハイブリッド型イヤホンが登場しました。 カスタムIEMには少ない、平面ドライバーを搭載したモデルですが、スペックから想像される以上に優等生なサウンドです。出力差による音質変化を抑えるFIBAEテクノロジーの恩恵か、マルチドライバーでも音量の取りづらさや不足感はなく、スマートフォン直挿しでも高音質で楽しめます。 2基の平面ドライバーは高域と超高域を担当していますが、安易な高域特化という印象はありません。繊細で鮮やかな高域ですが、ボーカルはやや後ろに控えており、高域を突き抜けさせるより、全体の音との一体感を重視したチューニングに感じます。無理なドライブ感がなく、中高音域の表現に余裕と懐の深さを感じます。金物の鮮明な響き、ハイレスポンスなギター音、ボーカルの伸びや解像度など、平面ドライバーによって高域の表現力を破綻なく引き上げている印象です。 ほのかに丸みと温かみのある低域は、ほど良いアタック感と迫力が気持ちいいです。広がりは控えめながらも包まれるような優しい音で、ダイナミックドライバーの特徴を色濃く感じます。 中域もやや後方にあるため、全体としては緩やかなドンシャリ傾向ですが、刺激は抑えられているのでどんな楽曲ジャンルにも合いそうです。強いていえばJ-POPやアニソンなどの明るめの曲や、インストよりはボーカルのある楽曲の方が活き活きしている印象です。 ■試聴楽曲: 夜明けと蛍(n-buna),W/X/Y(Tani Yuki),ORIGINAL(DUSTCELL),CH4NGE(feat.可不),靴の花火(ヨルシカ)