スタッフレビュー詳細
上質な無音が描き出す「そこにある音」
「DC04PRO」は数多くのスティック型DACを生み出してきたiBassoAudioの経験値が凝縮されたUSB-DAC/AMPです。高いデザイン性とビルドクオリティ、そしてこの価格帯でデュアルDAC/デュアルアンプのフルバランス回路構成という贅沢仕様に所有欲を掻き立てられます。
3.5mmと4.4mmバランスジャックの両方を搭載している機種のなかでは平均的な本体サイズで、角が面取りされている上にサラッときめの細かい表面仕上げも伴ってとても手になじみます。本体側面に搭載されたハードウェアボリュームコントロールキーの押し心地もよく、音楽を聴いていない時もずっと触れていたくなります。
音質はほんの少しウォームで余韻はスッキリと歯切れ良く、味付けは少なめ。同じDACチップを採用している同社「DC03PRO」は低域に少し厚みを持たせたチューニングに感じましたが、こちらは比較的フラットな印象。ノイズフロアの低さとデュアルアンプの制動力のおかげか、全体域にわたって輪郭がさらに明確になり、左右に加えて上下方向の定位感が増しているように感じました。この感覚は4.4mmバランス接続時の方が顕著で、同一線上だと他の音に紛れてしまいそうな遠くの小さな音にも僅かな高低差がつくことにより、ディテールの損失が抑えられています。
「うちゅうひこうしのうた / 坂本真綾」では縦横の安定した定位感により、宇宙船内という小さくパーソナルな空間と船外の広大な空間を見事に表現してくれました。また、バックグラウンドノイズをほぼ感じない静寂性により、真っ暗な宇宙空間と星々の輝きのコントラストをより印象深くイメージできました。
シンプルな曲調の楽曲で一音一音をじっくり楽しむもよし、音数の多いハイスピードな楽曲を一音漏らさず存分に味わうもよし。iBassoAudio「DC04PRO」をぜひ一度お試しください。
試聴環境
イヤホン:TANGZU(T Force Audio) ZeTian Wu
試聴楽曲:うちゅうひこうしのうた / 坂本真綾(Apple Music ロスレス)
TK from 凛として時雨 / first death(Apple Music ロスレス)
量感イメージ
このスタッフの他のレビュー
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マヨ
@e☆イヤホン大阪日本橋本店
Cayin
N7【SPK-A003】
¥272220 税込
艶やかで躍動感のある芳醇なサウンドにうっとり
聴く人の心を揺さぶる豊かなサウンドが人気のCayinからフルディスクリート・フルバランスデザインDAP、N7の登場です。 【外観に関して】 サイズと重量の数値を見ると比較的大きめの部類に入りますが、両サイドに丸みを持たせてあるのでしっかりと手になじみ、ホールド感は良好です。大きめのロータリー式ボリュームにも高級感が漂います。 各種ストリーミングサービスにも対応しており、試しにApple Musicをインストールしてみたところ、もたつきもなくサクサクと動作しました。 【音質に関して】 3.5mm、4.4mmバランス接続とも音の厚みと実体感が豊かなサウンドで、ピアノやドラムのアタックなど、ミュージシャンの力の込めどころをとてもエネルギッシュに鳴らしてくれます。 濃厚な音色ながら解像度も高く、程よい音場に展開される定位感との相乗効果で曲のライブ感をしっかりと感じられます。この感覚は4.4mmバランス接続のほうが強く感じられる印象です。 「坂本 龍一 / Merry Christmas Mr. Lawrence」では、シンセサイザーのクールさと温かみを見事に両立。電子音の要素が多い楽曲の場合はアンプモードをAB級にすることで「静」と「動」の描き分けをより明確に感じられました。 アンプモードをA級に切り替えると、ライブ音源やアコースティックな楽曲における現場の熱量や空気感がより豊かに。 「Bill Evans Trio / My Man's Gone Now」では会場の人の声や環境ノイズまでしっかりと聴き取ることができ、まるでその場にいるかのように楽しめました。古い録音でここまでの臨場感が得られることに驚きです。 様々な楽曲を心躍るサウンドで奏でてくれるCayin N7。ぜひお手に取ってお試しくださいませ。 試聴イヤホン:TANGZU ZeTian Wu(Yongse Expert AgMax8にリケーブル) 試聴楽曲:坂本 龍一 / Merry Christmas Mr. Lawrence(DSD音源) Bill Evans Trio / My Man's Gone Now(DSD音源)
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マヨ
@e☆イヤホン大阪日本橋本店
EFFECT AUDIO
Code 24 (ConX Basic to TermX Basic)
¥121000 税込
太く、重く、硬め。だがそれでいい。
Effect Audio「CODE24」のご紹介です。前作「Code 23」から打って変わり鮮やかで深みのあるブルーとゴールドの組み合わせが高級感と爽やかさを感じさせるデザインになっています。 中心部分には線径の太い線材を3本撚り合わせたものを配置し、その周囲に太さが12種の線材を配置。単線ケーブルの特徴と言われる躍動感や滲みの少なさ、応答の俊敏さを活かしつつも一定のしなやかさを併せ持っています。実際に音を聴いてみると銀メッキ銅ケーブルの特徴がとてもよく出ており、女性ボーカルやブラスの音など中音域~中高域が伸びやかで心地い音色に仕上がっています。 ここまでは銀メッキ銅ケーブルによくある印象なのですが、「CODE24」はそれだけに留まらず全帯域にわたってのアタック感や明瞭さ、低音域の躍動感が非常に高いと感じました。前述した単線ケーブルの特徴が色濃く反映されていて「CODE24」の“太さ・重さ・硬さ”に説得力を感じます。 エネルギッシュなピアノジャズや弾むような打楽器が複数重なる楽曲を聴くとその効果をより実感でき、音楽を楽しく聴けていると実感できました。決して取り回しが良いとは言えない「CODE24」ですが、その音をぜひ一度ご体感いただきたい1本です。 【試聴環境】 iPhone 15 (Apple Music ロスレス) → DC04PRO → CODE24 → Hype4 【試聴楽曲】 「岸辺露伴は動かない/岸辺露伴 ルーヴルへ行く」オリジナル・サウンドトラックより「実験室のブードゥー」「ピアノソナタ 第一番」「大空位時代」
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マヨ
@e☆イヤホン大阪日本橋本店
64 AUDIO
Volür【64A-7297】
¥367314 税込
落ち着いた音色の中に宿る躍動感
64 AUDIOのユニバーサル機共通の小ぶりな筐体サイズに10ドライバー、しかもそのうち2基がダイナミック型という高密度パッケージ。同社の設計技術には毎回驚かされます。螺鈿のようなフェイスプレートはパープルに色付けされ、落ち着いた深みのある輝きに高級感が漂います。 主張の激しい帯域はありませんが、中低域から低域にかけては量感豊かに鳴らすチューニングで、アタック感も十分ありました。決して量や圧に頼る低域表現ではなく、一音一音のディテールをしっかりと描くライブ感のある表現力が魅力です。 そういった低域の下支えもあり、中域から中高域は非常に色鮮やかでクリーンな印象。すうっと伸びる高域を含め、全体的にはしっとりと落ち着いた音色にもかかわらず薄味にならない絶妙なチューニングで、激しい曲調でも刺さることなく、それでいて満足感のある躍動的な音楽体験を得ることができました。 ジャンルを問わず充実のサウンドバランスを発揮してくれる64 AUDIO Volür(ヴォリュール)をぜひお試しくださいませ。 【試聴環境】 Astell&Kern KANN ULTRA 【試聴楽曲】 鷺巣詩郎:2EM01_B01"At The Very Beginning" 菊地成孔 & ペペ・トルメント・アスカラール:Le Rita
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マヨ
@e☆イヤホン大阪日本橋本店
iFi-Audio
ZEN CAN Signature Standard
¥49500 税込
ヘッドホンを選ばない「ZEN CAN signature」を待っていた!
「小型で高出力なヘッドホンアンプと言えばコレ!」というほど圧倒的な存在感を示す「ZEN CANシリーズ」。「ZEN Air CAN」「ZEN CAN」「ZEN CAN signature」の3種がリリースされている中で「signature」のみ、特定のヘッドフォンに合わせた補正を行うActiveEQ機能が搭載されており、ややユーザーを選ぶ部分がありました。 今回ご紹介する「ZEN CAN Signature Standard」はそのActiveEQ機能を非搭載とする代わりに、低域を増強するXBassを搭載したモデルです。 無印ZEN CANと比べて、よりピントの合った解像度の高い繊細な表現が得意な印象で、サウンドにモニター性を求める方におすすめです。また、スペック上の数値にはなりますが、ActiveEQ機能搭載型よりもわずかにS/N比が高くなっています。 一台でどんなヘッドホンにも対応し得る「ZEN CAN Signature Standard」をぜひお試しくださいませ。