スタッフレビュー詳細
圧倒的な実力が音楽を多層にし、最高の没入感を与えてくれるイヤホン
本製品は、複数のドライバー制御技術に定評のあるEMPIRE EARSと、ポータブルハイレゾオーディオ製品の始祖とも言えるAstell&Kernが共同で「聴覚の仕組み」に再注目し、新しいアプローチを加えた新時代のベーシックモデルとして開発されました。
そのため矛盾するようですが、あっさりさとしつこさがうまく同居しているような印象でした。
しかし、どの音も立ち位置がしっかりとしており高低差も感じられます。普段なら横一列に並ぶような聴こえ方をするような楽曲も、奥行きが出てくれるのでイヤホン特有の平面的な印象を受けなくて驚きました。
ひとつひとつの音が潰されずに役割をちゃんと果たしているようなイメージです。ラウドネスが上がるという印象とは違って弱い音は弱いまま存在感があるので、月並みな言葉で表現すると聴こえなかった音が聞こえますし、質感の違いも聴き比べられます。特に複数のリリースが見やすいなと思いました。
素材の持つ成分をそれ以上にも以下にもせずに自然と広がってくれる中高域は、音を追うのが楽しくなります。反対に低域はウーファーがあるせいか頭の中でずんっと鳴りました。どちらかといえば少しウォームな低域なのですが、あまりくどさを感じない良質な響き方です。『音を聴くだけでは無く感じる』というコンセプトの割には大味ではないことに、浅いイメージを持っていたことが恥ずかしくなりました。
全体的に骨伝導が聴こえをサポートしているおかげか、その他のドライバーが無理に主張してこない余裕のある鳴らし方をしています。そこが他に無い点と言えるでしょう。音色の表現が多彩で分解能も高いことから、音数の多い楽曲の聴きごたえが一回りも二回りも増すと思います。
多種のドライバーを駆動させることから再生環境である上流も選ぶ事になりそうです。SP3000には本製品向けのEQも用意されているのでユーザーはぜひ試してください。
最後に外観と装着感について、特定の波長領域の光を透過しつつ別波長の光を反射するENIGMAというデザインのフェイスプレートが、手に取るたびに違った顔を見せてくれるので所有欲をくすぐります。本体は厚みがありますが私は奥まで入りがっちりと固定されました。大きく外側に出っ張るということも無く遮音性も高かったです。
2ブランドの名に恥じない極限のイヤホンとするために利用された多くの技術(EIVEC MKII,synX,DCA, Anti-Resonance Compound.etc)の集大成をぜひご体感ください。
試聴楽曲
咲かせや咲かせ
白日
Prologue
星屑の街
Lucy
Raise your glass
brave shine
beyod the veil
Vivaldi allegro
Ashes
歌よ
量感イメージ
この商品に対する
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ひろ
@e☆イヤホン 秋葉原店
SONY
NW-ZX707 C【~3/22まで!新沼音生活応援キャンペーン】
¥95000 税込
高音質×軽量×スタイリッシュ×ストリーミング×スタミナ×拡張性。現代の音楽プレイヤーとして素晴らしい完成度
持ち運び用の音楽再生機器を選んでいるお客様が眉をしかめるポイントのひとつは大きさと重さです。 オーディオ製品はでかいトランスやらコンデンサ、劣化や損失に繋がる素材の排除を主に高品位=重い素材を使って高音質を目指していました。当然質は良くなるのですが大型化や重量化をしてしまうので、そのバランスを取るのがメーカーの腕の見せどころと言えますが、このNW-ZX707はそのバランスが素晴らしいです。 肝となる音質を先にお話しすると、とにかくクリア。一切の濁りが無い繊細な音です。 音の立ち上がりは息を飲むほど速く正確。音の端を捉えることでより音楽のリアリティは増し、楽曲の空気感にも寄与してくれます。高解像度という言葉がふさわしい音楽プレイヤーだと感じました。 音の抜け感や残響の心地よさも秀逸で、「4 Impromptus Op.90 II.Allegro」のようにスピード感が強い音楽は高い解像度が無いと間延びしたような、それこそ演奏が正確に分からくなってしまいますが、一音一音がしっかりと輪郭を持っているので、それらが幾重にも重なった時の感動が凄まじいです。 EDMやトランス、メロコアなどの電子音楽を聴いてみてもその解像度の高さを、音の重なりやエフェクトの切れ目で存分に実感できるので、聴き馴染んだ曲ですら新しい発見があることでしょう。 低域の量感は少し控えめに感じましたが、高い拡張性を持つという点にも触れさせていただきます。 本機は上位モデルであるNW-WM1AM2等にも搭載されている音質変更機能を複数採用しているのでユーザーの好みで音に調整をかけることができます。 例えば4倍近い出力になることで、ダイナミックレンジが担保されやすいバランス再生でも、低域の沈み込みはわりとアッサリと抜けていくので、重低音の地面を揺らす程のあのエネルギッシュさが好きな方は、ノーマル状態からEQなどの各音質調整機能を利用していただければ満足いくようになると思いますし、PCM→DSDにするだけでも大分低域の質感が掴みやすくなるので細かい調整も効きます。 さらにはOSにandroid12を搭載しているので再生ソフトや、エフェクトアプリ、サービスも好きに選択できるので高いユーザビリティがあります。 画面が大きくなり操作しやすくなりながらiPhone 11 Pro Maxを常用している私が小さいと感じる程度に収まったデザインも素晴らしい。 画面が6インチ程の人気スマホですら多くは重量200g程度ですし、厚みもスマホに近いことからスマホショルダーとの組み合わせも考えられる点も好感を持てます。 BluetoothコーデックはLDACに対応し、360 Reality Audioも利用dでき、動画コンテンツ利用も視野に入ったスペック。 内蔵マイクで、音声アシストにも対応しています。 前モデルであるNW-ZX507からサイズが横に広がってしまったとはいえ、厚みが薄くなり再生時間向上や、電機能率の最適化もされています。 音質含めた各種全てが平均以上の、まさに令和時代の音楽再生の申し子のような製品ですのでオススメです。
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ひろ
@e☆イヤホン 秋葉原店
QoA
Margarita
¥74800 税込
シルキーかつ階調の豊かさが高い解像度と臨場感を実感させてくれるイヤホン
音質の高さとデザインを含めた品質の高さを両立させる、QoAのフラッグシップ機Margarita(マルガリータ) プロトタイプでは、EST2基とBA4基のドライバー構成で出展されていましたが、EST2基とD1基にBA1基に変更されました。 音を聴くとこの変更に得心がいきます。繊細さや空気感と迫力がうまく中和されており、とても耳に馴染むウェルバランスなサウンドになっています。 これまでカクテル名を製品名に名付けてきたQoAですが、今回も名前に負けずデザインが綺麗です。 メタリックグレイに縁どられたフェイスプレートに、黒と金がデザイナーによって二分されているのですが、よくよく見ると金色の部分には光学粒子が微かに見え隠れしており、チークやアイシャドウを彷彿とさせます。 このあたりのコスメ的な雰囲気や配色は、二人の女性CEOの厳しい美的感性を納得させたからでしょう。 私はとてもオシャレだなと感じました。安っぽさを全く感じませんでしたし、手に持ってみるとノズルからシェルにかけて複雑な形をしている割に軽量で、耳へのフィット感が素晴らしいです。 遮音性も高くベントからの音漏れもほとんどありませんでした。 音はとにかく快適で、高音質だけどイージーにリスニングしてもらおうという意図を感じました。 空間は少し広めで定位感がわかりやすいです。いわゆる近すぎず遠すぎず、生身で演奏を聴いている時に近い距離感です。 少し重心は浅めに感じましたが、厚みがないわけはないので、充分な迫力を感じながらも、ぐーんと空間に響いていく様を聴きとることができました。 また、立ち上がりの音に丸みがあるので、気持ちよく演奏に耳を傾けられます。激しく刺すようなアタックの刺激音は緩和されている印象があったので、ゴリッゴリのロックやメタルでは硬質さが足りないと感じるかもしれません。 ただし、音の重なりに入ってもパートごとを綺麗に鳴らしきっていたので、分解能の高さを感じました。ピアノペダルの使いわけなんかも丁寧に描写されるうえ、ほど良く明るい響きが繊細で、他の音に隠れがちだった表現がわかりました。絶妙な残響感が空間に溶けていくのを聴いていられるのは快感でした。3Way採用なのに上から下までのつながりに違和感を感じないのはチューニングが寄与していると実感する部分です。 ボーカルに関して、中高域がほんの少し引っ込んでいるように感じますが、存在感はしっかりしていて、目の前で歌ってくれているかのような音像です。音圧の調整が、長時間聴き続ける事を意識しているのかな、と思うくらい快適で、疲れ知らずでした。 全体的に音色は少し明るめですが、腰高ではなく、奥ゆかしさや上品さを感じるイヤホンなので、パンチは捨てがたいけど、繊細かつ優しい音も欲しい、という方にオススメです。 最後に、高めのインピーダンス設計でしたが、スマホでも充分なボリュームはとることは出来ました。 もちろん、高解像度なDAPやドングルDACがあれば、交換プラグ利用をするバランス再生も含め、より本機の性能が活かせるので、一緒に導入することをおすすめします。 試聴環境 ADI-2 DAC iPhone AK380 SR25 試聴楽曲 BADモード live Ghost of smile 人生のメリーゴーランド リベルタンゴ 激動プログレッシブ Never Enough
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ひろ
@e☆イヤホン 秋葉原店
MADOO
Typ512 【MDO-T512-AL】
¥89980 税込
グルービーで迫力はあるが支配的ではない低音域のかっこよさを味わえる
デザインがシックでカッコいい「Typ512」日本メーカーの日本人気質が随所にこだわりをのぞかせる高級感たっぷりのイヤホンです。 高音が暴れるのが苦手な方や、落ち着いて音の一つ一つを聴きこみたい方にオススメしたくなる歪のない濃密な鳴り方をします。 ドライバー構成は同社独自の平面磁界駆動ドライバーと、新たに開発したUHD ダイナミックドライバーを搭載した2基構成。 欧米人とは骨格や耳道に違いのある日本を含めたアジア人を対象にした耳型のデータ収集を活かした本体の形状は、多くのアジア人ユーザーに快適なフィッティングを実現してくれるでしょう。 フェイスプレート部分には内部の音響にも作用するサファイアクリスタルを窓のように採用しているのは前作の「Typ711」と同様です。 遮音性は高いのですが、左右で各2個あるベントのせいか密接距離に入ると音漏れが聴こえてしまうことがありました。 音色はウェットでダークです。刺さり気味な高域はしっかりと制動されているので上から下までしっかりと堪能することができました。緩急はしっかりしているけれど、張り出しすぎず柔らかすぎずの絶妙な輪郭。エッジがキツくないので、流れるような音の繋がりが心地良いです。 余計な響きを残さないというコンセプトが活きていると感じました。 跳ねるような高音の、頭外に抜けていく感覚は少ないので人によって物足りなさを感じそうです。 しかしながら各帯域の音の繋がり方は実に至妙で、濃密なうえに繊細という類を見ない音質になっていると感じました。 厚みのある低音の存在感は強いですが、ベースのかっこよさやボーカルのブレスの繊細さなど各パートに注力すると細かいところまで鳴らしているのに気づけます。そこに余計なものがないので量感のあるモニターサウンドとして、何度も聴いていた楽曲もこれまで持っていた印象とは違った聴こえ方で愉しませてくれるのではないでしょうか。 付属品にL字型4.4mmバランス再生のケーブルとL字型3.5mmのケーブルが付属します。 今回AMP、DAP、スマホと利用して聴きました。どれでもサウンドバランスは変わらずでしたが深い低域と音の繋がりの良さが魅力のこのイヤホンはぜひともノイズレスなバランス再生で利用して欲しいと感じました。 試聴環境 ADI 2 PRO AK380 iPhone 試聴楽曲 GATE~それは暁を超えて~ 秘密 us. lose yourself 飛龍の反撃 カンティーナ・バンド THE HUM 思想犯 The Sacred Geometry
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ひろ
@e☆イヤホン 秋葉原店
HiByMusic
New R3Pro Saber
Gray
¥33000 税込
バランス再生も対応する最大再生20時間のスリムDAP
前作のR3pro Saberからブラッシュアップしたモデルです。採用DACがM3XやBTR5 2021などの人気製品と同じES9219をデュアル採用ということで期待値が高い製品。 音楽プレイヤーとしてだけでなく、BTレシーバーとしての役割やトランスポーターとしても利用できる汎用性があるのも魅力の一つ。Type Cから同軸デジタルアウトでポタアンに繋ぐことができるので昔ながらの多段運用の活躍も多そうです。その際によく発生する操作のしづらさはリモートリンク機能を使用しスマホ画面で操作することで解決できる優秀さもあります。 数値上では決して高くはないのですが、SN比は高く感じました。音の描き分けができるディティールの細やかさがあります。パワーも前作に比べ少し上がっているようで、同曲を同イヤホンで再生した時の聴感上㏈合わせをしたところNew R3pro Saberの方がボリュームを抑えることができました。コンパクトなDAPでありながらパワー向上と、確実に進化しているポイントです。 全体的にクールでタイトな印象の音色です。バラードよりも音数の多い楽曲の方が本製品の実力を感じやすい印象を受けました。ボーカルがすっきりとしていてバックの楽器との距離感が絶妙です。粒立ちがよいので弦のはじく質感を分析的ながらもライトに楽しめます。 ポケットサイズのDAPをお探しの方で、綺麗で精密な音が好みならばオススメしたいモデルです。