スタッフレビュー詳細
解像度が高く、質の良い低域描写が魅力
ダイレクトで描写力に優れた低域、俯瞰して聴こえる中音域、控えめながらもしっかり出る高域という印象でした。低域と中音域同士の定位は近めに感じますが、どちらも支配的ということはなく上手くまとまっています。
ボーカルは俯瞰して聴きたい方、低域の質感を重視する方にオススメです。
【外観/装着感】
ウッド調のフレームを黒が引き締めた印象でカッコイイです。個人的には、ウイスキーの「ジャック・ダニエル」っぽい色味で気に入っています。
装着に関しては従来の「Arya」同様、頭を広く覆うハウジングに耳がすっぽりとハマります。イヤーパッド内径も広く高さもあるので、ドライバーに耳が当たるという事は少なそうです。
【音質】
特に印象的だったのは低域の存在感です。やや近めでダイレクトに感じられつつ量感が多すぎる事はなく、どの音から出ている響きかを分析的に捉えられる描写力がありました。
比較して中音域や高域は少し奥まって聴こえます。
ボーカルよりも楽器が一歩近く聴こえる点は好みが分かれそうですが、ボーカルを俯瞰して捉えられるのは舞台を観客席から観る感覚に近く、映画を観るときなどにマッチする印象があります。
またDACアンプ、プレイヤーなど複数の機器と繋いで聴いてみましたが、低域描写はヘッドホン側の性質が強いのか量感の変化は少なく感じました。中音域〜高域の方が上流の特性が現れやすいように思います。
【Aryaとの比較】
「Arya」、「Arya Organic」いずれも全体的にメリハリがありつつ、楽器も声もそれぞれ定位が明確な部分は共通していると思います。
「Arya Organic」で特に異なる点は、やはり低域です。比較して低域の量感が多く、インパクトはよりハッキリとしていて、響きが豊かで伸びがあります。ダイナミックレンジも広くなっていて、マイルドな印象が出てきています。
また低域の量感の多さは、前述したように相対的に楽器が前に来る印象があり、ボーカルは少し引っ込んだような印象があります。特に、Eagles「Hotel California」では顕著にその特性を感じました。
楽器の音や特に質の良い低域表現を求める方は、「Arya Organic」がオススメです!
使用機器: RME「ADI-2 DAC、HIFIMAN「EF400」、FIIO「K9」、Questyle「QPM」
量感イメージ
このスタッフの他のレビュー
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AKIRA
@e☆イヤホン 秋葉原店
Austrian Audio
The Composer
¥396000 税込
圧倒的にレスポンスが良く素直な音。
低域から高域まで圧倒的なレスポンスの良さを持ち、滲む事がありません。開放型の中では低域の量感が多く、中低域のアタックにもパワーが乗る印象です。 ロックやポップ、アニソンなど比較的何でも合う印象ですが、ライブ音源よりも収録された楽曲がオススメです。音数やスピード感、楽器、声、またそのバランス全体に忖度せず素直な音を求める方にオススメのヘッドホンです。 【外観】 全体が金属製で剛性の高さが伺えます。とはいえ無駄を感じさせないスリムなパーツで組み上げられており、期待通りの軽さがあります。 またComposerにはサイズ調整のアジャスターだけでなく、個々人の頭部形状に合わせたハウジングの角度調整の機構も備えています。洗練された機能美を持つヘッドホンだと思います。 【装着感】 イヤーパッドは比較的大きめで、多くの方の耳をすっぽりと覆えると思います。アジャスターは6段階、ハウジングの角度は4段階で調整でき、スイートスポットは狭い印象なので、試聴の際は細かなサイズ調整をオススメします。 【音質】 どの帯域にもレスポンスの良さを持ちつつ、余韻がとても伸びやかな余韻です。硬く締まりのある音だけではなく、柔らかい音や倍音成分も幅広く表現する懐の深さがあります。また低域のレスポンスの良さは特徴的で、低域の深い部分もボワつく事なく繊細に感じられます。 また、中低域のアタックも明瞭で、弦の弾く音やドラムの打ち込みの音圧感がストレートに感じられます。どの帯域もヘッドホン固有の量感や表現でマスクせず、音源の特徴をしっかりと出してくれます。声の表現も感情を込めた部分の力強さや抑揚も非常にストレートに感じられます。 また音量によるサウンドバランスの変化が少なく、低音量でも細かなニュアンスが潰れません。大きい音が苦手な方も、最適な音圧で楽しめると思います。 【HD 800Sとの比較】 比較してComposerの方が音が近く、低域部分の量感の多さとレスポンスの良さが特徴的に感じられます。 HD 800Sは低域に奥行きや広がりを感じつつ中高域には明瞭さがあり、広い空間の中に楽器や声が映える印象です。Composerは適度に近い距離感で、音の細かなニュアンスを正確に捉えることを重視した印象です。 使用機器 iPhone15Plus、RME 「ADI-2 DAC」、JR SOUND「HPA-203」、K9 Pro ESS 試聴楽曲 あたらよ「僕は…」 星街すいせい「Stellar Stellar」 電気式華憐音楽集団「prima dynamis」 Fourplay「Bali Run」 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団&カスロス・クライバー「I. Allegro moderato」
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AKIRA
@e☆イヤホン 秋葉原店
iFi-Audio
iCAN Phantom
¥660000 税込
残響感まで伸びよく表現する洗練された音
【外観/操作感】 アンプを上下に重ねたようなデザインですが、一体となっています。ちょうどPro iDSD&Pro iCANセットを重ね置きしたのと同程度の高さがあります。 X BassやX Space、ゲイン調整などの各機能は本体のみで操作が完結できます。もちろんリモコンでも操作可能。またボリュームノブにモーターが内蔵されていてリモコン操作で物理的に回転するのがとてもユニークです。 また静電型の各種ヘッドホンを駆動するための機能も内蔵しています。5ピンソケットSTAXの前世代モデルに対応した230Vのノーマル・バイアスの他、STAX/HIFIMAN/AUDEZEなど静電型の各種製品に対応します。本体背面に収納されているアンプカードを切り替える事で使用できます。カード自体に対応するメーカーor機種が記載されていて分かりやすくなっています。 【音質】 ソリッドステートモードでは、分離感の良さやレンジの広さがあり、音同士の質感の描き分けがより自然に感じました。硬さはあまり感じないものの一音一音を伸び伸びと表現し、音数が多くてもしっかりと聴き分けられる透明感の高さがあります。ADI-2単体と比較して上下に定位が広がるようになり、明瞭さでありつつ聴きやすい音作りに感じました。 Tubeモードでは、少し音がまとまり各音の繋がりの良い音になりました。分離感や定位の良さは失われておらず、ほんの少しだけ滑らかさが欲しい時に適度に効いてくれます。少しだけまとまりの良い音になりパンチも出てきました。 Tube+モードでは、さらに音のまとまりが良く倍音がより強く感じられるようになりました。細かい音の聴き分けよりもボーカルの艶感や響きの余韻が綺麗に表れ、音の要所や全体感を楽しめる音傾向になりました。輪郭も丸くなり過ぎる印象はなく、十分な解像度は持っています。 【STAX SRM-T8000との比較】 T8000では、パワフルで解像度が高い鮮やかなサウンドで、より臨場感高く音楽を楽しむ事ができます。細かい音、厚みのある音もしっかりと描き分け、じっくりと音楽を聴き込みたくなります。 Phantomでは、まとまりが良く優しいウォームサウンドで、ゆったりと音楽に没入できます。音のつながりが良く、音楽を全体的に聴くのに適していると思います。 【試聴機器】 DAC:ADI-2 DAC FS(XLR接続) ヘッドホン:HD 800S / THE Composer 【試聴楽曲】 宇多田ヒカル「First Love」、上原ひろみ「ムーヴ(feat.アンソニー・ジャクソン、サイモン・フィリップス)」、高橋洋子「残酷な天使のテーゼ」etc.
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AKIRA
@e☆イヤホン 秋葉原店
FIIO
FT5 Black 【FIO-FT5-B】
¥74654 税込
分離感となめらかさのバランスが良いサウンド
広い音場感や定位の高さ、ダイナミックレンジの広さのバランスが良く、適度な聴きごたえと耳当たりの良さにつながっている印象です。「リラックスして聴きたいけど分離感も欲しい」という方にオススメです。 【外観/装着感】 ハウジング素材にアルミ・マグネシウムが使われており、剛性の高さが伺えます。ヘッドバンドは頭部に合わせて伸縮するゴムにより、サイズ調節せずそのまま装着できるタイプです。可動する部分が複数あり頭部への追従性は高いと思います。ズレも少なく、思っていたより重さは感じませんでした。 【音質】 主にスエードイヤーパッドで試聴しています。 低域は出だしのインパクトがありつつ輪郭に丸みがあり、太い音もしっかりと出し余韻も伸び良く表現します。定位がボヤけたり間延びしたりすることもなく、音の減衰や強弱感を表現しつつなめらかさもある印象です。 高域は量感が控えめなものの、他の帯域に埋もれず細やかな音も分離良く聴けます。余韻の伸びも良く、優しい聴き心地に感じました。 中音域は歪みが少なく自然な聴き心地です。トーンバランス、音の強弱感、伸びなどの正確な表現力となめらかさが生々しさに繋がっている印象です。 音場は広く各楽器やボーカルの聴き分けもしやすいです。分離感となめらかさのバランスが絶妙で、立体感や厚みや重みもありつつ、リラックスして聴こえるのが楽しくも心地良く感じます。 また、プロテインレザーイヤーパッドに変えると、定位がより明確に、ディテールがよりハッキリと感じられ、中低域のアタック感も強くなりました。打ち込み系やロックなどを聴くなら、こちらのパッドがオススメです。 そして、アンプのゲイン設定に関して。低インピーダンス高感度の設計からか、LOWゲインでも十分にレンジの広さや低域の沈み込みが感じられました。いくつかの機器でゲインを切り替えて試聴したところ、高めに設定すると中音域が前に張り出すように感じました。試聴の際はゲイン設定を変更してみる事をオススメします。 試聴機器 RME「ADI-2DAC」、FIIO「R7」「K7」「K9 Pro ESS」、iPhone15 PLUS
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AKIRA
@e☆イヤホン 秋葉原店
YAMAHA
HA-L7A(B)
¥396000 税込
ヘッドホンの個性を活かし、明瞭さと迫力を最大限引き出す
PURE DIRECTモード、YH5000SEでは細やかな音を非常に明瞭に表現します。立ち上がりに関しては弦が硬く張ったような硬めな印象を受けましたが、厚みや伸びも十分に出ます。音に迫力を持たせつつ滲みなど曖昧な表現を持たせない傾向に感じました。音源やヘッドホンの癖を如実に表現する印象です。 【外観/機能】 特徴的な2つのトロイダルトランスと2つのアンプが組み合わさったようなデザインで、ダイヤルにYH-5000SEと同様にイエローのアクセントが使われているのが印象的です。 機能面では、使用していない機能の回路をバイパスすることでノイズを低減するPURE DIRECT、音楽/映像などそれぞれのコンテンツに最適な音場を再現する 6 つのサウンドフィールドモードの変更、インプットとアウトプットの選択などはダイヤルとボタンに割り当てられており、直感的な操作ができるかと思います。 【音質】 冒頭に述べたPURE DIRECTの他にサウンドフィールドをYH-5000SEで聴き比べをしてみました。この機能を使うと空間表現、ボーカル、効果音の変化がかなりハッキリと反映されます。 個人的に印象的だったのはCONCERT HALLモードです。過去に一度だけ聴くことができたゲームのサウンドトラックのホールの生演奏を聴いたことがあるのですが、このモードで聴くと空間の奥行きや残響感が当時の聴いた印象とかなり近くなり、記憶が呼び起こされる感覚がありました。正確な表現とはまた異なりますが、録音された楽曲で得られる体験としては興味深い機能です。他にもOUTDOOR LIVEモードやCONEMAモードなど様々なシチュエーションに対応したモードがあるので、ぜひお試しいただきたいです。 SENNHEISER HD 800S、PURE DIRECTモードでも試聴しました。音一つ一つの分離感がさらに高くなり、アタック感の表現はよりハッキリと感じられました。これまでのイメージでは空気感を重視した音作りに感じていましたが、音の分離感や重さなどより定位に優れた方向に変化しました。 また特筆すべき点は、HD 800Sが持つ低域の奥行き感と中〜高域の明瞭さのイメージはそのままに定位が向上した点です。正直、定位感が向上するような変化はこれまでも経験したことがあったのですが、代わりにダイナミックレンジや音場が狭くなってしまう事がほとんどでした。HA-L7Aはヘッドホンが持つ個性はそのままに、迫力や定位など、ポテンシャルを最大限引き出してくれるアンプだと感じました。 【試聴楽曲】 アーシャのアトリエ オリジナルサウンドトラック「本の棺と自動人形」 シャリーのアトリエ オリジナルサウンドトラック「小手鞠」 ラリー・カールトン「Room 335」 Hoff emsemble「Dronning Fjellrose」 Ado「私は最強」 Superfly「覚醒」 稲葉曇&Neru「ロールレスウエポン」 etc. 【使用機器】 iPhone15 Plus YH-5000SE HD 800S