スタッフレビュー詳細
応答性の高さ、低弦まで聴こえる分離の良さが魅力。
全体的にタイトな印象で、個々の音の聞き分けが楽しめるタイプです。
ポップ、ロック、EDMや電子音楽などと相性が良く、スピード感のある楽曲も聴きたくなります。
【装着感】
ヘッドバンドは内部にゴムバンドが入っており、アジャスターの調節などは不要でそのまま楽に装着できます。
面白いのはハウジングを固定するアームの留め具部分に仕掛けがあり、ハウジングがアームに対して適度な力で平行に戻るような仕組みになっています。
例えば、自分はヘッドホンによって耳の下あたりにすき間が出来てしまうことがあるのですが、FT3は自然とその部分にテンションがかかるようになっています。自分が試した上では全体に側圧がかかっており、装着時の負担が少なく感じました。
【音質】
基本的にプロテインレザーパッドの印象です。スエードパッドは後述します。
開放型ながら低域の押し出しがありつつ、定位が明確でボヤけません。とはいえ情報量が削られているような印象はなく、適度な伸びの良さもあります。
ボーカルは若干明るめに聴こえるように感じますが、透明感があり細やかなニュアンスも感じられます。応答性が高く、楽器との質感の違いもしっかりと表現されています。
一番特徴的に感じたのは、帯域9k〜11kHz辺りの量感の多さです。場合によってはボーカルのサ行など歯擦音が気になるかもしれませんが、この部分が音の細やかな印象に繋がっているように思います。楽器のかき消えてしまいそうな弱音が立体的に聴こえ、散りばめられた音を聴き取るのが楽しく感じられます。
スエードパッドに変更すると、それまで輪郭のハッキリしていた低弦の表現にまとまりの良さが出てきました。響きに少し厚みが乗り、倍音が心地良く感じられるようになりました。中域以上は思ったほどの変化は感じませんでしたが、音の立体感は少し控えめになる印象です。
主に低域の質感の変化が感じられます。生音の表現にはこちらの方が相性が良く、合わせる楽曲によって替えてみると面白いと思います。
【試聴環境】
FiiO「K7」「K9」
Questyle「QPM」
RME「ADI-2 DAC」
【試聴楽曲】
ピノキオピー「神っぽいな」
結束バンド「光の中へ」
YOASOBI「アイドル」
ビリー・ジョエル「Piano Man」
etc…
量感イメージ
このスタッフの他のレビュー
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AKIRA
@e☆イヤホン 秋葉原店
AKG
K812-Y3
¥154220 税込
澄んだ空間表現に浮き上がる美音系サウンド
小編成のクラシックやPOP、女性ボーカルなど高域まできれいに表現しつつ聴きやすいサウンドを好まれる方にオススメです。またイヤーパッドが深く耳とパッドの間に空間が広めにとれるので、比較的良好な装着感を持っています。 【音質】 帯域バランスは低域がややスッキリめに感じますが、全体的に聴くと中域から高域が見えやすいちょうど良い量感です。質感は細部をクッキリと表現しつつ、輪郭には絶妙な丸さがあるので耳につくようなピーキーな印象にはなっていません。音に余計なベールを感じさせず、非常に臨場感ある鮮やかなイメージで高い解像度を持ちながら心地よく聴きやすい印象になっています。 またスッキリとしている音のイメージはあるのですが、実際に詰まっている音の情報量は確かなもので音源の細かなニュアンスまで繊細に表現する豊かさがあります。特にボーカルの息遣いや抑揚などの精密な表現力はぜひ聴いていただきたいです。 【HD 800Sとの比較】 HD800SとK812-Y3では、どちらも低域がスッキリとしていて中高域の定位が明瞭なイメージは似ている印象があります。 大きな違いは音場の広さと低域の質感や定位の仕方に感じられました。 HD 800Sでは、音が縦横どちらにも広がりがあり低域の量感がありつつもそれが外に向かって抜けていくので、中域~高域の表現をマスキングせずまんべんなく聴くことができます。 K812-Y3では、HD 800Sほどではありませんが音場の広がりがありつつ、音の立ち上がりがハッキリしているので定位がより明瞭に感じます。情報量があっても音が混じり合わずに個々それぞれを聴き分けらます。
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AKIRA
@e☆イヤホン 秋葉原店
DUNU-TOPSOUND
VULKAN【DK-X6】
¥60470 税込
色々な曲を聴きたくなる透明感が高い丁寧な表現力
ロック、POPやアコースティック系など様々なジャンルに合いますが、音の響きがスッキリとしているので濃厚な情報量を求めるよりもあっさりとした聴き心地を求める方に向いていそうです。 【音質】 低域表現の制動の効いた表現と透明感が高い生々しいボーカル、細やかで比較的情報量が多く抜けの良い高域が、全体的に聴くとスッキリとした印象にまとめられています。定位も正確で高い分解能を持っていますが、ある程度の沈み込みもありロックなど聴いてもパンチを感じます。音の立ち上がりが明確なので、ドラムなどのリズム隊が見えやすい印象もあります。 また最初の印象では高域の細かい描写と中音域の生々しさが特に意識され、印象のメイン要素になっていると感じました。ですが聴けば聴くほど量感は控えめながら低域の締まりの良い丁寧な質感が心地よく感じました。生音を聴いてもキレの良さはありつつ音の芯が痩せず、最低限の厚みを持っていると感じました。 ダイナミックとBA型のハイブリッド機ですが、高解像で音のつながりが良くピーキーさも感じさせない部分に完成度の高さを感じました。音数の多い楽曲では情報量が少なく感じる所はありましたが、基本的にはバランス良くニュートラルな傾向なので色々な曲で聴いてみたいイヤホンです。
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AKIRA
@e☆イヤホン 秋葉原店
SOUND WARRIOR
SWD-UA1 USB DAC内蔵プリメインアンプ
¥59800 税込
ヘッドホン、スピーカー環境を一台で完結
USB/光/同軸などのデジタル入力を装備し、ヘッドホンアンプ、パワーアンプを内蔵したDACアンプです。 PCやTVに「SWD-UA1」を介して、ヘッドホンやパッシブスピーカーを直接接続し運用できます。電子音の多いアニソンやポップスを聴く方にオススメです。 【外観/デザイン】 デスクトップPCの下にも置けそうなコンパクトなサイズ感です。デジタルボリュームですが、ノブは無段階で動くタイプでした。 操作系統は基本的にシンプルですが、スクリーンの輝度調整や電源のLED表示を設定で消したりできます。ずっと点灯していると意外と気になるので、ありがたい気遣いです。 【音質】 ※パッシブスピーカー環境がないためイヤホン、ヘッドホンで試聴した印象です。 音の立ち上がりが明瞭で余韻はスッキリとした印象です。細かい微細な音も逃さず聴き分けて聴けます。低域の量感は控えめながら、中低域のアタックは適度に出ています。ロックなどでは低域が薄くなりすぎることはありませんでした。 音のメリハリを良く表現するタイプなので、電子音の多いアニソンやPOPな曲と特に相性が良いと思います。MAISONdes「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ(feat.花譜&ツキミ)」は散りばめられた音が軽快に歯切れ良く感じられ、とても楽しく聴けます。 【使用機器】 Mac USB接続→本機 イヤホン:64audio N8 ヘッドホン:HD 800S、LCD-XC 2021 【楽曲】 MAISONdes「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ(feat.花譜&ツキミ)」 L'Arc〜en〜Ciel「HONEY」 etc…
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AKIRA
@e☆イヤホン 秋葉原店
HIFIMAN
ANANDA
¥77000 税込
低域の押し出し感と高域の煌びやかさが際立つ。
変更になったステルスマグネット版では、全体的に音の立ち上がりが少し早くなり、特に低域の量感の増加と定位が近くなった点に変化が見られました。以前は柔らかい響きと音抜けの良さを印象的に感じましたが、低域の空気の押し出し感や高音域の煌びやかさに意識が向くような音作りになっています。 EDITION XSと比較すると、XSは高い分離感とピークを感じさせない非常に整ったバランスの良い音作りが魅力のヘッドホンです。対してANANDAは、低域の厚みや高音域の煌びやかさが際立ったよりリスニング向きの音作りです。 また、低域がしっかり出るようになったことで、スマホでも低域がスカスカするような不足感をより感じにくくなっている印象です。ぜひ聴いてみてください。