スタッフレビュー詳細
お求めやすいが、外観も質も妥協しないDACアンプ
まずはこの製品の対応力の高さに注目してほしいです。このDACアンプはUSBケーブルを繋ぐだけで起動するいわゆるバスパワー駆動となっていますが、オーディオ的な側面から音声信号と駆動の為の電力を混ぜた状態にしたくないという方にも対応できるように、電源ケーブルを繋げて、より安定化をすることもできます。なので据え置きとしてセッティングしてからのリスニング環境の変更も容易で扱いやすいです。
また、小型なので場所も選ばす先述のようにコンセントも使わず利用できるのはデスク配線に悩む方にもおすすめできるポイントですね。
音質について。
試聴環境:ノートPCのイヤホンジャックからの直接アウトと本製品を通してのアウト
ボリュームは聴感上合わせです。
PC直の出力のままだと平面的だった音が、前後左右、下から上まで伸びていくような立体的な表現になり、まるでホールの特等席にゆったりと腰掛けてコンサートを楽しんでるような没入感を味わえます。帯域的にどこを強調するのでもなく、その音楽本来の自然さを引き出し、再現してくれるようなDACアンプです。
低音において、バスのアタック感は心地良くタイトですが量感や重みもあり、余韻が優しいです。これはアナログ段でのブーストをするTRUE BASSをONにした時も方向性は変わらないので、せっかくの機能を腐らせてしまうこともなさそうです。
高音域においてはストリングスやピアノ、金管楽器が艶やかに伸び伸びと表現されていて、シンバルなどの反響して混ざってしまいがちな音もしっかりと分離されていて粒立ちも非常に良いです。個人的にはここのポイントが特に魅力的でした。
ボーカルも埋もれたり、遠くに感じたりすることもなく、比較的近くボーカルを中心に楽器が配置されているような感じです。
足を運ぶことなく、いつでもコンサートやライブに連れていってくれるような体験をご自宅で味わえるコンパクトなDACアンプです。
多くのDACアンプが複数の入力端子を備えていますが、本製品は入力端子がUSBしかないので、テレビやゲームと繋ぐ場合はデバイスとの接続端子の確認は必須ですね。
そのぶんこの価格帯には珍しく4.4mmバランス接続の端子がついています。
バランス接続対応機器をお持ちの方はぜひ利用して欲しいです。
音楽の空気感を演出するという面で、TRUE BASSの自然な向上の仕方はリスニングに非常に向いていると思いますのでぜひお試しくださいませ。
量感イメージ
この商品に対する
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ひろ
@e☆イヤホン 秋葉原店
HIFIMAN
SUNDARA Closed-Back
¥31560 税込
耳に痛くない中高域を楽しめる
HE-R10から始まったHifiman密閉型シリーズの三作目です。数少ない木材を利用した平面磁界駆動型ヘッドホンのなかでも唯一、ハイエンドヘッドホンにも使われる再生パーツ『ステルス・マグネット』を採用した密閉型ヘッドホンだからか、空間的な余裕が感じられます。それに加えヘッドルームを感じるほどの余裕のある鳴り方なので激しいハイハットもソプラノも難なく鳴らし切ります。長く聴くのに持ってこいのサウンドです。 特に中音域のディティールの細やかさが素晴らしいです。繊細な表現をしてくれながらも、開放型のヘッドホンのようにリリースの方向が外部へと向かっているような感覚がありました。 バスドラの輪郭はやわらかめで、キツさが程よく無くなってくれました。量感は人によって足りないかもしれません。 全体的に音圧は控えめで、安心して身を任せる事の出来る音色です。 また、ボーカル等の中域は厚みがあり聴きごたえがあります。ちょっと前に出すぎだなと感じることが多いJPOPやJROCKなどでも上手くいなしてくれるので、心地よく聴くことができました。 ボディは重めで、側圧をやや感じますが、パッドの柔らかさとトップバンドの大きさも相まって相殺されており、そこまで圧は感じませんでした。遮音性も高めなので外でも安心して使えそうです。 総じてキレキレな音をまろやかにしてくれる為、エッジの効いた硬質な音色を好む人よりも、朗々と鳴る歪まない音を楽しみたい人に、手を出して欲しいヘッドホンです。
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ひろ
@e☆イヤホン 秋葉原店
Austrian Audio
Hi-X60
¥55000 税込
ミキシング専用なんてもったいない
ようやく日本でも発売となりました!本モデルはHi-X55と同じ密閉型で設計された新フラッグシップ機となります。 開放型で環境を選ぶ同社フラッグシップ機のHi-X65と違い、しっかりとした遮音性が確保されています。耳をすっぽりと覆うタイプのイヤパッドは長時間の使用でも快適です。私のように耳がわりと立ってしまっている場合、イヤパッドに深さがないとオーバーイヤー型でも干渉してしまい痛くなることがあるのですがこのモデルでは大丈夫でした。「耳が痛くなっちゃって」とはおさらばです。トップバンドもクッション性が高く頭頂部が痛くなるということもありませんでした。 肝心の音質について。 定位感の素晴らしかったHi-X65にとても近いです。クリアでバランス良く鳴らしてくれます。 帯域の被りは皆無で、密閉型になったことでよりトランジェントが見やすくなりました。その分音速が速い高域部分が本当に若干ですが強く感じました。距離感や分解能、定位を邪魔するような事はないのでこの評価は過敏すぎるかもしれませんが、シャカシャカとした音を、今まで凄く敏感に感じとってしまい長時間使用していると不快になりやすかったという方は要試聴です。 総じて帯域バランスは素晴らしいモデルです。 ピーキーさがなくそつなく聴こえることの良さを教えてくれますね。 どちらかといえば寒色寄りで低音も膨らまないので、リスニングで利用する方は低域は必要分だけで大丈夫という方じゃないと物足りないと感じると思いますが、生録音やライブ音源などでは緻密さが奏でる演奏者や空間の新たな一面を感じることができると思うのでモニター用途だけでなくリスニング用途でもぜひ利用してほしいですね。 最後に頻繁に使うからダメにしやすいんだよね。という方にも安心な情報を。 長期の使用も想定されているのでメンテナンス性も高いです。劣化しやすいトップバンドのクッションとイヤパッド、ケーブルは簡単に交換できるようになっていますのでどうぞ愛用してあげてください。
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ひろ
@e☆イヤホン 秋葉原店
beyerdynamic
DT 1770 PRO (250 Ohm)
¥95480 税込
優秀な分解能をもつ堅牢なモニターヘッドホン
ボーカルが少し遠めですが全体のセパレーションが優れているモニター設計のヘッドホン。低域が深いところまでグッと入ってくるので、モニターヘッドホンといえど、ホール感の強いボーカルを味わいながらカッコよくエネルギッシュに聴ける密閉型ヘッドホンだと思います。特に左右のセパレーションが秀逸でした。 耳をすっぽりと覆ってくれる大きさであることと、クッションが厚めでドライバーユニットから耳まで距離をとっているのも快適感を強めてくれます。私の頭では側圧も強いと感じませんでした。 重心は若干低いですが音場形成は良くできており、開放的ではないながらも楽曲の定位や密度感をじっくりと楽しめます。スピーカーで鳴らした時との差異が少なくなるような調整という印象でした。 ハイハットなどの高音の質感については、刺さらないように丸くなっているように感じました。そのおかげで刺激は少なめで長時間のリスニングでも曲の構成をしっかりモニターし続けられます。音の芯がしっかりしているので、その分ウィスパーボイスなどの高い声の帯域の表現は言葉通りのささやくという印象からはズレてしまうかなと感じました。 ハウジングにある製品名がワンポイントデザインとなっておしゃれ。ハウジングを支えるアームですら業務用の無骨さもありながら、綺麗なヘアライン仕上げが高級感を感じます。 ケーブル二種とセミハードケース、二種類のイヤパッドが付属しており充実したアクセサリなのも好印象。レザーとベロアのイヤパッドがあり、なかでもベロアにすることでアタックは弱めになり、先述の遠かったボーカルが少し近づきました。質感はよりウェットになり重心も少し上がったので、ベロアの方がバランスよく聴こえてきます。イヤパッドでも面白いほど印象が変わるので、一台で二度おいしいヘッドホンです。 試聴環境 CH-AMP with Tradutto RS6 PAW GOLD TOUCH
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ひろ
@e☆イヤホン 秋葉原店
Cayin
N7【SPK-A003】
¥272220 税込
1-bit DSD DACなど高い技術レベルが、最高の音質を実現したサブフラッグシップモデル
音の存在感をとにかくクリーンにリラックスしながら楽しみたい方にオススメの逸品。実在感がハンパないです。やりすぎない演出力と、病みつきになる表現力のおかげで、楽曲ジャンルを問わない音質とデザインの両面から考えるとすれば、フラッグシップであるN8iiよりも上かもしれません。 本作のCayin N7はこれまでの芳醇で豊かな音楽を作り出してきた同社の音楽的センスと、技術的ノウハウがしっかりと詰め込まれている素晴らしい完成度の音楽プレイヤーだと思いました。注目を集める新DACはもちろん、その他回路構成や設計のひらめきは同社の製品カテゴリーを越えた集大成と言えるでしょう。 再生時間は約10時間、他サービスも利用できるように独自のカスタマイズを施されたAndroid12とSnapdragon 665に4GbのRAMでストレスフリーな操作性。大画面の液晶と大型の高精度ボリュームはだいぶ扱いやすく、丸みのあるフレームはしっかりと手に馴染みます。背面のポリゴンデザインはこれまでの同社製品には無かった洒落っ気を感じます。 本国では日本以上に「7」という数字を特別な時に使うそうなので、本作のN7は普段の製品とは一味違うのだという表れなのかもしれません。しばらく連続で音楽再生をしていましたが、発熱はほとんど感じられず、付属の専用ケースに入れても背面に廃熱用の隙間がある事からじんわりと熱を感じる程度でしたので、安心して使っていけそうです。 カタログスペックや製品詳細から、フルディスクリート設計でないと到達できないクオリティに技術者が悩み、手間暇をかけた余念のない製品である事が窺えます。 ALL to DSDとあったので最初は、音に丸みがあっていい意味でにじみのある柔らかなサウンドになるから楽曲の相性とかでそうだなと思いながら聴いたのですが、ところがどっこい、厚みと輪郭もしっかりとしたサウンドで余計なノイズ無くオールジャンル聴かせてくれて驚きました。 一聴目が宇多田ヒカルさんのFirst Loveだったのですが、重くしっとりとした空気感とそこに溶けるような宇多田ヒカルさんのボーカルが、高いコントラストで同居した表現に目を見張るならぬ耳を見張りました。思わず「ふふっ」とにやけてしまいます。どちらも際立つというのでしょうか。楽曲を構成しているどれもが際立つという印象。主張があるのに丁寧で優しく感じます。それがそこらじゃ体感できない生々しいサウンドへと昇華されているのです。 フラッグシップの特徴にもあった空間的な奥行きも当然ながらありました。低めのボリュームでも高めのボリュームでもしっかりと感じ取れるのでアンプ部やプレミアムセラミックコンデンサーなどの優秀さが本当に沁みいります。 試聴時に恩恵を特に感じたのは上原ひろみさんのムーヴでした。メンバーたちの演奏が細かいところまで描写されていて、微妙な音色の変化をスムーズに鳴らしてくれたので、新しい表現を発見することができ身震いしました。 手に取れるような近くで弾いてくれているかのようなはっきりとしたディティールがあるのに、演奏全体の熱量も脳裏にはっきりと浮かばせてくれる凄味は卓越した音階表現のおかげでしょうか。絶妙なチューニングだと思います。 複数の要素が絶妙に織り交ぜられた、心地よく音楽に没頭できるプレイヤーでありながらワイヤレス製品各種との接続や、Bluetooth DAC、USB DAC、プリアンプ機能と拡張性も高く、オーディオ製品を向上させると、どんな世界が広がるのかをじっくりと味わえる最高の製品だと思います。