スタッフレビュー詳細
相反するものの調和
氷河にインスパイアを受けたという筐体は涼しげな装い。サウンドも寒色なのかと思ったら、良い意味で見事に裏切ってくれました。
サウンド全体が太く、非常に温かみがあり伸びやかです。明るさもまさに暖色系といった具合で、柔らかな日差しのような印象を受けました。ハイブリッドドライバーらしく分離感と解像度も充分に確保されていて、音も追いやすくなっています。
また、低域〜中低域はどっしりと構え、中域はほんの少し前に出てきてボーカルが浮かび上がり、中高域〜高域も太く滑らかに、かつ刺さらずに描写されるため聴き疲れもしづらいので、ついつい聴き込んでしまいました。
そんな中で特に印象的だったのは低域の質感です。今までは僅かに聴こえていたバスドラムやベースラインがグッと持ち上がり、目の前に現れたように感じられました。柔らかく丸みを帯びた輪郭を持ちながらも芯のある鳴り方をしてくれるので、量感が多いながらも胸焼けするようなくどさは感じません。また、中低域以降の各帯域がのびのびと分離して鳴っており、低域に沿うような調整が施されているなと感じました。
そして、接続端子を3.5mmか4.4mmにするかで重心と定位がなかなかに変化します。まず3.5mmでは重心は目線辺りに位置するイメージで、定位は低域から高域まで横並びになる印象です。また、低域が若干弱まります。対して4.4mmでは重心が下がり口元〜首辺りに位置するイメージです。定位も横並びから上下が加わり、より立体的な配置になります。
濃密だけど分離感もよい一台を求めていらっしゃる方に大変おすすめです!
量感イメージ
このスタッフの他のレビュー
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れ〜やん
@e☆イヤホン 秋葉原店
HiByMusic
R4
Orange
¥45800 税込
パワフルスモールワンダフル!
音色はパワフルで、筐体は軽量コンパクトで持ちやすく、デザインもSFチックでカッコいい!眺めても楽しいし、音楽を聴いていても楽しい至れり尽くせりなDAPが登場です。 まず何よりも筐体のセンスが光ります。比較的小さなサイズで、片手での操作がかなり楽に行えます。重量も231gと重すぎず軽すぎないちょうど良い塩梅です。上部には大きめのストラップホールが付いており、ストラップを通して首にかけたりできます。逐一バックやポケットにしまったり、常に持っていたりする煩わしさを解決してくれます。オーディオイベントなど、次々に試聴をする環境で特に役立ちそうです。背面のデザインはSFチックでカッコよく、所有欲を満たしてくれます。少し背の高くなっているブロック部分は机の上に置いた際、ちょうど良い傾斜を作ってくれて、操作性の良さに一役買ってくれます。 動作はかなりサクサクで、固まったり、スライドがワンテンポ遅れたりなどはなく、ストレスフリーに使用できました。 サウンドはかなりパワフルでノリが良く、自然と身体が動いてしまいました。特に中低域が力強い鳴りをしてくれるため、ベースラインをビシビシと感じることができました。中域も負けじと厚みがあり、存在感のあるボーカルを聴かせてくれます。中高域から高域にかけてはキレと聴きやすさが両立されている印象です。ロックやポップス、EDMに特に合いそうだなと感じました。 上記はMSEBやイコライザーをいじらない、ノーマル状態での印象です。これら2つの機能を用いれば、お手持ちのイヤホンやご自身の好みに合わせたサウンドチューニングが可能です! かなり楽しめる一台!メインはもちろん、サブ機として持っていても活躍できる可能性大です!
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れ〜やん
@e☆イヤホン 秋葉原店
Ferrum Audio
ERCO Gen2
¥352000 税込
強くなって帰ってきました。
gen 2の名の通り、第2世代になりました。筐体デザインや大きさは変わらず、中身が換装されています。同社のフラッグシップDAコンバーター「WANDLA」のノウハウを落とし込み、音質のさらなる向上が図られています。 操作性は初代ERCOと変わらず、とてもシンプルです。接続セレクターノブを使用する端子に合わせ、ヘッドホンを繋げるだけで直ぐに聴くことができます。Gainセレクターもあるので、音量が大きすぎたり小さすぎたりした場合にも適時調整が可能です。 前面のOutputは6.3mm×1、4.4mm×1となっており、アンバランスとバランス接続両方を楽しむことができます。出力もかなりのもので、バランス接続時には50Ω/6.1w、300Ω/1.2wと、鳴らしにくいヘッドホンも安心して繋げることができます。 サウンドは全体的に引き締まったイメージですが、上位機種「WANDLA」で感じられた柔らかさが上手く各音の上に乗っており、独特な音色を生み出しています。定位は横方向の正確性が良く、ピシッと決まっています。目線を動かすとしっかりどこにどの音が鳴っているのかがわかり、思わず笑みが溢れます。低域〜高域まで必要十分に出ていますが、特に中域の解像度と描写力が高く、ボーカルが間近に感じられます。女性ボーカルと相性が良く、スッと楽曲の中へ入っていけます。 ヘッドホンはERCO gen2の高出力を活かせるD8000やempyreanなど、深みや余韻の描写力が広い空間を作り出せる平面磁界型ヘッドホンとの相性が良さそうです。 また、ERCO gen2は「HYPSOS」という別売の外部電源装置から電力供給が可能です。ノイズや変動の多い家庭用電源をHYPSOSが整え、ERCO gen2へ送り出します。付属品のACアダプターよりもさらにノイズレスになるため、より細かい音が聞き取りやすくなります。 省スペース性と高出力性をお求めの方にオススメです!
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れ〜やん
@e☆イヤホン 秋葉原店
STAX
SR-X1
¥59400 税込
エントリーながらも一線を画す、歴史あるデザインとサウンドの融合
手軽に始められるエントリーモデルでありながら、その性能は確かです。 上位モデルのSR-009SやSR-X9000、初期モデルのSR-1、SR-Xと同じ丸形ハウジングを採用しており、エントリーモデルながらも歴史と高級感を感じさせるデザインを持っています。ヘッドバンド部分や調整スライダー&アーム部は金属製で、剛性も確保されています。イヤーパッドも上位モデルと同様に、取り付け部は人工皮革、肌に触れる部分は羊皮が使用されており、細部に至るまでこだわりが感じられます。 サウンドの確認には、セットで販売されているSRM-270Sと最上位機種のSRM-T8000を使用しました。 低域から中域にかけては細かな違いはありますが、どちらのドライバーユニットを使用しても概ね似た音質です。低域は綿密に制御され、必要なときには力強く、不要なときには抑えることができます。中域は明瞭で聴き取りやすく、ボーカルやギターが活き活きとしていながら、冷静さを失わず、音楽としてのテンションを保っています。情報量や空間表現に大きな変化はありません。明確に異なるのは高域で、SRM-270Sは少しドライで薄味の音ですが、SRM-T8000ではウェットで滑らかで、厚みのある高域に変わります。過度に出すぎず、耳障りなサ行音が気になることもありません。SR-X1の良さを保ちながら、ドライバーユニットが醸し出す美しい音色を上手く取り入れています。 まずはSRM-270SとセットのSRS-X1000からオーディオを始め、ドライバーユニットを交換することで音の変化を楽しむことができます。エントリーモデルながら、長く付き合えるイヤースピーカーだと感じます。もちろん、既に上位モデルをお持ちの方も、気軽に聴きたい時やサウンドに変化を求める時に活躍してくれる逸品です。ぜひ一度試聴してみてください!
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れ〜やん
@e☆イヤホン 秋葉原店
STAX
SRS-X1000
¥108900 税込
ここから始まるオーディオライフ
必要なのはDACだけ! 手軽にSTAXサウンドを楽しめます。 STAX社はヘッドホンを「イヤースピーカー」、アンプを「ドライバーユニット」と呼称しています。このイヤースピーカーとドライバーユニットがセットになっているのが「SRS-X1000」です。STAX社直々の組み合わせを考えてくれているため、サウンドに関しては安心感があります。DACは付属していないため、お手持ちのものか別途購入が必要ですが、オーディオの醍醐味である「機材の組み合わせによるサウンド変化の楽しみ」を味わえます。悩みは少なく、楽しめる箇所は残すいい塩梅で、入門用としてピッタリです。 さて、肝心のサウンドです。今回は「SRS-X1000」セットとしての総合的な印象をまとめました。DACは「iFi Audio Zen DAC 3」を使用しています。 音はとても軽快で発音が良く、上から下までストレスなく聴くことができます。低域はよく制御されており、出すときは出し、抑えるべきときは抑えられています。中域はこもりもなく明瞭に聴き取れ、もたつきも少ないため、ボーカルやギターが生き生きとしています。高域は少しドライで薄口な鳴りですが、サ行が耳に刺さることなくリラックスして聴くことができました。 重低音が鳴り響いたり、非常に空間が広いわけではありませんが、その素朴さでどのような楽曲とも合わせて、楽曲そのものが持つ世界観を壊さずに聴かせてくれます。 最近有線ヘッドホンに興味を持たれた方、STAX製品に興味がある方、サブ機として手軽な1台が欲しい方に大変おすすめです! 是非一度聴いてみていただければと思います。