以前にも同製品のブラック(レビュー当時は1000円弱)をレビューしており、今回はニューパッケージ&価格改定後のクリアタイプと昔購入したブラックとの比較を含めた再レビューとなります また当時価格が近く安価な低域増強イヤピ仲間であったfinalのEタイプ、オーテクのER-CKS50とも比較します
<主な特徴(ブラック&クリア共通)>
・先の方が太い形状をしていて、広い面積で耳道にフィットするような作り 先側の剛性がしっかりしていることもあり、イヤホンの低音を外へと逃さない 良質な低域増強イヤピ
・何故か当時の価格から8~9割増 外箱の紙質および印刷インクの質が超高品質なものに変更され、購入欲を大いに刺激するラグジュアリーなオーラを纏う商品へ生まれ変わった(※冗談です) まあ今の外箱デザインの方がモダンさがあって良いとは思う ただ今の販売価格は正直高すぎる 仮に今の単価を据え置くなら1ペア分減らし、1200~1300円程度までにパッケージ価格を落として販売したほうが一般受けすると思う だが価格が上がったことは必ずしもデメリットではなく、価格的に高級イヤピの仲間入りを果たしたことで購入欲・使用欲を満たすものとなった 拘りのあるイヤホンに合わせるとよい
<ブラックとの違い>
・シリコンの質感が大きく異なる ブラックはサラッとしたゴム系で、クリアはペタッとしたビニル系の質感 クリアはぺったりくっつきホールド性が高いが若干ハードな装着感 ブラックはぬるっと奥に入り装着感はそこそこ がっちりイヤホンを固定したい場合はクリアの方が良く、ホールド性を意識しないならブラックの方が装着感のバランスが取れていて良い印象 お好みでどうぞ
・クリアは低域のレスポンスが僅かに良く、中高~高域の利得を少し下げる効果がある 低域の解像感を重視、もしくは刺激音を抑えたいならクリアがオススメだが、使い方を誤るとボーカルの瑞々しさを潰したりもする ブラックは素直に低域だけ強化してくれるバランス型で使いやすい お好みでどうぞ
<final Eタイプ(2023/3/15時点、eイヤホンにて3ペア980円(税込))との比較>
・カラバリは圧倒的にEタイプの方が豊富で、サイズ展開も5つ(SS,S,M,L,LL)を用意、しかもイヤピケースまで付属
・装着感はEタイプの方が優れる 圧迫感は弱いのにピッタリ耳に引っ付く 流石の名イヤピ
・Eタイプと音特性が近いのはクリアの方 Eタイプの低域はレスポンスが低めでふっくらした優しい音だが、ディープマウントの低域はカチッとしたソリッド感があり解像感も高い 高域の特性はほぼ一緒 一般的に言えば音質はディープマウントの方が優秀だと思うが、Eタイプも好み次第で光る 低音増強を強く感じるのはふっくらした低音を持つEタイプの方なので、低音を大きく盛りたいという人はEタイプの方が合うかも
・元々両者はほぼ同価格だったが、ディープマウントの価格が超高騰したことでEタイプのコスパが大きく上昇 音質はディープマウントの方が僅かに優位ながら装着感はEタイプが優れると、同価格だからこそ性能面でうまく拮抗していたが、2倍近い価格差になると性能的にディープマウントを薦める理由はない だが「高級イヤピ」という新たなステータスがあり、使用欲はディープマウントの方が間違いなく埋められる 性能と欲を両立するならディープマウントの方が良い
<オーテク ER-CKS50(2023/3/15時点、eイヤホンにて3ペア528円(税込))との比較>
・装着感はほぼ同じ 僅かにディープマウントの方が圧迫感が小さいか またCKS50の方は先端部分に若干エッジがあるので耳奥に突っ込み過ぎるとむず痒さが出るかも(自分は感じたことはない)
・CKS50と音特性が近いのはブラックの方 CKS50は中低域に重心を置いたマッシブ型で、高域はキレと伸びがあるクールな特性 ディープマウントはCKS50は低域とちょっと低めに重心を置いたグルーヴ型で、上の帯域はCKS50と比べるとちょっとだけ柔らかく天井を感じる僅かに狭い響き 音の雰囲気は非常によく似てるのでどっちでもいいレベルだが、高域の伸びを意識するならCKS50、高域に変な癖をつけずそのまま活かしたいならディープマウントが良いかも
・ほぼ同性能であるCKS50の方が3割程度安かったが、ディープマウントの価格が超高騰した(逆にCKS50は少し価格が下がった)ことでCKS50のコスパが超上昇 CKS50はまごうことなき名イヤピと化した ただCKS50はEタイプと違い今から盛り返すには知名度が低く、多分今後も注目を浴びずそのままのような気がする ステータス性の低さこそがCKS50最大の弱点
・カラバリもCKS50の方が4種類と豊富で、サイズ展開もディープマウントと同じく4つ(XS,S,M,L)を用意 機能面でCKS50に勝っている部分はほぼない 勝っているのはネームバリュー、そして「高級イヤピ」というステータス性であり、欲を満たす意味も含めて選びたいならディープマウントの方が断然強い というか、ステータス目的だとCKS50は現状全く薦められない
<総評>
相も変わらず高品質な低域増強イヤピ クリアとブラックでシリコンの質感が大きく違い、それがフィット感・装着感に結構大きな差を生んでいる(音も微妙に違うが、そこまでシビアにならなければ一緒と扱える) そのため互いに別々のイヤピだと思ってくれてよい 何故か当時の2倍近くまで値段が上がっており、今の価格はディープマウント準古参勢の自分からすると性能的にかなり高いと言わざるを得ない 昔は同じ安価組の低域増強イヤピとしてCKS50、Eタイプとしのぎを削っていて、互いに微妙に違った良さがあるからこそ競争できていたが、大幅値上げしたことで昔持っていた価値は完全に失われた しかし、価格的に高級イヤピへとランクアップしたことで生まれた「ステータス性」という新たな価値がある 拘りあるイヤホンこそ品高いアイテムでばっちりコーデしたいという気持ちは自分にも理解できるので、そういった方にこそ本商品をオススメしたいと思う コスパの高さはオーディオにおいても”正義”であるが”全て”ではない ただ性能的に他の高級イヤピに劣る部分はそこそこあるので、特性をしっかり見極めて使った方が満足度は高いだろう
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