耳コピの効率が上がる

[デザイン面]
イヤーパッドのサイズ感がちょうどよく、側圧もさほど強くないので、疲れにくい。長時間の使用も問題ない。惜しい点は、ケーブルが細く、クセが付きやすいことぐらいである。

[音質]
○高音は主張が強く、音量を上げていくと、耳に刺さる傾向にある。ただ、解像度が高いので、音量を上げなくても、しっかり聴き取れる。
○低域の再生は見事で、細かな指の動きも感じ取ることができる。音像は大きめだが、輪郭は引き締められている。ベースアンプを目の前に置いているような感覚で、おかげで音程やニュアンスが把握しやすい。ベーシストにとっては心強い再生の仕方である。
○ボーカルはドライな質感。ハスキーな人だと、ざらざらとした音になり、心地よいとは言えないが、このヘッドホンを使おうと考えている人にとっては、気にする程でもないだろう。

空気感が少ない代わりに、解像度とメリハリのあるチューニングで、個々の楽器の音を聴き分けることができる。

[総評]
密度感が少なく、音場の広がりも少なめで、高域が刺さりやすい。音のバランスは決して悪くはないが、このヘッドホンをリスニングにも使うというのは、おすすめできない。
しかし、このヘッドホンの素晴らしさは、

ベースの音が「よく聞こえる」
のではなく、

「ベースの音程、指のタッチ、細かなニュアンスを描き分ける」
というところにある。

このヘッドホンを使うと、ベースが曲の中でどのような働きをしているのか、聴くのが楽しくなる上、耳コピの効率もグンと上がる。ベーシストの中で、更なる上達を求めている人にとっては、これ以上ないパートナーである。