【試聴レビュー】ハジマル

※前代機にあたるOxygenを所持・使用している人間が7分程度試聴したときのコメントをまとめた試聴レビューです


＜コメント＞
●筐体形状はOxygenと大体同じだが、腹側（耳に当たる側）のキャビティデザインが少し変更されている　左右のフェイスプレートで異なる意匠が施されているのはOxygenと同じだが、右側のロゴ印字が少しシンプルなデザインに変更された　装着感はOxygenとほぼ同じで、金属の重さはありながらもやや小ぶりな筐体からくる快適さがある　ケーブルの見た目もOxygenのマイク無しケーブルとほぼ一緒
●付属イヤピが自社のT-APBイヤーピースというハイグレードイヤピに変更されている（Oxygen登場時は当イヤピがまだ存在していなかった）　軸内側が数か所僅かに角ばっていて、丸いイヤホンノズルに付けた際にできる数か所の隙間によって内圧を調整することで、イヤホン装着時に起こる耳への圧迫感や閉塞感を解消する工夫がある　実際試着した際も変な圧迫感・閉塞感もなく快適だった　出音も珍しくややマットな質感の音特性
●限定モデルのOxygenのみに採用されていたノズル交換ギミックが搭載されていて、ノズルを変えることで少し音を変えられるらしい（試聴時では変えなかったので実際に音の違いを聴き比べていない）
●ややソフトでブライトな音特性でザ・美音といった感じ　中高～高域はさらっとマットな質感で優しいキラキラ感を持っている　低域はほんのり控えめ　ボーカルまわりのクリアネスと空間の広さはOxygenより強化されていて、ボーカルホンとしての特性が若干強化されている　Oxygenほどではないがリアリティに寄ったボーカル表現を持っているので、トータルだと優しい美音をベースにしたリアル系ボーカルホンの印象　水月雨も似たような音を作るが、音を飾らないTANCHJIMの誠実さが同居していて、両メーカーの音嗜好が綺麗に合体したような感じ　TANCHJIMの音が好きな人はもちろんのこと、水月雨の音が好きな人にもウケると思う


＜所見＞
TANCHJIMの元祖に等しい名機 Oxygen の後継にあたる機種（Oxygenは2作目なので厳密には元祖でないが、メーカーの指針となったイヤホン　看板娘の浅野てんきが生まれたのも丁度この頃だったり）　Oxygenよりも音がすっきりかつブライトに仕上げられていて、持ち前のクリアネスがより強調された　それによりボーカル周辺の空間がより広く感じられるようになったことでボーカルがより引き立てられる形にもなっている　ゆえにちょっと残念だったのが、Oxygen最大の特徴であった生声レベルのボーカルリアリティに変な癖がのってしまっていること　男性ボーカルだとそこまで気にならないが、女性ボーカルだと若干ピーキーさが感じられる　ピーキーさの所為かOxygenのボーカルより僅かに乾いて聴こえる感じもあるが、湿度感はある程度維持されていてボーカルの質感はOxygenの時からそこまで大きく変わってはいない　イヤホン全体で見ると癖の少ないナチュラル系ボーカル特性ではあるが、Oxygenのようにリアリティを徹底して生まれた「凄味」のようなものは少し薄れたように感じられた　むしろ他イヤホンのボーカル質感に寄って聴きやすくなったまであるかも（笑）

音的にOxygenの系統であるかと問われれば、ORIGINはその系統にあると自分は答える　Oxygenのキャッチコピーであった「とにかく個性を出す！」は薄れてしまっているが、Oxygenのユニークポイントをしっかり捉えつつも方向性を若干変えたリアレンジ版としてきちんと仕上がっている　これならイコライザやリケーブル、イヤピ換装でOxygenのような音にすることも十分できると思う　音的にOxygenの完全上位互換というわけでもないので、OxygenからORIGINに乗り換えるかどうかは試聴や他者のレビューをもとに判断してほしい、というのがOxygenユーザーである自分なりの意見である

Oxygenユーザーでない人に対しては、現状Oxygenが非常に入手し難いためORIGINほぼ一択になる　Oxygenからの武器であるボーカルまわりのクリアネス＆空間の広さ、やや低重心で癖の少ないボーカルによりもたらされるリアル系ボーカルホン気質はあるので、そういったボーカルホンを探しているという人は一度試聴してみてほしい　Oxygenを知っていると正直あまり衝撃を受けないが、知らない人なら「ほほう」と感心してくれる、、、はず

正当進化

およそ五年ぶりの進化、相変わらず素晴らしい、ボーカルがとても滑らかで美しい、特に女性ボーカルは聴き惚れた。解像感、分離感よさげ。音場はイヤホンにして広い。フィルター交換はそこまで違いはないですが、備品としては良いです