Ultimate Earsアーバインラボ。


ここではUEカスタムIEMの全行程を行っている、
UEの技術の核心です。
今回は特別にラボ内と制作行程を撮影、
公開する事に許可を頂きました!
このように記事で紹介されるのは本邦初公開です!
スクープや!
では早速、制作行程を追っていきましょう!

 

まずはインプレッションのチェック。
耳の外に出る部分など、
不要な部分を削ぎ落とし、液剤の中に入れます。

 

インプレッションを液剤でコーティングします。
コーティング後、インプレッションから、
ユーザーの耳の形のメス型を作ります。

シリコンを流し込み作られるメス型は、
UEのラボに保管されます。

 

メス型保管庫。


インプレッションでは時間が経つと
縮んでいってしまいますが、
シリコン製のメス型は縮まないそうです。
ここには数えきれない程のメス型が保管されていました。

 

先ほどのメス型とは別に、
今度は製作用のメス型を作ります。
パテ等を使い、インプレッションの削れている部分などを補修します。
耳穴内部の固定用に、リング状にシェルを盛ります。

さらにそこから、インプレッション全体に先ほどの液剤をコーティングし、製作用のメス型を作ります。

 

続いてはシェルの作成です。


UEでは非常に多くのカラーを取り扱っています。
先ほど作った製作用のメス型に、
カラー別の液剤を流し込みます。

グレーの液剤を溢れる位にメス型に流し込みます。

 

硬化させる機械。



圧をかけ隅々までシェルになる液剤を行き渡らせ、
硬化させます。

 

クリアのシェル。


※行程ごとに、そこで作成していたモノを撮影しています。
全行程で撮影しているものは同一のではありません。

ここからバリをとり、コネクタが固定できる様な切れ込みを入れ、フェイスプレートの作成をします。 フェイスプレートは、シェルの上部を厚さ数mmのリング状に切り取り、それを型にして作成されます。

 

メス型の中に密着してリングになっている部分が
お分かりいただけるでしょうか?
これが無いと、遮音性は低く耳から
外れやすいカスタムIEMになってしまいます。
このリングはカスタムIEMメーカーごとに
場所や厚みが違います。

 

こうしてシェルは完成です。

 

ドライバーユニット。


まずは、モデルごとにドライバーユニットを組みます。
当然ながら、モデルごとに使用ドライバー、
使用するネットワークが違います。
組み上げた後に、規定の動作をしているかチェックします。

 

これがUEのドライバーユニットです。
UEはこれまでに5万人のユーザーにカスタムIEMを制作してきました。 どんな人の耳にも合う様にドライバーの収納位置なども研究が重ねられています。 特に、オーダーしてくれたユーザー全てに希望の製品を使用してもらうため、ユニットの小型化にはかなりの研究をした様です。 また、音の出口を帯域ごとに分けて用意することも議題に上がりましたが、出口のステム部分が必然的に大きくなり、耳型よってはに使用できないということで、現場から反対があり、違う技術で同等の音質を実現しています。

 

ドライバーユニットは先に作られますが、
それぞれのセットで微妙に音が違います。
さらに、シェル内部にドライバーユニットを格納した際にも、
耳型によって音が変わってしまいます。
それを調整するのがこのセクションです。

 

このセクションはUEの技術のキモです。ここで左右の帯域バランスと、各モデルごとの規定の音にチューニングします。調整方法は色々とありますが、アコースティックフィルターと呼ばれるものを先ほどのドライバーユニットのチューブ内に入れます。 アコースティックフィルターの位置や、使用しているフィルター素材によって左右で均一の音になる様に調整します。 調整は人の耳という曖昧な基準ではなく、各モデルごとの基準となるスペクトルグラフを用意しています。 実際にドライバーから測定用のピンクノイズを流し、デスク上のバイスで固定されたマイクで集音します。実際にシェルを通して出てくる音でチューニングがされるので、ほぼ確実に左右の音の帯域バランスが調整されます。

 

シェルを閉じます。


シェルとフェイスプレートを接着し、角を取ります。
そして、シェルを閉じた後、
再度左右の音のバランスが測定されます。

 

こうして、UEカスタムのドライバー製造からドライバーを固定し蓋をする行程までが終了しました。
続いての行程はデザイン。

 

ここでは名入れが行われます。
ケースとシェルの内側にユーザーネームを入れます。

 

機械でシェルに極わずかな溝をつくり、左には青色の塗料、
右には赤色の塗料を流し込みます。
ケースはレーザーで刻印されます。
また、1ユーザーに一つの管理番号が与えられます。
これによって、全てのデータを管理できる様になっており、
最初に作ったメス型にも同様の管理番号が振られます。
管理しているメス型は、同一ユーザーから新しいインプレッションが送られてくると、最新のものに更新されます。

 

続いてはアートワークとロゴです。
このプリンターは一般家庭のプリンターとは違い、
白色が印刷できます。
アートワークの塗装下地として、白が使用できるので非常にクオリティの高いアートワークが作成可能となっています。
さらに…

 

印刷の位置を調整するために、レーザーで位置を測定します。個人個人で形状が違うので、それぞれの形に合わせて印刷位置を性格に調整します。
またUEのロゴもシェルの中央にくる様に調整されて取り付けられます。 印刷が終わると、傷がつかない様にクリアコートがされます。 これまでの行程を全て通して、UEのカスタムIEMが完成です! 最後に…

 

オーダー時に頂いた付属品とオプションを同梱します。
他の人のオーダーと混ざらない様に、小分けされたまま管理されます。この後、最終検品のセクションにいきます。
最終検品のセクションでは、オーダー通りに制作がされているか?本体に不備が無いか?をチェックします。
そして、検品を通った物がユーザーに向けて出荷されていきます。 ということで、UltimateEarsのカスタムIEMの制作の全行程を追ってきましたが… 『UltimateEarsはすごい!』の一言に尽きます。 個人的に『ジェリーハービーがUEを抜けてから、UEは大丈夫なのか?』と思っていましたが、ここまで凄いとは思いませんでした。 ロジクールの傘下入った事で、資本が充実し、UEの生産能力、開発能力は大幅に上がりました。 社風として、現場の意見、ユーザーの意見を中心に製品開発が行われるので、非常に好感が持てました。 さらに未来への投資も忘れていません。

 

ということで、UEのラボとカスタムIEMの制作過程をご紹介させて頂きました!