Hadal MMCX - 4.4mm 【BEA-6189】

試聴環境はHS1670SSをZX300に直差しです。Police（Sting）、DavidBowie、三枝成彰などで視聴を行いました。

HS1670SS付属の日本ディックス製のシルバーコートケーブルとの相性が非常に高く、なかなかピーキーな特性を持つヘッドホンなので、基本的にDAP単体で鳴らせますが使用するケーブルを選ぶタイプの機種です。前々から思っていたのですが、この機種は音作りがいい意味で派手なこともあって、ケーブルの線材で傾向をつかみにくいです。そのため、相性のいいケーブルを探すには様々なメーカーの製品をとっかえひっかえするしか方法がありません。先日eイヤホン秋葉原に置いてある（ショーケースに入ってるものと8万を超えるものを除く）MMCXto4.4mm5極を全て試しました。そのなかで「お！？」と思えた物をレビューしていこうと思います。

前置きが長くなりました。

一聴して思ったのは、このケーブルは何か突出した特徴を持っているわけではないのに、他には代え難いような魅力を持っている、という事です。同社同価格帯のケーブルにemeraldがありますが、ケーブル自体の性質は似ていても出てくる音は全く性格の異なったものとなります。

HS1670につないで聞いたとき、最初にグッとくるようなインパクトは感じられませんでしたが、徐々にその魅力に引き込まれていくような感覚を覚えました。このケーブルは元のイヤホンの特徴を殺すことがありません。同社Vermilionなどは低音と包容力に焦点を当てたケーブルなので、相対的に高音が引っ込んでしまうような感覚に陥ることがありましたが、このケーブルにはそのような感覚は全くと言っていいほどありませんでした。解像度はバカみたい良くなりますが、それでいて元の長所を潰しませんし、かといってケーブル自体が特定の音域を強調するなんてこともありません。優等生サウンドと言ったらなまじ大人しすぎるような印象を受けるかもしれませんが、正に究極の優等生サウンドと言ったところです。音場・定位・空間表現自体そんなに変わりはしませんが、それでいてなおケーブル自体の良さを伝えてくれる唯一無二の存在だと思います。

このケーブル最大の魅力はどんなイヤホンと合わせてもそのイヤホンの特徴を殺すことなく一つ上の音に変えてくれることです。

多くのリケーブルが音の傾向を変化させることでイヤホンの音を自分好みの音に近づけるものですが、Hadalは違います。

私はXELENTO REMOTEにリケーブルして使用していますが、XELENTO REMOTEはケーブルを変化させても音の変化が少ないことで有名です。Hadal 8-Wire 4.4mmならそんなXELENTO REMOTEでも元々の表現力や澄んだ音をより魅力的に変えてくれました。言葉での説明は非常に難しいので是非とも視聴していただきたいです。

相応の価格がしますが価格に見合った非常に良い商品だと思います。

ノーマルのANDROMEDだと高域がちょっとキツくなりっすぎましたが、ANDROMEDA GOLD EDITIONでは、そんな感じはしません。全体的に派手めになりますが、GOLD EDITIONには合っているのかなと思います。RAI PENTAでも付け替えて使用してますが、全帯域ワンランク上がった感じがします。

ケーブルの取り回しもよく、見た目の格好良さもあり、とても満足してます。

見た目は勿論ですが、ケーブルでここまで変わるのか・・・を実感できる圧倒的な存在感です。音の広がりがハンパないのに、全音域の音の輪郭がハッキリして、繊細で優しく余韻が心地良いです。ただ・・・イヤホンとの相性で「あれ？」となることも。手持ちのイヤホンが「あれ？」の場合、ケーブルに合わせたイヤホンの購入が必須になるでしょう（笑）アップグレード（8導体：ミドルクラスのケーブル1本分の価格）後ですが、全音域の音の密度が向上し、さらに存在感が・・・ケーブルは柔らかく4導体でも取り回しは楽だったのですが、ねじれの安定性はイマイチ。8導体の編み込みになってねじれの安定性は格段に向上しました。＜追記＞全音域、元気過ぎるイヤホンのチューニング用として使用していたのですが、SONY IER-Z1Rと組み合わせると・・・衝撃の音でした。付属ケーブルも専用チューニングされた素晴らしい音ですが、このケーブルにしか出せない、一音一音の表情と音場の広がり、静寂が素晴らしい。