高音の質:45
中音の質:50
低音の質:40
細やかさ:45
迫力:40
音場:50
遮音性:35
音漏耐性:35
試聴時はiPhone₊Violectric Chronos、イヤピースはSpinfit CP500を使用しています。
音質は値段の割に優秀ですが、それなりに粗さを感じます。
同社のOlaと比べて高域のダイナミックレンジが狭く、ドラムや金管楽器で顕著に表れます。
マニアックな話になりますが、クラッシュシンバルの16インチと18インチは判っても、ミディアムシンかミディアムかは判らない程度です。
低域はOlaのトランジェントがヌルいという弱点を克服しており、ローエンドも出ている方だと思います。
適切なイヤピースを使えば近年のクラブサウンドにおける重厚なサブベースや、TR808のキックを堪能できる水準です。
音場は抜群に良好で、明確に頭外定位寄りです。
数十万円の高級IEMでも強い頭内定位を解消できないものが多い中、本機は巧みに耳介を通したような聴こえ方を錯覚させます。
Audeze、Focal、Ultrasoneなどの音場表現を好むなら一聴の価値があります。
この良さは普段、スピーカーでも音楽を聴く人ほど実感できるのではないでしょうか。
遮音性、音漏れ耐性はカナル型としては劣っています。
特にバスや電車の環境騒音で低域が搔き消されやすい点はいただけません。
街中で使うには十分な密閉性を持ったイヤピース選びが重要です。
余談ですが、製品仕様の感度から想像するより音量が取りにくいようです。
製品仕様から想定した音量より10%程度は上げる必要がありました。
そこで冗談半分で自宅のViolectric V226に繋いだところ、かなり低域の沈み方とトランジェントが向上して驚きました。
入門機の癖してDAPやDAC/アンプを奢るだけの伸びしろがあるようですね…
結論としては普段、各メーカーの旗艦機を使っている人のサブに最適だと思います。
音楽じゃなくて音を聴きたいんだ、という音像最優先派でなければ「今日はこれでよくない?」というドタ靴として愛用できます。
もしくは、これからイヤホン沼に入る人の1台目としても良い結果を得られるでしょう。
この価格帯にしてはDAPやアンプの性能差を確り聴かせてくれるので、かなり幅広く遊べると思います。