外観・質感
金属ハウジングによる重量感と質感が非常に良い。見た目ほどの重さは感じず、耳に自然とフィットする形状のため装着時の負担も少ない。
ノズルまで金属製のため、イヤーチップの交換も安心して行える。
ビルドクオリティはおおむね上々だが、フェイスプレートのウッドパネルの接着はやや粗い印象がある。私の個体では、右側のパネルの片側がわずかにハウジングに沈み込むように接着されていた。ただし、音質への影響は特に感じられない。
付属ケーブルは太めの銀メッキ銅線(おそらく)で、透明な樹脂カバーによりタッチノイズが抑えられている。
音質
全体の傾向はウォーム寄りで、ドライな質感を持つ。
ベリリウムメッキDDらしく、低域、特にサブベースがタイトで、輪郭の明瞭さが際立つ。低域が必要以上に主張しないため、全帯域をバランスよく気持ちよく聴くことができる。
中域のボーカルは非常に質感が良く、生声に近い自然さがある。弦楽器の弾ける感触もよく表現されている。
高域の解像度はまずまずで、ハイハットや管楽器はしっかり聴き分けられるが、生々しさのレベルには達していない。その反面、刺さるような高音が出ないため、長時間でも安心して聴ける。
金属ハウジングとベリリウムDDの相性も良いのか、音の切れが速く、特に低域から中域にかけての分離が優秀である。高域も分離は悪くないものの、DDらしい限界は感じる。BA機や平面駆動機のような超高解像とはいかないが、全体としてまとまりのある心地よいサウンドに仕上がっている。
音場は低域と中域が前に出て、高域が一歩引いた位置で鳴る印象。量感も低音とボーカルが中心で、それを高音が包むことで適度な広がりが生まれている。ウッドフェイスプレートの効果もあるのか、自然でほどよい広さの音場を感じられる。
まとめ
このイヤホンは1万円台として十分に価格に見合う価値を提供しており、特に以下のような特徴を求める人におすすめしたい。
金属ハウジング × ウッドプレートの高級感あるデザインが好み
ウォーム系で、まとまりがあり聴き疲れしにくい音が好き
ベリリウムメッキらしいタイトな低域と、DDとしては高い分離感が欲しい
ボーカル曲を気持ちよく楽しみたい
適度な広さを持つ音場が好み
追加(ケーブル変更について)
このイヤホンは4.4mmバランス接続が選べないため、NICEHCK SnowCatにリケーブルして試聴した。SnowCatを選んだ理由は、付属ケーブルと同じく太めの銀メッキ銅線で構成されているためである。
結果として、que本来の音の傾向はそのままに、定位がより明確になったと感じた。また、高域のハイハットがわずかにくっきり聴こえるようになった。ただし全体として音質が大きく向上するわけではなく、3.5mm接続との差は少ない。付属ケーブルでも十分に良いと感じられる。