高音の質:40
中音の質:45
低音の質:40
細やかさ:45
迫力:30
音場:30
遮音性:40
Assembled in Japan、なハイブリッド機の2.5mmケーブル版です。
2.5mm人気の無さゆえか、新品でも中古と大差ないくらい値崩れしていますが、
繊細ながらエネルギッシュな高域、情報量豊かな中域、それらをそっと、しかし骨子強かに支える低域の織り成すシルキーサウンドは、ミドルクラスとして遜色する所の無いクオリティです。
が、タイトル通り曲を選びます。
特にボーカルの変化が顕著です。
Aメロで「ボーカル近いなあ」と思っていたのにサビで一気に歌詞が聴き取れないレベルで奥まってしまってオイオイオイオイとなることがあります。
クロスオーバー特性にしたって露骨なのでアンプの相性かと思い、プレーヤーやイヤーピースを取っかえ引っかえ聴き比べてみましたが傾向は変わらず……。
エージング次第なのかもしれませんが、なんとなく、意図してこういうチューニングにしてあるような気もします。
ただ、選ぶといっても苦手な曲のあるダメ機種
……というワケではなく、得意な曲はとことん得意です。
最初の方に書いた通り繊細系ハイブリッドという具合のチューニングで、いわゆる「聴こえなかった音が聴こえる」という体験があります。
真価を発揮するのは色んな音が飛び交う中、さらに別の音が飛び込んでくるような遊んでる感じの音作りの曲です。
一音一音に情緒的な表現力があり、分析的になりすぎない心地よさをもって音像の波に浸らせてくれます。
一方、つまらない音作りだと思っていた曲も、つまらないなりにこんな音を鳴らしていたのかと気付かされることがあり、こういう再発見がオーディオのおもしろさだよな、と感じます。
フェイスプレートは商品画像よりも暗く鈍い色合いに見えます。
筺体はやや厚みがありますが、この手の耳掛けハイブリッド機としては標準的な装着感で、特に問題ありません。
イヤーピースが合えば遮音性も良好です。
(音導管が太めなのでイヤピ交換初回は手こずります)
付属ケーブルは価格相応にゴツめですが取り回しはよく、他の2pin機への流用もアリです。
正直言って、2021年のミドルクラスの中ではひどく地味な製品です。
突き抜けたサウンドや工芸品のようなビジュアルを持つ訳でもなく、
「せっかくミドルクラスを買うなら!」
というテンションで選択肢に上がることはまずないはずです。
実際自分も密林中華でいいような気がしつつセール価格に釣られてIYHした口なわけですが、
結果はと言うと多少使い所を選ぶものの基本的にはいいイヤホンだった次第です。
eイヤホンでは試聴機を置いている所もありますし、不安要素を潰してから購入という手もあります。
興亡目まぐるしいポタオデ業界に埋もれてしまった感のある本機、終売の日までに誰かにスポットライトを当ててもらえる日が来ればいいですね。