明るくしっとりサラサラな音。
メーカーの言うように、"繊細で華やかな中高域"。無個性ではない。
低域は足りなく聞こえるも、音量と曲次第ではドッコンドッコンとなる。音源にない音域がならず収束が早いうえ強調もなく、ある意味ではドンシャリなはずがまったくの新感覚。個性的だが個性的とは別のところで受け入れられる不思議な感触。
買わなくても試聴を勧めたい。
聞きどころは深い音場と立体的な音像と過剰なほどのセパレーション、見えるというより触ってるかのような感覚で音域によっての変動が全くなくシームレスなところ。
あからさまにレスポンスが早い音特有の感覚はないのに、雨粒の形が見えそうなまでの解像感。
情熱的なものは綺麗に整ってしまっていて、そういう面白さはない。
また、あまりにもダイレクトで、響などの意味のある色付けがない。トランスデューサー的で強調のないタイプのモニターサウンドなのかも知れない。
とは言え、これだけで調整してしまうと他ので再生した時に致命的になりそうなので、単独では使えまい。
うるさくないのでボリュームも上げられるが、上げなくても満足度は高い。
イヤホンでは分かりにくいような機器の設定などにも俊敏かつ明確に反応。
個人的に、着け心地は最高。ケーブルは透明感があってとても良い。
コレでは聞けない音もたくさんあるし、進歩は続くのだろう。
だが、個人的に今まで聴いてきた全てのイヤホンに聴いた瞬間から拭えなかった不満が、ない。
この底知れなさは、聞き手の限界を意味する。オーディオ機器を巡る探求はひとまずお仕舞い。
音を求めてこの沼に沈んだが、今はこの、音楽と一つになれる経験を大切にしたい。