高音の質:40
中音の質:45
低音の質:45
細やかさ:45
迫力:50
音場:35
環境:PCからZENDAC、ZENCAN、TAGOのリケーブルでバランス接続
年末年始の値下げキャンペーン中に購入して、その後一時期使っていなかった間に近い価格帯のヘッドホンも色々と聴き比べて、改めてクオリティの高いヘッドホンだと感じました。
音質は平面駆動型らしく高い解像度・クリアさを基調として、同型のHIFIMANより低音の迫力を重視した味付けになっています。
帯域の傾向はフラットでありながら、モニター機にありがちな角を取ってクリアにしたフラット感ではなく、ともすればドンシャリ寄りとも言えるような、ハードなアタック感とそこそこの密度を伴って全域で主張する新感覚フラットという感じです。
周波数特性が比較的近そうなのはHD600辺りですが、そこから温度感を下げつつ、より現代的に解像度を高めたイメージです。
近い価格帯のヘッドホンと比較すると、HIFIMANと同じく同価格帯の1段上に来る解像度や分離感を持ち、
開放型でも指折りの豊かで力強い低域と、そこに並んで伸びてくる、元気で艶感のある中域〜中高域を両立したサウンドは唯一無二です。
反面、可聴域ギリギリの高域ではゆとりがなく抜けきらない息苦しさを感じることがあるのは数少ない難点です。(この辺はAKG系やT3-01など高域寄りヘッドホンの方が得意かと。尤も、DT990やHD650等の低中域重視なヘッドホンに比べれば遥かに優秀なのですが。)
定位や音場といった部分ですが、比較的近い場所からあまり定位を気にせず面で鳴らしてくる感じがあります。ANANDA辺りだともうちょっと遠く広くな感じはありますが、平面駆動だとある程度似通ってくる感じはあります。
得意なジャンルですが、流行のポップスやロックなどはどれも楽しく、あるいは激しく聞けると思いますし、バラードやクラシックも充分守備範囲だと思います。女性ボーカルだとやや低音に埋もれることがありますが、イコライザーで僅かに低域を下げて中高域を持ち上げるとバランス良く聴けました。
ここまで強みをメインに書いてきましたが、やや気になる弱点もあり、まず一つめが400g超えと重たいこと。平面駆動型全般の傾向ではあるのですが、ヘッドレスト等で頭を支えないとちょっと首にきます。
二つ目がサ行や電子音がザラつき(ギラつき?)やすいこと。ハードな味付けによって犠牲になっている感じがあり、Perfumeなどを聴くと違和感を感じることがあります。
三つ目、効率の悪いヘッドホンあるあるですが、 パワーのあるアンプを用意しないと音が枯れて本来の力を発揮できません。少なくともZENDAC程度のパワーだとスカスカを感じる音になります。
ただそれらを差し引いても10万以下では非常に優れた性能とキャラクターを持ったヘッドホンだと思います。