購入してから600時間ほど使っています。
Gradoのヘッドホンはドンシャリ傾向でロックやメタルと合う物が多いですが、こちらのHemp Ver2は少しウォーム寄りでオールラウンダーっぽい音作りになっていると思います。
低音域の量はSRシリーズ、RSシリーズよりも多いと思います。
抜けが良く、耳に纏わりつくような篭りやモヤモヤは感じません。
どちらかというと柔らかめの低音なので、より硬質でパンチが欲しい人には物足りないかもしれません。
中音域、特にボーカルの表現は素晴らしく、他の音域に邪魔されずに際立って聴こえます。Hemp Ver2で一番特徴のある部分だと思います。
元々の音源が優れているせいかもしれませんが、セリーヌ・ディオンとスティーヴィー・ワンダーの「Overjoyed」を聴くと、二人の声が額の前に浮き上がってくるような感覚になります。
疾走感や力強さのある曲ではボーカルにスピード感が出て迫力が増します。
ですが、サビなどで大勢が同時に歌っている場合、一人一人の声をしっかり分離させることはできません。
個人的にはある程度まとまって押し寄せてくるほうがノリも良いと感じるので楽しく聴けています。
高音域はGradoの中では大人しいほうで、過度に主張せずに自然と消えていく感じです。
多少刺激的な曲もちょっと和らぐようで、ながら聴きをしていても耳が痛くなることもありません。
音場はGradoらしく開放型なのに狭いです。とにかく至近距離から音を叩きつけてきます。極小のライブハウスみたいな感じです。
SRシリーズと比べて値段は高いですが、初めてGradoを買う人でも手に取りやすいと思います。
ボーカルをメインに、低音は柔らかく支える感じで、高音はクリアだけど低刺激、ゆったり目から激し目までこれ一本で楽しく聴きたい……そういう物を求めている人は一度試聴してみてほしいです。
もちろん既にGradoのヘッドホンを持っている方でも使い分けられるタイプの機種だと思います。