<良い点>
●TAGO STUDIOのコラボモデルということで小洒落た木製フェイスプレートが配されている 材木はメイプル(楓)らしい
●低音用にH.O.D.D.D.I.U.Sと呼ばれる1対のドライバーから成る水平対向型ドライバーを搭載 アイソバリック方式的なメリットに加えて、ドライバーマグネットの磁気反発を利用してボイスコイル近辺の磁気分布を均一化&磁束を集中させる狙いがあるらしい 要は低歪性を強みとするドライバーで綺麗な出力ができる子 本機の低音の質にきちんと反映されている
●水平対向型ドライバーの片割れと中高音域ドライバーの背圧用キャンバーを中間部でシェアした作りで、綺麗に3つのダイナミックドライバーを同軸配置させコンパクト化している 水平対向型ドライバーの構造を上手く利用した面白い内部設計が善き
●小さいだけでなくレジン製筐体で軽く作られていて、このクラスのイヤホンにしては珍しくエントリーモデル級の軽い装着性を誇る 耳にが小さい人にも優しい TAGO STUDIOのT3-02はこの点が割と厳しかった
●中~高音域に淑やかな雅を纏う梅-MAY-の上位サウンド 梅の音を知っていれば本機の音は梅に似ていると思う、、、はず 低歪みによる滑らか出力で淑やかさに磨きをかけつつ、梅よりも低音が微妙にタイトで力強く、中高音域をほんのり華やかに、高~超高音域はキレと突き抜け感を軽く抑えたような仕上がりとなっている 定位感が非常に優れているのも特徴的 TAGO STUDIOが考える音のナチュラル感と水月雨のビューティーのセンスが互いに混じりつつも、両者の音にもとれるくらい綺麗にシンクロしている
●付属ケーブルが3.5mmシングルエンド、4.4mmバランスのプラグ交換に対応している 汎用性高し
●コラボパッケージ絵が素敵 桜花爛漫な背景もさることながら、その中に佇む”一輪の花”も美しい
<悪い点>
●全ての音を織り交ぜ束ねるようなチューニングという印象で、解析的に聴くという意味では向いていない また中高~高音域の音の線が細めでこの帯域の音のプレゼンスは控えめ 濁りなく綺麗に聴こえるが内側から光を放つ様な明るさはあまり感じない 自分はKATOも持っていて、これがKATOの音と一番違うなと思った点 KATOは歌や煌めきを主役にできるが本機にはできない(音に主役が存在しない) 「主役はいないと言えるし全員で1人の主役とも言える」のが本機らしさに思う
●付属ケーブルがちょっと重め 有線イヤホンの装着感はケーブルも割合的に結構大きいので(ケーブルの重さがイヤーフックを通じて耳にのしかかる感じとか)、もうちょい軽く作ってもらった方が本機の良さである「軽量コンパクトゆえの扱いやすさ」が活きた感じが個人的にある
●付属ケーブルでUSB-Cへの変換はできない 市販のドングルDACと併せて使おう
●ちょっと音量とり難め とはいえドングルDACやDAPを持ってれば全く問題ないレベル
<総評>
四君子の春にあたる梅-MAY-のサウンドキャラクターを踏襲しつつ質感を強化したような感じで、「梅」から日本の春の花を代表する「桜」へと昇華した機種にも思える TAGO STUDIOからのコラボモデルであるT3-01-MDのウッドパネルも新たに桜の木が使われていたり、本機のパッケージイラストの背景も桜花爛漫だったりと、今回のコラボは桜の要素が散りばめられている また本機の音を聴いて強く感じたのは、TAGO STUDIOと水月雨は音に対する美観がかなり近いのではないかということ TAGO…