

「ヘッドホンのスペックにある“Ω”ってなに?」
16Ω、32Ω、250Ω、600Ω……数字が違うけど、どういう意味?――
「インピーダンス」や「抵抗値」って難しそうだけど、音質に関係あるの?――
実はこの“Ω”、ヘッドホンの音のキャラクターや鳴らしやすさに深く関わってるんです!
今回は、専門店がその正体をわかりやすく解説。高インピーダンス=高音質?その真相にも迫ります!
そもそも抵抗値ってなに?

「抵抗値」とは電気の流れにくさのこと。値は Ω(オーム)記号で表されます。
スペック表には「インピーダンス」と表記されることが多く、日本語で「抵抗値」と言います!
たとえばe☆イヤホンの店頭で質問をすると、「抵抗値が高いと音量が取りにくい」と説明されることがあります。これは、ヘッドホンのドライバーを動かすための電気が通りにくくなるからです。
なぜ、抵抗値が高いヘッドホンがあるのか?

「なら音量が取りやすいほうがいいじゃん!」――そう思いますよね?それでも抵抗値が高いヘッドホンがあるのはなぜか。
実は「より軽い振動板を使いたい」という目的があるからなんです!
ヘッドホンは、電気信号で振動板を動かして音を出しています。振動板は軽ければ軽いほど、入力信号に対して素早く正確に反応できるのです。
ここで重要になるのが「コイルに使う電線」です。

●電線を細くすれば軽くなる → 抵抗値は高くなる
●電線を太くすれば重くなる → 抵抗値は低くなる
このように、抵抗値はドライバーの設計と密接に関係しています。
【実例:ベイヤーダイナミックのドライバー 】
・80Ωモデルの振動板:約70g
・250Ωモデルの振動板:約30g
同じシリーズでも、抵抗値が変わるとドライバーの構造や重さが変わってくるんです。
※DT770、DT880、DT990 など
軽い振動板のメリットは?

じゃあ、振動板が軽いと何がいいの?というと――
まず、 音の反応がすごく速くなるんです。信号に対してスッと動いてくれるので、高い音もしっかり再現できるし、音の細かいニュアンスもきちんと伝えてくれるようになります。
特にベイヤーダイナミックのヘッドホンで言うと、 7kHz以上の高音域 に注目。ここは、音の“空間の広がり”や“どこに音があるか”っていう 定位感 に深く関わってきます。
つまり、振動板が軽くなると、 音の広がりがよくなって、細かい音の分離感もアップする というわけなんです。
高い抵抗値=良いヘッドホンなの?

「抵抗値が高い=音がいいヘッドホン」って思うかもしれませんが、 実はそうとも限らないんです。
たしかに、 高い抵抗値のヘッドホンは、高音域の再現が得意 だったり、 繊細な表現がしやすい というメリットがあります。でも、それだけじゃなくて、 どういう環境で使うか や、 どんな音が好きか によっても“良いヘッドホン”の基準は変わってきます。
たとえば、磁力を強くして似た性能を目指す方法もありますが、それには パワーのあるアンプが必要 だったりして、別のハードルも出てきます。
つまり、「抵抗値が高いかどうか」は あくまでヘッドホンの設計方針の一つ なんです。使う環境や好みによってベストは変わります。高いから良い、低いからダメというより、 どう鳴らしたいか・どう聴きたいか で選ぶのが大事ですね。
新ドライバー「Stellar.45」の登場

そんな中、ベイヤーダイナミックが新たに開発したのが「Stellar.45ドライバー」!
ProXシリーズに初めて搭載されたこのドライバーは、どんな再生機器でもしっかり実力を発揮してくれる、高効率な設計が魅力です。

【もっと詳しく】
低域から高域まで幅広くカバーし、自然でバランスのとれた音を再現。レスポンスの速いトランスデューサーと軽量なコイルの組み合わせによって、高音圧でも歪みの少ない、クリアでキレのあるサウンドを実現しています。
「磁力を強力に、振動板を軽く」、さらに「コストも抑える」──まさに“いいとこ取り”を叶えた、夢のようなドライバーなんです!
抵抗値が高いのは、軽さを優先したから

「このヘッドホン、なんでこんなにΩが高いの?」と不思議に思ったこと、ありませんか?
──実はその理由、「もっと振動板を軽くしたかったから」なんです。
軽い振動板は、音の変化にすばやく反応できるので、 繊細な音もしっかり表現できる というメリットがあります。でも、振動板を軽くするには、コイルの電線を細くしないといけない。
そして、 電線が細くなると、自然と抵抗値(インピーダンス)は高くなるんです。だから「抵抗値が高い=高音質」というよりは、 “軽さを追求した結果の数字” なんですね。
もちろん、どんなヘッドホンが合うかは人それぞれ。数字はあくまでも参考程度に、 実際に聴いてみて、自分の“好きな音”を見つけてください♪
【関連動画】
イヤホン・ヘッドホンを1000機種以上レビューしているスタッフ「はまちゃん」が分かりやすく「抵抗値(インピーダンス)」を紐解いています!ぜひこちらの動画もご覧ください‼


ポタオデとは:
ポータブルオーディオの略で、持ち運び可能な音楽再生機器全般を指します。具体的には、ヘッドホンやイヤホン、iPodなどのデジタルオーディオプレーヤーなどが含まれます。