スタッフレビュー詳細
『見晴らしよくメリハリある高解像度サウンド』
EFFECT AUDIOを代表する純銀ケーブルCleopatra(以下、先代)が、Cleopatra IIになって帰ってきました。
先代から、デザイン・サウンドの両面に変化がありました。わずかにサウンドキャラクターが変わったので、純粋な乗り換えには注意が必要かもしれません。
プラグ-分岐部-コネクターに至るまで、銀ケーブルらしい雰囲気で統一されています。重量がありそうな見た目ですが、実際は非常に軽く、使用時のストレスはありませんでした。軽くとも剛性をしっかりと感じられ、高級感のある仕上がりです。プラグにTermX(3.5mm、2.5mm、4.4mm)、コネクターにConX(2Pin、MMCX)を標準搭載し、使用するイヤホン,プレーヤー,アンプに合わせ、プラグやコネクターを変更できる高い汎用性を持ちます。
肝心のサウンドですが、先代がナチュラルバランスだとすれば、Cleopatra IIはもっと楽しく聴ける、開放的でパワフルなサウンドという印象を持ちました。純銀線らしい高域の伸び、透明感、スッキリさなどの共通する特徴は持ちつつ、先代ではやや平面的だった音が拡張され、高域と低域の伸び沈みが改善されています。男女ともにボーカルは明瞭、繊細ながら厚みも感じる音で、非常に聴き応えがあります。音場の広がりや空間表現も豊かになり、リスニングライクな音へシフトしました。特に、ギターなどの弦楽器やシンバルなどの“高域のディテールを求められる音”と相性がよく、リアルで生々しい音を再現しています。持ち前のパワフルさで、バラード,ロック,アコースティック楽曲を聴くのがより楽しくなりました。
弱点としては、高域が伸びて元気になった結果、楽曲や合わせるイヤホンによっては粗さや刺さりが出てきそうで、録音品質の良し悪しも如実に表れます。先代の音バランスでイヤホンを合わせていた場合は、音傾向が変わってしまうかもしれません。全体的にパワーアップしていますが、先代のバランスを好む人も一定数いそうな印象です。
純銀線の特徴を伸ばしつつ、銅線的なふくよかな温かみも感じる魅惑的なサウンドでした。高域を伸ばしつつ空間を広げたい方、純粋に銀線サウンドが好きな方におすすめしたいです。
再生環境:Shanling UP5,Vision Ears VE6x2
試聴楽曲:HOME(古川本舗),ルパン・ザ・ファイヤー(SEAMO),君はロックを聴かない(あいみょん)
量感イメージ
このスタッフの他のレビュー
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すずき
@e☆イヤホン
EFFECT AUDIO
Gaea(Universal Fit)
¥170000 税込
存在感のある煌びやかなボーカルに濃厚な中低域
シンガポールのケーブルメーカーEFFECT AUDIOと、マレーシアのIEMメーカーElysian Acoustic Labsのコラボモデルです。 Elysian Acoustic LabsはEFFECT AUDIOと比べ、日本での製品展開がなく、少しマニアックなメーカーと言えるかもしれません。本モデルGAEA(ガイア)は、J-POPやアニソンなど、日本でポピュラーな音楽ジャンルに特化した、日本人向けのチューニングがなされているとのことです。 まずは外観から、4BA,1DDの5ドライバー構成ですが、非常にコンパクトな筐体です。シェルの高さが抑えられており、装着時に耳から飛び出て目立つことはなさそうです。カナルが若干短いので、しっかりホールドさせるにはイヤーピース選びが重要かもしれません。 標準付属ケーブルは、EFFECT AUDIO製のオリジナルケーブルを採用しています。 Ares SとCadmusの線材を組み合わせたGAEA専用モデルとのことで、線材以外にもコネクタ・分岐パーツ・プラグの各箇所に、専用のパーツが使用されています。 肝心のサウンドですが、一聴してその完成度の高さに驚かされます。 各帯域が被らずくっきりはっきり聴こえるボーカルに、チューニングのコンセプトをしっかり感じ取れました。男女問わずボーカルと中高域が映える音作りですが、ほど良い弾みや厚み、広さのある濃厚な中低域も魅力的です。沈みつつアタック感のある生き生きとした低域は、音全体の土台として、全体のバランスを保つ役割を担っています。音場表現と広さが良い塩梅で、小規模なホールで聴いているような立体感が気持ちいいです。 全音域を高いレベルにまとめ、その上でボーカルの清涼感を足した音に、日本向けチューニングのコンセプトが活きている印象です。 弱点としては、ボーカルを強調した為か、一部の曲でサ行の刺さりを感じました。電子音のみで構成される楽曲は聴き疲れしやすいかもしれません。 ボーカルや複数の楽器音が収録された、ある程度有機的な楽曲との相性がいいと感じます。ボーカル強調としつつも全体のバランスは良好で、Rock,Pops,HipHop,ライブ音源、アコースティック系楽曲など、また、邦楽以外でも様々なジャンルで楽しめそうです。 リケーブル不要なほど完成度の高いケーブルに、巧みなチューニング技術でまとめられたハイブリッドIEMと、かなりの力作ぶりを感じるモデルでした。 ぜひ一度お試しください。 再生環境:Shanling UP5 試聴楽曲:Next 2 U(naNami),一番の宝物(Lia),新時代(Ado)
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すずき
@e☆イヤホン
CUSTOM ART
FIBAE™ 7 Unlimited
¥165000 税込
解像感とアナログライクを両立した優しいサウンド
FIBAE 7 Unlimitedは、同社のFIBAE 7を再設計・再チューニングしたモデルです。高域用ドライバーを変更したこと、また、クロスオーバーの刷新でダイナミクスと感度を改善したことが大きな変更点とのことです。 ドライバーを更新した影響か、中高域に特徴があるモデルです。角が丸く刺激が少ない、シルキーでさらさらとした自然で優しい聴き心地です。また、透明感・繊細さ・伸びも十分にあり、ボーカルがとても聴き取りやすいです。全体のバランスとしてはフラットですが、ボーカル表現の優秀さが際立っているように感じました。 低域は非常にソリッドで締まっています。小気味よく軽快でレスポンスに優れた低域は、他帯域に被らない程度に存在感があります。“さりげない”という表現が合いそうな優しい広がり方に、少しアナログライクな印象を受けました。現代的なくっきり高解像度さと、耳触りよく温かみのあるアナログさを感じる絶妙なチューニングです。 聴き疲れしづらく、各帯域の不足感もないので、楽曲ジャンル・世代を問わず、さまざまな楽曲と合わせられると思います。 ■試聴楽曲: 夜明けと蛍(n-buna),W/X/Y(Tani Yuki),ORIGINAL(DUSTCELL), CH4NGE(feat.可不),靴の花火(ヨルシカ)
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すずき
@e☆イヤホン
CUSTOM ART
FIBAE™ 5
¥154000 税込
生々しく余裕のある中高域の表現力
ポーランドのカスタムIEMメーカーCustom Artから、トリプルハイブリッド型イヤホンが登場しました。 カスタムIEMには少ない、平面ドライバーを搭載したモデルですが、スペックから想像される以上に優等生なサウンドです。出力差による音質変化を抑えるFIBAEテクノロジーの恩恵か、マルチドライバーでも音量の取りづらさや不足感はなく、スマートフォン直挿しでも高音質で楽しめます。 2基の平面ドライバーは高域と超高域を担当していますが、安易な高域特化という印象はありません。繊細で鮮やかな高域ですが、ボーカルはやや後ろに控えており、高域を突き抜けさせるより、全体の音との一体感を重視したチューニングに感じます。無理なドライブ感がなく、中高音域の表現に余裕と懐の深さを感じます。金物の鮮明な響き、ハイレスポンスなギター音、ボーカルの伸びや解像度など、平面ドライバーによって高域の表現力を破綻なく引き上げている印象です。 ほのかに丸みと温かみのある低域は、ほど良いアタック感と迫力が気持ちいいです。広がりは控えめながらも包まれるような優しい音で、ダイナミックドライバーの特徴を色濃く感じます。 中域もやや後方にあるため、全体としては緩やかなドンシャリ傾向ですが、刺激は抑えられているのでどんな楽曲ジャンルにも合いそうです。強いていえばJ-POPやアニソンなどの明るめの曲や、インストよりはボーカルのある楽曲の方が活き活きしている印象です。 ■試聴楽曲: 夜明けと蛍(n-buna),W/X/Y(Tani Yuki),ORIGINAL(DUSTCELL),CH4NGE(feat.可不),靴の花火(ヨルシカ)
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すずき
@e☆イヤホン
EFFECT AUDIO
Cadmus/8wire (2pin to 4.4mm) Christmas Bundle
¥54500 税込
すっきり見晴らしの良い爽やかサウンド
EFFECT AUDIO Cadmusに8Wireモデルが登場しました。 ケーブル単体の印象と4Wireとの比較をレビューします。 クリアで見晴らしの良いサウンドがCadmus 8Wireの特徴です。ほど良く丸く柔らかな中高音域は、刺激を抑えながら優しく繊細に伸びるボーカル表現に一役買っています。定位感はほどほどですが、高解像度でインパクトのある低音域は、楽器隊が持つ空気感の再現と迫力のある音場を形成しています。 基礎部分はフラットバランスですが、やや一歩前に出る中高音域に、レスポンス良く適度に量感のある低音域と、音楽を楽しく聴かせるエッセンスを感じます。多芯ゆえの豊かな情報量と音の厚みもあり、聴き応えも抜群です。 4Wireとの比較では、全体的に綺麗にグレードアップしたように感じます。4Wireはイヤホンとの相性を選ぶ弱点がありましたが、8Wireでは上手く解消されています。Cadmusの特徴だった、爽やかでパリッとしたトーンや、バランスの良いオールラウンドな印象はそのままに、それぞれの要素に一段、二段磨きが掛かっています。Cadmusが好きな方はもちろん、Cadmusが合わなかった方にも、ぜひ一度試していただきたいほどの進化が見られました。 最後にひとつ、面白いと感じたポイントでもありますが、低音が強いもしくは低音に特徴のあるイヤホンとの組み合わせをオススメしたいです。低音域の持ち味を絶妙に引き出してくれる印象で、唯一無二の個性を感じました。