スタッフレビュー詳細
光彩奪目なポータブル真空管アンプ
老舗HiFiメーカーとして知られる「Cayin」は、2021年に「C9」を発売しました。当時、このモデルは非常に高い評価を得ました。その後の3年間で、「N3Pro」「N8ii」「N30LE」といった真空管搭載DAPを相次いでリリース。そして今年、新型「C9ii」がついに登場しました。今回は外観や機能が刷新されただけでなく、部品も全面的にアップグレードされています。それでは、その進化の詳細を見ていきましょう。
「C9ii」は、さまざまな調整機能を備えており、ハイエンドユーザーのニーズに応える設計となっています。基本のH/Lゲイン設定に加え、真空管の電圧調整、トランジスターの切り替え、増幅回路の選択など、幅広いカスタマイズが可能です。私の使用例として、「SP3000SS」との組み合わせでは(Timbre: SS、Hyper Mode、H Gain、L Anode、NFB off)の設定で「MDR-Z1R」を聴くのが最も心地よいと感じました。この設定では、音質はニュートラルかつややウォーム寄りで、音の立ち上がりが非常に速く、余計な響きを一切感じさせません。また、広がりのある音場内での定位感も極めて正確だと思います。
さらに、部品の品質向上とノイズ対策の改良により、第一世代と比較して背景の静寂性が一段と向上しています。出力能力を維持しつつ、ダイナミックレンジは従来比で約2倍に拡大されました。結論として、価格は前モデルより大幅に上昇していますが、それに見合う完成度を実現しています。「C9ii」は、ハイエンドユーザーにとって、システムの「最後の一片」を埋める製品となるかもしれません。
量感イメージ
関連商品
このスタッフの他のレビュー
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フィル
@e☆イヤホン大阪日本橋本店
final
S4000 【FI-S4BSS】
¥43640 税込
温故知新
finalに詳しい方ならご存知の通り、finalは数少ないバランスド・アーマチュア(BA)型イヤホンを自社で開発・生産できるメーカーです。かつてリリースされた「LAB I」や「FI-BA-SS」といったモデルは、その独自の設計と音質で高い評価を受けてきました。そして長年にわたる技術の蓄積を経て、ついに今年、新たなBAシリーズ「Sシリーズ」を発表。その先陣を切るモデル「S4000」は、どのような特徴を持つのでしょうか? 早速ご紹介します! 外観とデザイン 「S4000」は「Make4」に似た筐体デザインを採用し、「A5000」で使用された2Pin仕様の銀メッキケーブルを組み合わせています。筐体にはステンレス素材を使用しており、これにより重量感が増しています。そのため、メーカーは短管仕様のスポンジタイプ「E Type」イヤーピースを同梱。従来の「E Type」よりも低音と高音が強調され、力強い音質を楽しむことができます。 全体のバランスは良好ですが、必要に応じて他社製の短管イヤーピースに交換することで、好みに合わせた音質調整も可能です。 内部構造 「S4000」は、独自開発のフルレンジBAドライバーを2基搭載し、平行配置を採用しています。この設計により、ダイナミクスや位相の問題を効果的に改善。また、今回のモデルではドライバー同士を接着剤で固定せず、共振を抑えながら、より自然な空間表現を実現しています。 試聴環境 再生デバイス:iPhone(Apple Music) + Elecom変換ケーブル 試聴曲: 1. OST:『ムーラン』—「闘志を燃やせ」 ディズニー録音の高品質トラック。この曲では、音像の定位と合唱部分の迫力が重要です。「S4000」は繊細で小型のスタジオのような空間感を演出し、細部まで再現します。迫力は控えめですが、その分、長時間リスニングしても疲れにくい音質を提供します。 2. ワールドミュージック:鬼太鼓座 —「富嶽百景」 佐渡島の和太鼓グループによる楽曲。この曲はダイナミックレンジの再現力を試すもので、特に1分45秒の力強い一打は、多くのイヤホンで歪みが生じるポイントです。「S4000」はこの難所を問題なくクリアし、中高音域の精緻な表現には、かつてのフラッグシップモデル「A8000」を彷彿とさせる魅力があります。 3. J-POP:ヰ世界情緒 —「月」 バーチャルシンガー「ヰ世界情緒」(V.W.P所属)の楽曲。この曲では、J-POP特有の高音域処理を評価します。特に6kHz付近の調整が重要で、この帯域は過度に強調されると耳障りになりがちです。「S4000」は1.5kHzを適度にブーストし、6kHzを抑えることで、ボーカルを明るくクリアに仕上げつつ、刺々しさを抑えています。これは近年のfinalの特徴的なチューニング手法でもあります。 総評 「S4000」は、finalの長年の技術を活かし、緻密なチューニングで空間表現を磨き上げたモデルです。暖かみのある中低音と爽やかな高音のバランスは秀逸で、装着感も優れています。価格帯(40,000円)を考えると、このクオリティは非常に高く、finalのイヤホンを初めて試したい方にもおすすめの一台です。 イヤホン好きとして、「S4000」をぜひ多くの方に体験していただきたいと思います。
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フィル
@e☆イヤホン大阪日本橋本店
水月雨 (MOONDROP)
Little White
¥14400 税込
私も愛用しているLittle White
完全ワイヤレスイヤホンが普段使いの主流になっている今、有線イヤホンが外で使用されることが少なくなってきています。やはり、日常的に使用する中で利便性に優れているのはBluetooth製品かと思います。 そこで、「有線イヤホンをワイヤレスとしても使えないか?」と様々なBluetoothケーブルが開発されており、Little Whiteもそんな中で誕生した製品の1つです。 【外観】 全体的に白を基調としており、高級感があります。首に当たるバンドの部分はとても柔らかく、長時間つけていても首に負担がかかりにくい重さかと思います。 【音質】 高音から低音までしっかりとバランスが取れています。若干ウォーム寄りのチューニングで、基本的にはどのイヤホンに挿しても相性がいいです。 【アプリ】 「MOONDROP LINK」というアプリを使用すると、それぞれ「KATO」「Blessing2」「ILLUMINATION」など、水月雨 (MOONDROP)の主要製品専用のイコライザー機能が用意されています。 それぞれのイヤホンそのままの音も楽しめますが、専用のイコライザーを反映させてみると一風変わった音質が楽しめるので、是非お試しいただければと思います! 例:「ILLUMINATION」で専用のイコライザーを使用した場合、中低音の量が増えて全体の印象が丸くなりました。 【最後に】 Little Whiteはイヤホンそのもののチューニングを大きく変化させず、定位感やダイナミックレンジなどを綺麗に発揮してくれるBluetoothケーブルです。 もちろん端子の互換性がある水月雨 (MOONDROP)以外の有線イヤホンでも使用可能ですが、水月雨 (MOONDROP)製品との組み合わせは特に相性が良いと思います。 お気に入りの有線イヤホンがある方や、有線イヤホンをBluetooth化したい方、水月雨 (MOONDROP)の有線イヤホンをお持ちの方はぜひご検討くださいませ!
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フィル
@e☆イヤホン大阪日本橋本店
TANGZU
ZeTian Wu
¥23500 税込
鮮烈な個性を持つ中国史唯一の女帝の名を冠したイヤホン
Tangzuの第三弾IEMである「武則天」は新世代の14.5mmプランナードライバーを搭載して、他のドライバーにはない躍動感と密度の感動を与えます。 紫色のフェイスプレートの上に中国風のトーテムが彫り出されていて、高級感を感じます。 全体的のイメージはウォームでインパクトな音をしていて、特に歌声の厚さとベースの鳴らしが一番目たちます。解像度も良くて、サウンドステージは特に癖がなく奥が深いです。 本体は少し大きく見えますが、装着してみると、大きく感じませんでした。長時間聴いても痛まないと思います。 是非一度も試してみてください! 試聴環境 LUXURY &PRECISION P6Pro 視聴楽曲 玉置浩二 メロディー(Live) Suara 星座(2010 Live) 東京アクティブNEET Sea of spring Pink(東京爆音ジャズ14天)