スタッフレビュー詳細
聴き込むほど旨味がするスルメイヤホン
今回紹介するのは、アメリカオレゴン州ポートランドを拠点にオーディオ機器の設計・製造を行うメーカー「Campfire Audio」が、世界888台限定でリリースした有線イヤホン「Moon Rover」です。
唯一無二の存在感があり、光を受けると複雑で美しい色合いを見せるグラデーションカラーが特徴の本製品は、筐体を一つ一つ手作業で火炎処理を行っており、限定モデルにおけるメーカーの気合いの入れようが外観から伝わってきます。
12mmのフルレンジプラナーマグネティックドライバー1発を搭載した本製品のインピーダンスは22.5Ωと特段高いわけではないものの、駆動方式が平面磁界駆動ということもあってか、スマートフォンのUSB-C変換直挿しだとやや鳴りづらいように感じました。そのため、DAPやスティックDACを用いての試聴をおすすめします。
肝心の音質ですが、一言でまとめると「歪みのない帯域バランスに優れたニュートラルサウンド」といったところでしょうか。
一聴して驚異的に感じたのは、低域から高域にかけて曇りのないレスポンスの良いクリアなサウンドでありながら、音のつながりがとてもスムースで音楽として破綻していないという点です。私自身、解像度に重きを置くニュートラルサウンドのイヤホンは、一音一音がどことなく分析的に聴こえてしまい、音楽を楽しんで聴くという本来の目的よりも、音を俯瞰で見ようとしてしまい純粋に音楽を楽しめないということが少なからずあります。しかし、この製品には全くと言っていいほどその要素がありません。
帯域バランスで見るとややミドル〜ミドルハイの帯域が近いように感じますが、低域と高域どちらもある程度の量感があり、解像度高く分離感に優れているため、低域や高域に物足りなさを感じることはありません。ガットギターやアコースティックギターなどの弦楽器やハイハットシンバルなどの金属音の質感や余韻の生々しさが素晴らしく、聴けば聴くほど病みつきになります。
間違いなく名機と言える一台です。ぜひ店頭にてお試しください。
再生環境: iPhone 15 → Questyle M12 → Moon Rover
試聴楽曲:
- BIRD OF A FEATHER / Billie Eilish
- Please Please Please / Sabrina Carpenter
- AMARGURA / KAROL G
- Landslide / The Smashing Pumpkins
量感イメージ
このスタッフの他のレビュー
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サニー
@e☆イヤホン 秋葉原店
PHILIPS
TAE2146
ホワイト
¥1480 税込
初心者の方にはもちろん、ビジネス用途にも!
今回ご紹介するのは、PHILIPSのUSB Type-C接続イヤホン「TAE2146」です。カラーはブラックとホワイトの2色展開で、デザインは至ってシンプル。小さな筐体にPHILIPSのロゴのみがあしらわれていますが、それゆえにどんなファッションにも自然に溶け込むイヤホンと言えるでしょう。 肝心の音質については、一言で言うならば「中低域から中域にかけて厚みのある見通しの良い音」といったところでしょうか。私自身、試聴の際にはロックを聴くことが多いのですが、低めのギターのバッキング音やヴォーカル、ハイハットなど、すべてが過不足なく表現され、帯域バランスに優れたイヤホンだと感じました。 強いて言うならば、中音域帯に厚みがあり、前に出ている印象なので、高域が繊細なピアノ楽曲や女性バラードよりは、太いギターの音や音数の少ないオールドロックとの相性が良いように感じました。 また、筐体自体がとても軽く携帯性に優れており、リモコンマイクが付属しているため、中音域帯が厚く、話し声が聞き取りやすいので、出先でのビジネス用途にも最適です。ぜひ店頭にてお試しください。 再生環境: iPhone15→TAE2146 試聴楽曲: sometimes / My Bloody Valentine War Pigs / Black Sabbath Realize / Silica Gel Better Days Ahead / Pat Metheny Group
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サニー
@e☆イヤホン 秋葉原店
VIOLECTRIC
HPA V550 PRO
¥825000 税込
紛れもなく”真の音”
今回紹介するのは、ドイツの放送および録音用プロ機器を生産している「Lake People Electronic GmbH」のヘッドホンアンプブランド「VIOLECTRIC」のアナログヘッドホンアンプ「HPA V550 PRO」です。 この製品は、同社の「DHA V590」からD/Aコンバーターを除いた大部分の機能を備えています。 音質の第一印象は、音のつながりの滑らかさと歪みの少なさです。元々プロユースの機材メーカーが手がけた民生機ということもあり、アンプ自体の癖や味付けは控えめに感じられます。ギターの弦をピックで弾くニュアンスまで聴き取れるほどの音の再現性は、本機の本質と言っても過言ではないでしょう。使用するヘッドホンやセッティング次第でその個性に染まる、柔軟なアナログアンプだと思います。 帯域バランスについては、低域から中低域にかけてがかなり厚めに出ており、低域の押し出しは主張の強い部分と言えます。音場に関しては、頭を中心として左右から後方に広がる立体感が特徴的で、バンドものの楽曲を一度聴けば、自分自身がステージの中心に立っていると錯覚しそうなほどの再現性の高さが非常に魅力的です。 出音のレスポンスが非常に速くタイトであるため、メタルなどのスピード感ある音楽に非常に合うように感じました。 何よりも音の再現性を重視する方に非常におすすめできるアナログアンプです。 なお、本製品の内部には256ステップのアッテネータが採用されているため、無音時にチリチリというノイズが聞こえることがありますが、これは製品仕様のためご了承ください。 再生環境: HPA V550 PRO → ADI-2/4 Pro SE → LCD-X 2021
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サニー
@e☆イヤホン 秋葉原店
iFi-Audio
ZEN CAN 3
¥41800 税込
出力の恩恵
あの”ZEN CAN”が新しくなりました、2,000mWという驚異的な出力パワーを携えて。 前作のZEN CANが1600mWの出力だったことを踏まえ、このハイパワーを体感するため、今回は平面磁界型駆動のヘッドホンであるAUDEZEのLCD-X 2021で試聴してみました。 ZEN CAN3 のファーストインプレッションで、前作のZEN CANと明らかに違いを感じた部分はズバリ”中音域”の音の厚みです。前作のZEN CAN は個人的にとてもプレーンな印象を持っており、ヘッドホンが持つ特性の邪魔をすることがないアンプというイメージが強かったのですが、今回のZEN CAN3はリスニング色が強まった印象です。 私自身、前作のZEN CANには、プレーンな音というキャラクターの印象が強く残っており、あらゆる音楽ジャンルにも適し、幅広いエリアのニーズをカバーできるアンプといったイメージがありました。ですが、ZEN CAN3は前作の見通しの良さを残しながらも、出力が上がったこともあってか一音一音がより太く出ており、特にヴォーカル帯にあたる中音域に確かなハリを感じました。また、高域も明らかに前作のZEN CANよりも音の伸びが感じ取れます。 また、定位もやはりヴォーカルが一歩前で聴こえる印象です。その印象的なヴォーカルを補うように少し後ろから押し上げるように締まったグルーヴィーな低域が鳴っております。低域と同じか少し多い量感の高域が、低域と同じくらいの距離で鳴っているので、前作のZEN CANよりも明らかに奥行きを感じやすくなっていると感じました。 前作と比べて特徴が異なっており、何よりもノリよく音楽を楽しみたい、ハリのあるヴォーカルが聴きたいという、ポップスとR&Bをこよなく愛する人におすすめのアンプです。是非店頭にてお試しください。 試聴環境 ZEN DAC→iFi-Audio 4.4mm to 4.4mm cable→ZEN CAN 3 試聴楽曲 BIRD OF A FEATHER / Billie Eilish Red Wine Supernova / Chappell Roan Focus / H.E.R. I Feel It Coming / The Weeknd, Daft Punk
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サニー
@e☆イヤホン 秋葉原店
PW AUDIO
JUHTRUM (ユフトラム)
CIEM 2pin - 4.4mm (1.2m)
¥81400 税込
上品なカメレオン
今回ご紹介するのはPW AUDIOのNSC導体採用ケーブル「JUHTRUM(ユフトラム)」です。こちらのケーブルはPW AUDIOのみが扱う極秘銅導体で、これまでの銅とは違うNSC(New Style of Copper)という線材が採用されています。 外観は同社のケーブル「Moloch」と似ており、「Moloch」の被膜がネイビーであったのに対し、「JUHTRUM」はブラックカラーの被膜を採用しており、ケーブル本体の主張が少なく、どのようなイヤホンでも一際引き締まって見え、上品な印象を受けます。取り回しに関しても、ケーブル本体の太さを考えるとしなやかであり、重みも感じづらく、外出先での使用にも適していると言えるでしょう。強いていうなら、ケーブル自体の太さがあるため、イヤホンケースのサイズによっては収納に困難を要するかもしれません。 肝心の音質について、一言で言うならば「解像度をグンと引き上げ、低域にタイトさを与えるケーブル」といったところでしょうか。ベースやドラムなどの低域の押し出しはそこまで強くありませんが、一音一音の輪郭がハッキリすることによって、ドラムのキックをしっかり感じることができます。低域の鳴り方としては、カーオーディオのサブウーファーのように面で押し出すような鳴り方ではなく、元々ある低域のキャラクターをより分かりやすく、より鋭利にさせた印象です。 中高域に関しては、「いい意味」で大きな変化は無いと言えるでしょう。私自身、低域に量感や太さを与える性質のケーブルでは、相対的に中高域が細くなってしまう印象があります。その点、このケーブルはイヤホン本体が持つ帯域バランスに直接大きな作用をしないため、イヤホン本体が持つキャラクターを損なうことなく、聴こえる音はより明瞭になるため、お手持ちのイヤホンの純粋なアップグレードとして最適と言えます。 以上のことから、音傾向としては「フラット」にあてはまると感じましたが、それはあくまでこのケーブル自体が持つ音傾向であって、合わせるイヤホンの音色に変化してくれること間違いありません。低域により量感をお求めな方は同社の「Moloch」がオススメですが、帯域バランスを崩さず、よりクリアにタイトに低域を感じたい方は「JUHTRUM」が最適です。お持ちのイヤホンの総合値をワンランク底上げするケーブルです。ぜひ店頭にてお試しください。 再生環境: iPhone15→FIIO KA13→JUHTRUM→qdc SUPERIOR 試聴楽曲: BIRD OF A FEATHER / Billie Eilish Please Please Please / Sabrina Carpenter Perfume / Pale Waves Die For You / Joji