生々しい音

レビュー初心者です。　
本機は多くの新技術が導入されている機種ですが、技術面に関して詳しくないので、感覚的な話だけをさせていただきます。
　本機購入前にメインに使用していた密閉型ヘッドホンはMaster&Dynamic社のMH40という強い中音域を特徴とする機種ですが、それに負けないもしくはそれ以上の性能を持つBluetoothヘッドホンを求めて、先月e☆イヤホンさんの店頭で色々と試聴した結果、新技術応援の意も含めて本機を購入。
　音に関しては、まず全体的に、宣伝通りに非常にタイトな印象で、無駄がなく、輪郭が極めて細かくて明晰であるため、リアルで生々しく感じさせます。（もちろん、モニター機種ではないので、完全に「そのまま」というわけではないと思います。）また、密閉型としては音場が広く、空間が非常に明白に表現されます。複数の楽器による演奏の場合、MH40に比べて、楽器とボーカルや各楽器の間の距離が少し長く感じられ、互いに干渉し一方が他方に圧倒されたりはしません。あと、私は比較的に電子音系の曲を多く聴くものですが、本機は電子音よりもアコースティックが得意という印象も受けました。
　高音域：同メーカの上級機A2000Zに近い美しく、透明感がある高域ですが、さらに金属感が増し、とてもクールな感じで、前世代の名機MSR7とは違う趣になっています。（新品は最初個別の音に僅かな刺さりがありましたが、5時間ほど鳴らしたらなくなりました）
　中音域：MH40に比べれば少々物足りなくなりますが、しっかりと全体を支える感のある中域です。
　低音域：MSR7よりだいぶ増量された、力強くかつクリアな低域です。低域への好みは人それぞれですが、個人的に、それ以上強くなったらダメかもしれないというちょうど良い具合です。高解像度と分離度に相俟って、これまであまり注目しなかった、ドラムなどによる低音表現の豊富さがわかるようになりました。
　総じて、本機は音と声、繊細さと臨場感を同時に十分楽しめる良品です。しかも、aptXHD対応の端末（プレーヤー）があれば、有線と遜色ない音質が堪能できるので、便利で素晴らしいです。

補足：欠点というほどではありませんが、USB端子ちょっと刺しにくいとかスイッチが少々ゆるいとか（個体差？）といったデザイン面の瑕疵があります。