2018.12.7
どちらを選ぶか迷ってしまう完成度!!
オーディオテクニカ待望の“完全ワイヤレスイヤホン”は想像以上のクオリティ

オーディオテクニカから待望の完全ワイヤレスイヤホンが2機種同時に発売されました。音質に一貫してこだわり抜いたSound Realityシリーズに名を連ねる「ATH-CKR7TW」と、スポーツシーンでの音楽再生に快適さを追求したSONICSPORTシリーズの「ATH-SPORT7TW」です。今回はそれぞれの“オーディオテクニカらしさ”にとことん迫ろうと思います。

音質にこだわった設計の「ATH-CKR7TW」

心に響く“ホンモノ”の音楽体験をユーザーに伝えることを使命に掲げるSound Realityシリーズには、現在ポータブルヘッドホンのハイレゾ対応モデル「ATH-MSR7b」や心地よいノイズリダクション機能を搭載するBluetoothヘッドホン「ATH-SR50BT」、チタニウムハウジングが緻密なサウンドを引き出すハイレゾ対応のイヤホン「ATH-CKR100」などブランドを代表する強力なラインナップが揃っています。ピュア・デジタル・ドライブ方式のワイヤレスイヤホン「ATH-DSR5BT」もオーディオテクニカらしいインパクトのある製品ですが、完全ワイヤレスタイプのATH-CKR7TWの登場によってSound Realityシリーズの層に一段と厚みが加わりました。

↑Sound Realityシリーズの完全ワイヤレスイヤホン「ATH-CKR7TW」

筆者がATH-CKR7TWの出来映えのなかで最も注目しているポイントはその音質であることはいうまでもありません。リスニングレポートの前に本機がどのようにしてSound Realityシリーズの名に恥じない高音質を実現したのか、技術的なバックグラウンドを抑えておきましょう。

ATH-CKR7TWは、密閉構造のハウジングに11mm口径のダイナミック型ドライバーを搭載。振動板に独自のDLC(Diamond Like Carbon)コーティングをかけて剛性を高めており、入力された音声信号に対するレスポンス特性にも磨きをかけています。ドライバーユニットの土台になるヨークに純鉄を使うことによって磁気を効率よく伝達。不要な振動を抑えて、ハイレゾをはじめとする音楽の解像感をすっきりと引き出します。

同時発売のATH-SPORT7TWに比べるとハウジングが少し大きめになっている理由は、内部の空間を音響エリアと電気エリアに分割した「デュアルレイヤー構造」としているから。イヤホンの中で発生する電気的なノイズからドライバーを物理的にできる限り遠ざけることによって、S/Nのよいピュアなサウンドを実現しています。

一般的なワイヤレスイヤホンにはプレーヤーから送り出された信号を受信・デコードするためのBluetoothレシーバーのほか、デジタル音声信号をアナログ変換するためのDAコンバーターやアンプなどを組み合わせたオーディオ向けの一体型ICチップが採用されています。ATH-CKR7TWの場合、一体型ICチップで信号の受信とデコードまでを行い、DA変換とアンプによる増幅を別途設けた高音質ICチップに引き渡すこだわりの設計を採用しています。より生々しい音楽の臨場感を楽しませてくれる理由はここにあります。

ほかにも振動板の正確なモーションを引き出す真鍮スタビライザーや、ノズルの先端に配置するステンレス製のアコースティックレジスターによって自然な音の広がりをつくり出すノウハウなど、オーディオテクニカが培ってきた高音質化技術が本機にも受け継がれ、Sound Realityシリーズらしさを引き立てています。

バッテリーはイヤホン単体で約6時間、充電ケースを組み合わせれば最大約15時間の連続音楽再生に対応。ケースの外側に配置された3つのLEDランプでバッテリー残量の目安を知らせます。青LEDが充電ケースのバッテリー残量を表し、もう1度ボタンを押すと白LEDに切り替わり、イヤホンのバッテリー残量が確認できます。

また、本体には操作用のマルチファンクションボタンを備えており、右側で再生/一時停止や曲送り/曲戻しのほか、着信時の通話/終話操作、左側で音量の調整操作を行えます。

音質を高めるためのデュアルレイヤー構造を採用しながら、イヤホンのサイズは限界までコンパクトにしています。そのため、装着してみるとほとんど違和感がありません。

付属のイヤーチップだけでも高いフィット感が得られますが、アウトドアなどで動きながら音楽を聴く場合にはパッケージに付属するシリコン製の「3Dループサポート」を追加すると、外耳のくぼみにフィットしてさらに安定します。

↑付属の「3Dループサポート」を装着すると安定性がアップ

Hi-Fi志向を追求したクリアなサウンド

それでは最初にATH-CKR7TWのサウンドからチェックしましょう。本機はBluetoothの上位オーディオコーデックであるaptXやAACにも対応している点が見逃せません。aptX対応の実力を確認するため、プレーヤーには「Google Pixel 3 XL」を用意しました。またiPhone XにもペアリングしてAACでの接続も試しています。音源はSpotifyから選択しました。

2つのイヤホンが対応するオーディオテクニカ独自のモバイルアプリ「Connect」の操作感については、このあとSONICSPORTシリーズのATH-SPORT7TWをレポートする際にまとめてご紹介しますが、Sound RealityシリーズのATH-CKR7TWの場合、このアプリからBluetoothのオーディオコーデックを切り替えて音の違いが楽しめることを覚えておくとよいでしょう。

ジャズの女性ボーカルを聴くと、潤いのあるなめらかな声の質感が耳に心地よくなじんできます。アコースティックギターやピアノの音色もやはり中高域の伸びやかさとシルキーなタッチを特徴としていて、音像も鮮明なイメージが浮かび上がってきます。ドラムスはスネアの瞬間的な立ち上がりが鋭く、きめ細かな余韻が静寂に溶け込む様子がリアルに描かれます。演奏されているステージが目の前に広がるような体験が、完全にワイヤレスなイヤホンの心地よい装着感によってますますリアルに感じられます。

クラシックピアノとの相性がとても良いイヤホンです。タッチがやや硬質でありながら、ふくよかな余韻を感じさせてくれる温もり豊かなサウンド。クールな音色から温かみあふれる余韻が溶け出して、ゆっくりと耳の奥にまで染みこむような、このイヤホンでしか味わえない体験があります。シャープな低音の輪郭と引き締まった中高域の表情はSound Realityシリーズならではの魅力。音が鳴っていない休符の静寂にも心地よい緊張感を感じます。Hi-Fi志向を徹底追求した、いままでの完全ワイヤレスイヤホンにないサウンドです。

アプリからオーディオコーデックを切り替えながら聴き比べてみました。aptXは中高域が華やかで、高さ方向の音場表現力に長けています。音像の定位感もくっきりとしていて明快に描かれます。AACに切り替えると低域に弾力と艶が出てきました。ボーカルの足もとが安定して、リズムの抑揚がより粘っこくダイナミックに描かれるようになります。ロックやポップス、EDMのお気に入りの楽曲が気持ち良く聴けると思います。満員電車の中や人混みで本機を使って音楽を聴く場合は、接続性を優先してSBCコーデックに切り替えると音途切れによるストレスに悩まされることなく楽しめるでしょう。

水洗いもOK。抜群のフィット感を追求した「ATH-SPORT7TW」

SONICSPORTは2014年に誕生したオーディオテクニカのスポーツイヤホンのシリーズです。先月発売された「ATH-SPORT10」のように、驚くほどコストパフォーマンスの高いイヤホンもラインナップに揃っているので、「初めてのオーディオテクニカのイヤホン」として同シリーズの製品を選ぶ人も少なくありません。そのSONICSPORTに初めて完全ワイヤレスタイプのニューモデルが誕生しました。

↑スポーツ向けブランドSONICSPORTの「ATH-SPORT7TW」

ATH-SPORT7TWは激しく体を動かすスポーツと一緒に音楽の世界に没頭できるよう、音質だけでなくフィット感と操作性も含めた全体的な完成度を磨き抜いています。スポーツタイプのわりには大人しくてシンプルな外観に見えますが、この小さなイヤホンの中にオーディオテクニカの最先端テクノロジーを出し惜しみなく詰め込んでいます。

密閉構造のハウジングには5.8mm口径のダイナミック型ドライバーを搭載。BluetoothのオーディオコーデックはAACとSBCに対応します。音質に関わるところでは、標準のシリコン製イヤーチップのほかに汗ガード機能付きの低反発フォーム素材のComplyイヤーピースを付属しました。

イヤホンに内蔵するバッテリーで約3.5時間の連続リスニングに対応。充電ケースと併用すれば約17.5時間の連続使用に対応しているので、旅行に携帯するイヤホンとしても最適です。約10分の充電で最大45分使用できるだけのバッテリーを急速チャージする機能もあります。

スポーツイヤホンとしての特徴を見ていきましょう。本体は、音の出る導管部分以外はIPX5相当の防水仕様となっており、汗をかいたらサッと水洗いができます。ただし故障の原因にもなるので、シャンプーや石けんを使うのはやめましょう。

↑導管部分以外は防水仕様で、水洗いもできる

イヤホンの左右側面はタッチ操作に対応するリモコンになっていて、曲送りからボリュームのアップダウン、外音取り込み機能のオン・オフの切替えがスマホをバッグから取り出さなくても操作できます。ハウジング側面に搭載するボタンで操作するSound RealityシリーズのATH-CKR7TWと仕様が異なるポイントのひとつです。

↑操作方法はアプリで確認・変更できる

アウトドアでより安全に音楽が聴けるように、ATH-SPORT7TWにはヒアスルー(外音取り込み)機能が搭載されました。環境音を取り込む量=バランスは、アプリを使ってLow/Mid/Highの3段階から選びます。マイクの集音性能がかなり良いので、Highに設定するとまるで開放型のイヤホンで音楽を聴いているみたいに周囲の音がよく聴こえます。筆者もスポーツジムでランニングマシンに乗って走っている時に、何となくベルトの走行音が確認できていないと不安に感じることがあるので、スポーツシーンで使うイヤホンには外音取り込み機能が欠かせないと感じています。

ヒアスルー機能のオン・オフはサイドパネルのタッチセンサーリモコンから切り替えられます。スマホで設定したヒアスルー機能のステータスは、パソコンなどほかの機器にイヤホンをつなぎ換えた後もイヤホン本体に記憶されています。パソコン作業用のイヤホンとして、あるいは街を歩きながら音楽を聴く時のためのイヤホンとしても活躍の場は広いと思います。

そして、筆者はATH-SPORT7TWの抜群に安定したフィット感がほかのスポーツイヤホンにない大きな特徴であると感じました。これを実現しているのが特殊な形状のシリコン製イヤフィンです。

↑ATH-SPORT7TWの付属品

一般的なスポーツイヤホンの場合、耳穴に挿入するイヤーチップと、外耳のくぼみにサメやイルカの背びれのような形をしたスタビライザーをはめ込んで装着感を安定させるもの。ATH-SPORT7TWの場合、写真で見てもわかる通り吸盤のように外耳にフィットするデザインになっています。体や頭を激しく動かしてもビクともしません。さらに遮音性の向上にもつながるので、賑やかな場所でも明瞭なサウンドが聴けるメリットも同時に得られます。サイズはXS/S/M/Lの4サイズが付属しますので、ご自分の耳に合ったイヤフィンを探してみるといいでしょう。

↑ATH-SPORT7TWを装着したところ

日常使いでも楽しめる力強いサウンド

ATH-SPORT7TWのサウンドもチェックしてみましょう。こちらのイヤホンもGoogle Pixel 3 XLとiPhone Xにペアリングして、Spotifyの音源を確認しています。

音を聴いて最初に感じたのは、力強く張りのあるサウンドがストレートに耳の奥へ飛び込んでくる新鮮なリスニング感です。明るくメリハリの効いたメロディの表現力がとても豊かで、ボーカル中心のポップスによく合いました。低いビートの切れ味が鋭く量感もふくよか。ハイトーンが艶っぽく、爽やかな余韻が残ります。この力強いバイタリティには、Sound RealityシリーズのATH-CKR7TWが持っている繊細さとは、またひと味違う魅力があります。

女性ジャズボーカルでは声にリアルな人肌の温もりを感じます。クラシックピアノは温かみあふれる音色と伸びやかな余韻が特徴。ウッドベースやアコースティックギターは弦がつま弾かれる様子をゆったりと描きます。EDMを聴くと、グラマラスな低音の躍動感あふれるグルーブが体の芯にまで届いてきました。鋭いアタックの歯切れの良さはロック、ポップス系の音楽にもよくマッチすると思います。

Connectアプリにはイヤホンのバッテリー残量を知らせてくれる機能のほか、万一イヤホンが見つからなくなってしまった時にマップ上で最後にペアリングされていたロケーションを確認できる便利な機能も搭載されています。

オーディオテクニカが満を持して発売した2つのイヤホンは、どちらを選ぶべきか迷ってしまうほど高い完成度に仕上がっていると感じました。どちらの機種も、最もオーディオテクニカらしさを感じた所はやはり、真面目に追求してきたピュアな「高音質」。どんなタイプの音楽にも心地よく自然にフィットしてくれるサウンドなので、スポーツシーンと日常生活の境界を意識せずに、あらゆる場面で最高の音楽をたのしませてくれるのではないでしょうか。初めて完全ワイヤレスイヤホンを購入する方はもちろん、これまでの完全ワイヤレスイヤホンの音質に満足できなかった方にもオススメしたい製品です。

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