eイヤさんで試聴した後どうしても欲しくなってしまい、帰宅後そのままeイヤさんの通販で我慢できずに購入しました。
それくらい個人的に刺さりまくったヘッドホンです。
まず、装着感が抜群に良いです。本体がとても軽いので、長時間装着していても首や肩がまったく疲れません。
飲み物を飲むために頭を軽く動かしたり、飲み干す動作をしてもズレ落ちることがなく、装着中のストレスがほぼゼロです。
ハウジングは耳全体をすっぽり覆うコンパクトなサイズ感で、側圧はありますが耳自体が圧迫される感じではありません。
それでいて密閉度が高く、わずかな左右のズレや頭部の歪みで低音が逃げてしまうようなこともなく、低域の定位がちゃんと中央に位置してくれて、非常に安定しています。
フレームのサイズや形状にもよるとは思いますが、メガネを装着した状態でも低音の量感や定位が損なわれることはありませんでした。
【音質】
基本的な音作りは、ベイヤーの密閉型モニターフラットヘッドホンの音作りですが、その中では低音の量感は明らかに多めです。
ブーストされているというよりも、密閉型として理想的な低音の出方をしていて、沈み込みが深く、輪郭が明確で聴感上の厚みがしっかりあります。この低音の量感の部分については前述した密閉度とフィット感の良さが関係していると思います。
音の雰囲気を例えるなら、
DT1770 PRO MKIIの音場を少し狭めて、さらに低音を強化したような音と表現するのがわかりやすいかもしれません。
音場は広すぎず情報のまとまりが良くて定位が明快です。
ミックス用途においては、むしろこのくらいの音場感の方が作業しやすいと感じる人も多いと思います。
他のメーカーのヘッドホンと比較すると、SennheiserのHD25-1 II と近い方向性があります。
ですが、HD25と比較するとDT270 PROのほうが音の音場感が広がっていてミックス用途として使いやすいです。
DT270 PRO単体でもミックス作業は可能だと思いますが、より正確に仕上げるなら、DT270 PROで作り込みの後で、他の開放型・密閉型ヘッドホンで低音バランスの確認をするという併用スタイルが、安定する使い方かもしれません。
あと作業が煮詰まった時にDT270 PROをつけてふらっと散歩に出る使い方が最高です。
外で散歩していても結局音を聴いてるので休んでるわけではないのですが、歩いた時に脚から伝わる振動や外のノイズに低音がマスクされる事がなくちゃんとモニターできます。
これ、本当に2万円以下で売っていいの?と、普通にニヤける完成度です。
業務用としての音の完成度を持ちながら、リスニング用途でもきちんと楽しく、その音のバランスの良さがDT270 PROの魅力だと思います。
試聴環境
・RME Babyface Pro FS
・shanling UP6,UA4